やり込みゲーマー
「テレビ画面には俺達全員の画面が表示されている!……見たら反則負けだぜ!」
「分かってるよ…!」
準備が終わり、俺達は準備完了の文字をタップした。
「楽しませてくれよ…ミユキ…!」
「もちのろん!」
「梅岡さん…手は抜きませんよ…?」
「……ああ…!……分かってるよ…!」
そして、ゲームがスタートした。
……
「…父さんは……やっぱりソルジャーか…!」
「ああ…俺は不利な相手だろうとソルジャーを選ぶ…ッ!」
俺はミユキの攻撃を避けながら、十郎へ指示を出していた。ミユキと梅岡も、何か作戦を考えているようだ。
プレイヤーは、最初にキャラクターを選ぶ。キャラクターは、それぞれスキルという固有の技を持っており、そのスキルと武器を使って戦っていく。
ソルジャー
9秒間、仲間と自分の攻撃力を上昇させ、弾数が無限になり、リロード不要になる。
キャット
8秒間、銃弾の防御と即死攻撃が可能なハサミを扱える。
シャーマン
20秒間、広範囲に敵の移動速度を下げて、持続ダメージを与える魔法陣を展開する。
スネーク
10秒間、透明になり、スキル以外の攻撃を無効化する。
「よし…十郎…いくぞ!」
「はい!」
タイミングを合わせて、俺と十郎は左右から回り込み、二人の所へ走っていった。
「おっと…ミユキさん!」
「分かってる…よッ!」
俺と十郎がkillを取ろうとしたその瞬間、フラッシュバンで視界が真っ白になった。
「…チッ……フラッシュバンか…十郎!」
「応急処置システムですよね!」
応急処置システム、それはカオスナードやフラッシュバンによる視界の変化を一瞬で治すガジェットだ。
「うおっと!!」
「ナオトさん!」
俺の横へ投げナイフが飛んできた、俺はミユキのキャラクターがナイフを投げる素振りをするのを見ていたので、躱す事ができたが、正直危なかった。投げナイフは、即死なんだ。
「父さんだけだろうね…僕のナイフを避けられるのは…」
「…危ねぇ……」
ガジェットとは、戦いを有利に進めるアイテムの事だ。プレイヤーは、アイテムを二つ持てる。
スモークグレネード
煙幕を張り、一定範囲の視界を悪くする。
応急処置システム
視界の変化を、一瞬で治す事ができる。しかし、使用に3秒かかる。
フラッシュバン
一定時間、相手の視界を真っ白にして、音も聞こえなくするが、近くにいると自分も食らう。
カオスナード
トラップで、設置した後に敵が踏むと効果が発動する。効果が発動すると、5秒間敵の画面が上下に反転する。
投げナイフ
当たったら即死のナイフを投擲する。
「ミユキはキャット…武器はアサルトライフルでアイテムは投げナイフとフラッシュバン…」
「梅岡さんはスネークで武器はスナイパー…アイテムはまだ分かりませんね…」
俺と十郎は、まぁまぁ広いマップの隅で隠れていた。
「……よし…ミユキは俺が倒す…十郎…お前は梅岡を…」
「…了解」
そして、俺はミユキと梅岡がいるであろう方角へ銃を構えながら、後ろの十郎を守り進んだ。
「スモークとフラッシュだ!!」
「…梅岡さんのガジェットは…スモークグレネードとフラッシュバン…」
ガジェットは、リスポーンすれば再度使えるようになる。投げナイフは三回、カオスは2回、それ以外は一回しか使えない。という事で、梅岡のガジェットはスモークとフラッシュだと断定したわけだ。
「予想通り!」
俺はアサルトライフルで、フラッシュバンと、スモークグレネードを撃ち抜いた。二つは空中で爆発したので、俺達は食らわなかった。
「…そこですね!」
「ナイスだ十郎!!」
「かかった…!」
十郎が魔法陣を発動し、ミユキと梅岡のダメージ音と足音が聞こえた。その音を聞くと、どうやら梅岡とミユキを離す事ができたようだ。
「二つのダメージ音が離れた…よし…二人を引き離せたぞ!」
「しかし…梅岡さんは恐らく透明になっています…遠くにいたら足音も聞こえないので分かりませんよ…」
「へッ…見とけ十郎!」
俺は上の方の空間を撃ち抜いた、すると梅岡が姿を現して倒れた。
「へへ…やったぜ…」
「は!?…嘘だろ!?」
「俺はこの【コールオブザデーモン】シリーズを…初期からずっとやり込んできたんだ……透明化なんて通用しねぇよ…!」
すると十郎が、俺に尋ねてきた。
「…一体……どうやって…」
「プレイヤーが通った場所には小さな砂埃が発生する…リアルに見せる演出だな……それを見て…俺はあそこに梅岡がいると確信したんだ…!」
「……なるほど…しかし……あの距離の砂埃に気付くなんて…そんな技術持ってるの…プロゲーマーにもいませんよ…」
「全くだぜ…バケモノだ………」
そしてリロードして、十郎と物陰に隠れた。
「へへ……よし…最後はミユキだ!……二人で倒すぞ!!」
「それは…ちょっとできないかなぁ…!」
「…ッ!!」
俺が物音を聞いて振り返ると、ミユキがハサミで十郎を斬っていた。
「……すみません…ナオトさん……やられました……」
「…全く気付かなかったぜ……お前…腕を上げたな…!」




