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最悪な展開




「……誰が相手だ…?」

「…俺がいくぜ」

「ナオト…」

「まぁ…この中で主戦力の一人だからな……ナオトなら…或いは…」


俺は上着を脱いで、Aの目の前へと歩いていった。


「なんつー気迫だよ……ビリビリくるぜ…」

「………………」


すると宇川が、俺へ叫んだ。


「ナオト!…やっちまえ!!」

「…ああ!」

「父さん頑張れー」


俺の後ろにいるみんなが、俺へ嬉しい言葉をかけてくれている。


「……ナオト…お前を信じるぞ…」

「おう!」


そして袖を捲り、ちょっとした運動をすると俺は構えた。


「…今は……信じるしかないな……ナオトが勝つのを…」

「始まりの合図は…って……喧嘩にそんなのないか…」


構えている俺に、Aが言った。


「……ああ…喧嘩に合図はない……好きな時に来いよ…」


Aがそう言った瞬間、俺は距離を詰めて三連でブン殴った。


「…ふっ……マジかよ…」

「…………」


俺の三連撃は、いとも容易く受け止められていた。俺は続けて、ジャンプして頭上へ殴りかかった。


「うぉ!」

「…フンッ!」


首を掴まれ、思い切り投げ飛ばされた。空中で体制を整え、着地したがこのAって奴、バケモノか。


「強ぇな…」

「…ナオト……」

「あ…?」

「場所を変えようぜ」


Aが構えを解くと、俺達のいる場所が公園ではなく、神々しい闘技場へと変わった。


「ここは…」

「…神と神が戦う……いわば闘技場的な場所だ」


観客席にいるみんなの所へ、ブラックが立っていた。


「ブラック!?」

「……来てたのか…」

「ああ…一目見ようとな」

「フン…」


そしてAが、闘技場を見ながら俺へ言った。


「知ってると思うが…ここなら誰の迷惑にもならず…お互いに全力を出せる…」

「…確かに…この会場は頑丈だからな……」


これで全力を出せるわけか…しかし…俺の本来の戦闘力を知っているだと?…それを知ってるのは……


「………じゃあ…続きをしようか…」

「ああ…」


そして、俺は先手必勝で殴りかかった。Aはそれを簡単に避けて、俺へカウンターを仕掛けてきた。


「玄人は…絶対に引っかかるんだよな…!」

「…ッ!!」


俺はカウンターを避け、頭へ蹴りを食らわせた。


「カウンターのカウンターだぜ!」

「………!」


そしてその蹴りにより、仮面が地面へ音を立てて落ちた。


「……アキラと聞いて…まさかとは思ったが………何故アンタがここにいるんだ…?」

「…………………」

縞凪(しまなぎ) (あきら)さんよ…ッ!!」



……



その男を見て、ヤタガラスやジークは息を飲んだ。


「…最悪な展開だな……」

「……予想はしていたが…外れてほしかったな……」

「…ヤバイ……」


焦りの表情を浮かべるヤタガラスへ、乖理が尋ねた。


「アキラさんを知ってるのか…?」

「ああ…ナオトの……従兄弟だ…」


ナオトは、暗い表情のアキラへ尋ねた。


「…何で……アンタがこの世界に…」

「……フン…そのくらいなら…話してもいいだろう……」

「アキラさんは…この世界の人間ではなく……ナオト達と同じ世界の人間だった…?」


そしてアキラは、自身の事を話し始めた。


「俺は…まぁ…色々あってな……弱きを助けるヒーローのようになりたいと思い……この世界へ行き…SdSのメンバーとなって…悪魔や天使からこの世界を守っていた…」

「……何で…SdSを辞めたんだ…」

「………………気付いただけだ……俺は…いてもいなくても良い存在だってな…」



……



「大丈夫か!?」

「…は……はい…ッ…」


傷だらけの仲間を助けた


「捕まえた!…そら……もう大丈夫だ…!」

「うぇぇん…」


悪魔によってボロボロとなった町の子供達を助けた


「オラァ!!」

「クソ…ッ……聞いてねぇよ…ッ……アキラがいるなんて…ッ!」


世界を傷付ける悪魔や天使を倒し続けた…だが……


「傷は大丈夫か…?」

「ああ…まぁ……なんとかな……」


「元気か?」

「う…うん!……おじさんに助けてもらったから元気だよ…」

「…あの時は本当にお世話になりました…………ほら…行くわよ…」


俺が人助けをする度に、みんなは俺から離れていく気がした。


『嫌われてんのかな……』

「………だよな…」

『…何だ……?』

「アキラさんだろ?……絶対に人間じゃないだろ…」

「ああ…違いねぇ……だって人間があんな強いわけねぇもん…」


みんな、俺を嫌ってるわけではなかった。みんなは、俺を恐れていたんだ。俺が悪魔や天使のような、バケモノから助けた人々は、みんな口々に言っていた。


「アキラこそが…真のバケモノだ」


俺が悪魔や天使を倒せば倒す程、そして助ければ助けるほど、みんなは俺から離れていく。


俺が、バケモノだから。






















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