ヤバイ暗殺者
「光P…お前マジで何者だよ…」
「…しがないプロデューサーだ…!」
「年収は…?」
「大企業の社長以上…ヤタガラス未満だね!」
それを聞いた梅岡が、俺へ尋ねた。
「え?…ナオトさん達ヤタガラスの年収ってどれくらいなんスカ!?」
「……………あんまり言いたくないな…」
「去年は確か日本円で476兆円くらいだったよ!…まぁ…色々な国や…貧しい子供達にあげるから…僕達の手元に入る年収はそれぞれ500万円だね…!」
ミユキがヤタガラスの年収を、全て暴露した。
「お前…」
「…え?…兆?」
「……年収が石油王の資産くらいあるじゃねぇか…」
「じゃあ…光Pの年収は…」
梅岡が尋ねると、光Pが答えた。
「俺は10億だ!」
「…充分ヤバいな…」
「まぁとりあえず!…銭湯に入るぞ!」
そして、俺達は銭湯の着替え場で素っ裸になった。
「……なんだ…混浴じゃないのか…」
「そりゃそうだろ」
中はかなり広く、プールまであった、これは金がかかってるな。
「…プールまであるじゃねぇか…」
「スゲー…」
……
「いや〜…何というか……風呂に入るのと…銭湯に入るのとは全然違うな…!」
「そうだね〜」
ミユキが出入り口の方を見ると、フードの男らしき人物が見えた。
「…!」
「……どうした?」
「…………ちょっと…トイレに行ってくる!」
そして、フードの男の影が見えた着替え場へ、ミユキは歩いていった。しかし、そこには何もいなかった。
「……気のせい…」
「いや…気のせいではないぞ?」
「ッ…!」
物陰の中からフードの男が現れた、ミユキは身構える。
「…ノゾキでもしにきた?…女風呂なら向こうだよ…」
「そんなジョークを言う様になったのか……少し見ないうちに…あの頃と変わったな……ジャック…」
すると男はフードを脱いだ、それを見てミユキは動揺していた。
「………な…んで………」
「…久しぶりだな……ジャック…」
ミユキは男の顔を見て、怯えた様子で震えていた。
「ぁ…ぁぁ…」
「お前を迎えに来た……来い」
「懲りねぇ野郎だな…お前も……」
すると、ミユキの背後から声が聞こえた。男が声のする方を見ると、ヤタガラスの4人がいた。
「……お前は…」
「…数年ぶりだな…アスモ……今度は全治10年にしてやろうか?」
ナオトがミユキの横に立ちアスモに言った、するとアスモはナオトを睨みながら言った。
「………ミユキ…また今度迎えに来る…」
「おいおい!…逃げんのか!?」
そう言い残し、アスモはヤタガラスの前から姿を消した。ミユキはそれを見て、その場で膝をつき震えていた。
「…クソ……ミユキ…大丈夫か?」
「ぁぁ…ぁ…」
「ミユキ!…俺を見ろ…!」
ナオトは膝をつき、ミユキの肩を揺らしながらジッと目を見て言った。
「…父さん……」
「しっかりしろ…ミユキ…」
「……怖い…怖いよぉ………」
そう呟きながら涙を流すミユキを、ナオトはそっと優しく抱きしめた。
「大丈夫だ…お前を怖がらせるアイツはもういない……」
……
「…という事があった………ミユキ…落ち着いたか…?」
「………………うん」
俺達ヤタガラスは、さっきまでの事を会議室でみんなへ話した。
「……やはりその…アスモとやらだったな…」
「ああ…」
「それで…そのアスモという男は何者なんだ?……人間…だよな…?」
「かなりの歴史を持つ…暗殺者の一族……その一族の今の長だ……」
アスモは最高の腕を持つ暗殺者だ、とある事があり俺が半殺しにした所、姿を消していたのだが、まさかここで出てくるとはな。
「…暗殺者……」
「ミユキとは…どういう関係なんだ…?」
「まぁ……血縁関係で言えば…ミユキの本当の父親だ……」
「なるほど…」
まさか、アスモと出会うことになるとはな。
「もしかしたら…カイトと手を組んでいるのかもな……そうじゃなかったとしても…俺達の敵の可能性は高い…」
「……厄介な敵が一人増えたわけだ……」
「…アスモがカイトと手を組んでいても…対応できるような作戦を考えないとな…」
そんな時、梅岡がミユキへと尋ねた。
「…………あの〜…ミユキさん…」
「…ん?」
「正直…聞かない方がいいかなと思ったけど……その首を縫ってある糸も……アスモと関係があるのか…?」
するとミユキは、少しの沈黙の後に言った。
「…関係はあるね」
「えっ……」
「実は僕の過去に関係してるんだけど…聞きたい人いる?」
ミユキが尋ねると、会議室のほぼ全員が興味ありげに手を挙げた。
「多いね……」
「まぁな……やっぱり気になるし…」
「…じゃあ話そうか……」
そして、ミユキは過去についてを俺達へ話し始めた。
「……僕が父さん…ナオトと出会うもっと前の過去の話……」




