第1位抵士官
「明日突入か…」
「アキラさんは参加しないらしいけど…どうしたの…?」
「…別の悪魔からカイトの情報集めるってよ」
俺はミユキと樹一郎の3人で、夜空を眺めていた。
「……さっさと捕まえて…カイトの居場所吐かせて帰らないとな…」
「…ああ」
「ねぇ…父さん……」
「…ん?」
ミユキが、夜空を眺める俺と樹一郎へ言った。
「こんな夜空を眺めてると……修行時代を思い出すね」
「…あぁ……まぁ…確かにそうだな…」
「今思えば…父さんが考えた修行ってめちゃくちゃだったよね…!」
「……どんな修行だったんだ?…親父が考えた修行なんてヤバそうだが…」
樹一郎が興味津々で、ミユキへ尋ねた。俺が考えた修行、今思えばかなりヤバかったな。
「…全部……漫画のキャラクターがしてた修行なんだよね」
「……は?」
「…………………」
そうだ、俺は漫画のキャラクターがしていた修行を、ミユキにさせていた。
「……漫画のキャラクターのしてた修行させたら強くなるかなぁ〜…と思って…」
「ンなわけねぇだろ!……と言いたいが…ミユキはその修行で強くなってんだよな…」
「うん!…強くなった!」
普通は強くなる筈が無い、だが、ミユキはこのふざけた修行で強くなっちまった。
「全く…とんだバケモノだよ…お前は……体内に怪物でも潜んでるんじゃあねぇか?」
「人は誰でも…体の奥底に猛獣を宿してるって山月記の李徴も言ってたし……僕の体にもそういうのがいるんじゃない?」
「山月記…学校で習ったな……」
「だから…その体に潜む猛獣とか怪物を…コントロールする事ができれば強くなれると思うよ」
すると樹一郎が、夜空を見ながら言った。
「……よし…俺も体に潜む怪物をコントロールして強くなる為に…その修行やってみようかな…」
「やめとけ樹一郎……コイツが異常なだけだ……俺でもあの修行で強くなれねぇよ」
「だよな…」
「……だけど…強くなる方法として個人的に思うのは……戦う事だ…実践あるのみって奴だな」
「そうか…それじゃあこの戦いが終わったら……世界中の強者と戦ってみるかな」
そうして時は流れて、突入の日となった。
……
「よし……それじゃあ目的地に向かうか…」
「……ああ」
すると、慌てた様子の抵士官が、総特達へと言った。
「…どうした?」
「大変です!……世界に…!……世界中にレベルⅩの業人が大量に出現しました!!」
「……何だって…!?」
世界中に、それもレベルⅩの業人が大量発生しただと!?
「おいおい!…カイトの仕業か!?」
「このままじゃヤバいぜ!」
「……だが…業人は所詮…知能の低い獣だ……よし…俺達総特が討伐に向かう…」
「なら…俺達も行くぜ……捕獲は俺達がいなくても大丈夫だ」
俺の親父や母ちゃん、トシ爺とタケ爺が総特達へ言った。
「…助かる」
「……日本に一人も総特がいなくなるのは駄目だろう…俺は一人残っておこう」
『ホントは…ハッタリが通じない業人と戦うのが嫌なだけだけど……』
「…そうか」
「あっ!…ついでに…コレあげるよ!」
ミユキは自身の血が入った小瓶を、総特達へ投げ渡した。
「……確か…お前の血を傷口に塗れば…即座に再生するのだったな……ありがとう」
「黒の王達は!?」
「第1位抵士官達に引き継がせる!…お前らは先に目的地へ行け」
「よし…俺達は業人がいる場所へ向かうぞ!」
足早に去っていこうとする総特と親父達を、俺は引き留めて言った。
「…必ず止めろよ」
「……ああ…勿論だ」
そして、総特達はPhoeniXの停めてある方と向かっていった。
「…第1位抵士官が引き継ぐって聞いたけど…」
「……とりあえず…目的地へ向かおう」
……
「俺達は異界からやって来た……まぁ…カイト討伐チームもとい…ストレンジャーと呼んでくれ……まぁ…知ってると思うが…」
「……そちらも…私達の事も知っていると思いますが…改めて自己紹介しましょうか…………私は土方周という者です…」
【王龍殺し】土方 周
レベルⅠ〜Ⅹの悪魔、天使、業人の撃破数680体
レジアル『王龍』
土方、確か初めて会ったのはレジアル研究所だったな。
「私とは初めて会うな……江頭対我だ…よろしく」
【静かなる巨人】江頭 対我
レベルⅠ〜Ⅹの悪魔、天使、業人の撃破数498体
レジアル『PQR-47』
対我は、身長が宇川よりも高くてゴツい、ゴリマッチョだが顔はダンディーだ。
「楽織征司郎です!…よろしくお願いします!」
【流星の獅子】楽織 征司郎
レベルⅠ〜Ⅹの悪魔、天使、業人の撃破数525体
レジアル『No.15』
楽織、見た感じ高校生くらいだ、若いな。だが、年齢に見合わず風格がありルックスも良い、イケメンだ。
「えーっと…涼と言います!…抵士官の中では最年少ですがよろしくお願いします!」
【天空の目】涼
レベルⅠ〜Ⅹの悪魔、天使、業人の撃破数342体
レジアル『G9』
涼、どう見ても小学生だ。こんな幼い子供が、第1位抵士官なんてあり得ない。
「おいおい!…こんな子供戦あるのか!?」
「…この子は軍隊顔負けの…天才的射撃能力を持っているんだ…だから特例で抵士官に任命したんだ……この子も乗り気だったしな…」
「……マジかよ…」
「そういう事で……この人達が今回総特の引き継ぎをする第1位抵士官達だ…総特と同じくらいの実力を持ってる…」




