ミユキと父さん
「うぐぉぉ!!」
俺達は途中にいる悪魔を倒しながら、最上階を目指していた。
「親父…最上階にいなかったらどうするんだ?」
「土下座したるさかいに!」
「言ったな?…絶対忘れるなよ?」
そんな危機感の無い会話をして、少し歩いていると最上階へと到達した。
「…王様ってのはな…高い所が好きなんだ……だからここに1人くらいいる筈なんだ…よッ!!」
俺が最上階の部屋へ繋がる大扉を蹴り破り、俺達は中へ入った。
「……何だ…?」
部屋の奥の人影を見て、俺達は思わず絶句した。
「……………な…ッ…」
「え…!?」
目を凝らしてよく見ると、それはロードギアだった。だが絶句したのは、ロードギアがいたからではない。
「…ミユキ……ッ!?」
「お前……」
ボロボロになったロードギアの、首筋に噛み付いて血を啜る、ミユキの姿があったからだ。すると、宇川から電話がかかってきた。
[お前ら!!]
「宇川!」
[ミユキは人間失格に飲み込まれて…少しブッ飛んじまってる!!…気を付けろ!!…こっちは生憎……悪魔が邪魔で助けにいけねぇ!!]
「……なるほどな…」
スマホの電話を切って、俺達はミユキの前で構えた。
「しょうがねぇな……やるしかねぇ…」
「…正気に戻して……みっちり説教してやんぜ…」
するとそれを見て、ミユキは立ち上がった。
「……父さん…!」
「ミユキ…」
「喉が渇くんだ…だから……アンタの血を俺にくれ」
「…ッ!」
俺はミユキの攻撃を間一髪避けた、ミユキは人間失格の効果で、攻撃力が強化されてる。
「…絶対に当たるなよ?……今のミユキの攻撃は全て致命傷になる…」
「ヘッ!…分かってるよ!」
その瞬間、いつのまにか俺の背後に、ミユキが立っていた。
「う…ッ…!!」
「あ〜…外しちまったか…」
俺の頬に切り傷ができた、ミユキの指には血が付いている
「喉狙ったんだけど…」
「ミユキ…前よりも強くなってんな……」
ミユキは指に付いた俺の血を舐めて、頬を染めていた。
「父さんの血は美味しいなぁ……もっと寄越せよ…!」
「…ッたく……しょうがねぇな…川畑…樹一郎…離れてろ……少し本気出す…」
俺は川畑と樹一郎が、俺とミユキから離れたのを確認して構えた。
「…ミユキ……少し寝てろ」
そして、俺はミユキの腹部を狙って思い切り、右ストレートをブチかました。しかし、ミユキはそれを受け流し、俺にカウンターを食らわせてきた。
「……あれ…?」
俺はそのカウンターを食い、宙に浮かんでいた。
「…ッ…!!……あれは…俺の……逆境返し…ッ!?」
「………………」
「クッソ〜……ミユキ…また強くなりやがって………嬉しいぞ…!」
ほんの少し痛かったが、俺はすぐにミユキの前で立ち上がった。するとミユキは、拳を握ると俺へ言った。
「父さん…じゃれあいはここまでだ……俺は今からアンタをボロボロに破壊して……血を吸い尽くす…そのあとは後ろの2人もな」
「ほう」
そしてミユキが、俺へ向かってダッシュしてきた。その瞬間にミユキの頭が消え、ミユキは吹っ飛んでいた。
「…………」
「…最初からそうしておけば良かったものを…」
「すまんね」
ミユキは壁に激突して、気絶していた。少し頭を冷やしてな、ミユキ。
「一体…いつ殴ったんだ……見えなかった…」
樹一郎は、ミユキを見ながら思わず声を漏らしていた。
「……暴走してはいたが…リミッターはレベルⅠのままだ…」
「暴走していながら…リミッターはレベルⅠに抑えるとはな……」
「…………血を欲するあまりハイになってたけど……父さんがリミッターをレベルⅠに抑えておけって言ってたからさ……少し残っていた理性で…必死に抑えてたんだ…」
ミユキが、ゆっくりと俺達へ話した。
「ごめんなさい…迷惑をおかけしたようで……何か血を見てたら…無性に欲しくなっちゃった……」
「ホントだよ…」
俺はミユキの横へ立つと、川畑と樹一郎へと言った。
「お前らは残りの奴等探してこい…俺は賢者タイムのミユキを見とくからさ…!」
「…分かった」
「それじゃあ…残りの奴を捕まえたら連絡する」
そう言って川畑と、樹一郎は部屋から出ていった。俺はそれを確認して、ミユキの隣へ座った。
「……大丈夫か?…ミユキ」
「…うん」
「俺がいるから…安心して休め…!」
そして、ミユキは俺にもたれかかってきた。
「そうさせてもらうよ…」
『こういう事してくれるから…僕は父さんが大好き…!』
……
「……慎重にいこう…」
「…そうだな……」
第1位達は慎重にゆっくりと歩き、城の中で王を捜索していた。
「………地下へ続く階段か…………よし…ここは俺と狂夜で調べる…楽織と土方はこの階を…」
「了解…」
江頭と狂夜は、先の暗い階段をゆっくりと降りて、地下へと進んだ。




