音楽勝負
「あ!…米にした理由分かったよ!……『気』という漢字は中が『乂』だから…力を封印して解放できていないように見える……だけど…中が八方向に広がってるように見える『米』だったら解放してる風に見える…だから『氣』にしたんだ!」
「…何で俺の考えてる事が分かるんだよ…」
「分かるよ…父さんの考えてる事なんて…!」
「気持ち悪い事言うな…!」
……
「技名が意氣衝天なのは…四文熟語から取ったらしいよ!」
「ほぅ…」
意気衝天
読み方:いきしょうてん
意味:気力が天を衝くほど高く充実している様子。
「意気」は気力や気概、「衝天」は天を衝くほど高いという意味。
四字熟語辞典オンライン より
「…父さんは本当に何の才能も持たない…ただの人間だった…」
ミユキは、森林を見ているトシジへ続けて言った。
「……父さんはどれだけ努力しようと…何をしようと何者にもなれない…本当の意味で平凡な人間だった……だけど…」
「…意氣衝天という技を手にした……」
「………父さんは数々の修羅場を潜り抜けた…それこそ常人なら狂っちゃうような修羅場を……だからか父さんは平凡な人間という運命をねじ曲げ…意氣衝天という技を手にした…」
二人は轟音のする森林を、まじまじと見ていた。
「…父さんはバケモノでも…クロウでもなかった……だけど…意氣衝天を手にして…神を超えた……」
「…………」
「……運命をねじ曲げ神を超えるという運命だったのか…神がプレゼントした奇跡か…はたまた…その神にも予測不能で理解不可能な偶然か……」
するとミユキが、トシジへ尋ねた。
「トシ爺は…父さんがあの技を手にした事について…どう思う?」
「ふむ……」
少しの沈黙の後に、トシジは答えた。
「「ナオトがあの技を体得したのは必然だ」」
トシジが言った事と、ミユキは全く同じ事を被せて言った。
「アハッ!…トシ爺も僕と全く同じ考えだったんだぁ!」
「……フン…」
すると、森林の中からナオトが未来と共に出てきた。
「…あっ……映像見てなかった……まぁ…分かるけどね…!」
「……ナオトだろう?」
「ああ……未来よりも5秒早く倒したナオトの勝ちだ」
「やったね!」
ミユキは掌をナオトへ向けた、それを見てナオトが、ミユキへハイタッチする。
「へへ…やったぜ」
「…私の完敗ね……だけど…あの技は何なの?」
「意氣衝天…氣力を具現化する技だ……」
そう言って、ナオトは腕を振った。すると、ナオトは半透明な鉄パイプを握っていた。
「……武器を作る事もできるし…」
鉄パイプを消して、ナオトは天空へアッパーをした。すると、半透明な波動が天空の雲へ大きな穴を開けた。
「こんな感じで…氣力を波動にして放出する事もできる」
「簡単に言えば【か◯はめ波】だ!」
「もっとヤバイって所を見せたいが……世界をぶっ壊してしまったらヤバイからな…」
そして俺は、Aに尋ねた。
「3試合目は何だ?…どちらがゲーム上手いかとか?」
「…3試合目も4試合目も音楽の勝負だ」
「……音楽…?」
「ああ…3試合目はラップバトル……4試合目はどちらがより良い演奏をできるかだ……先に聞いておくが…誰が出る…?」
それを聞いて、俺達はお互いの顔を見ると即決した。
「…ラップバトルは『MAD HOP』のZ-規制……演奏の勝負は『The Crazy Rock』だ!」
……
とある会場にて。
「……異界に来てラップバトルする事になるとは…」
「面白くなってきたな!…Z-規制!…頑張れよ!」
「…頑張るよ」
Z-規制は俺達の話を聞いて準備をし始めた。そしてZ-規制は準備を終えて、舞台へ立った。その舞台を、沢山の人々が歓声を上げて見ていた。
「…準備OK…いつでもできます…」
「こちらも…」
DJ関沢がスクラッチをすると、仮面を付けた奴がZ-規制の前に立った。
「名はデスタル…俺がお前のバトルの相手だ…」
「あっ…よろしくお願いします…」
「…準備はいいか?……それじゃあ DJ関沢…ビートを」
Aがそう言うと、DJ関沢はバトルビートを流した。Z-規制とデスタルは、静かに聴いている。そしてビートを止めると、Aが二人へ言った。
「……先攻後攻決めるじゃんけんを」
Z-規制とデスタルがジャンケンをすると、勝ったのはZ-規制だった。
「……後攻で」
「よし……バトルは8小節4本………それでは…レッツファイトッ…!」
バトルが始まると、ミユキがバトルを見ながら言った。
「……Z-規制って確か…ラップバトルの大会を優勝してたよね…それも……バトルの猛者が一番多かった第47回目で…!」
「ああ…あの大会はヤバかったな…」




