オメガ&シグマ
“俺は…今日からSdSの味方でも…悪魔や天使の味方でもない……中立の立場になる…”
“なんだと…!?”
「…アキラさんは自身をAと名乗り……中立の組織…『ニュートラル』を創設した…」
「……確かに…仲間になりそうな雰囲気ではないな…」
「敵じゃない分…何倍もマシだがな」
するとトシ爺とタケ爺が、七海へと言った。
「…俺達がAと…話をつけてくる…」
「……なに?」
「タケヲは殺し屋時代に…沢山のマフィアやヤクザと交渉してきた……だから交渉は得意だ」
確かに、タケ爺は裏社会で生きてきた、だからマフィアやヤクザと沢山の交渉をしてきた分、交渉術は高い筈だ。
「…なんとか……仲間になってくれないか頼んでみよう」
「………そうか…ありがたい……」
「…じゃあ……スマホに『ニュートラル』の位置情報を送っておく」
「メモにしてくれんか…『すまほ』とやらはどうしても上手く使いこなせなくての…」
七海はメモ帳に『ニュートラル』のある座標を書くと、二人へ渡した。
「ありがとう」
「お前達は…ゔぁんげすと…とやらを探してこい」
そして二人は俺達へそう言い残し、部屋から出て行った。それを見て通常人格の斬仁が俺に言った。
「……ナオトさんのお爺さん…色々な意味で凄いですねぇ…」
「…ああ……100歳超えてるというのに…未だに一日500回も素振りをしてるからな…」
「………それじゃあとりあえず…俺達は【黒の王達】を探しに行くか…?」
その時、上空から物音を聞き取った俺達は、身をかがめた。その瞬間、屋上から大きな音が聞こえた。
「……また…命知らずの悪魔でも突撃してきたか…?」
「…………うるせぇ奴だな…」
宇川と同じように、身をかがめていなかった親父は立ち上がると扉を開けた。
「シゲキさん!…屋上に行くのか!?」
「ああ……ジジィ共と同様…俺も久々に暴れたいんでな…」
「へへ!……このSdS本社をぶっ壊すなよ…!」
親父は静かに頷き、部屋から飛び出した。
……
「………うぉぉ!!」
「うぐッ…!?」
シゲキが屋上へ行くと、抵士官達が大きな悪魔と戦っていた。
【ジャイアント系悪魔】
レベルⅤ
巨人型の悪魔で、破壊力と体力に優れているが、知能が低く言語が理解できないので、単純な命令しか聞けない。
「退け!!」
「…ッ!?」
抵士官達へそう叫ぶと、シゲキは地面を蹴り、【ジャイアント系悪魔】を思い切りブン殴った。
「ラァッ!!」
「うぉぉ!」
【ジャイアント系悪魔】は、大きく仰け反って怯んだ。シゲキはすかさず、ダッシュして追撃のラッシュを食らわせた。
「セイッ!」
追撃のラッシュを食らった【ジャイアント系悪魔】は、その場でよろけた。
「オラァ!!」
「は……離れろォ!!」
【ジャイアント系悪魔】の後ろにいた抵士官達は、急いで離れた。そして【ジャイアント系悪魔】は、大きな音を立てたその場に倒れた。
「…ガタイが良いから期待したが……もっと耐えろよ雑魚が」
「よ…よし!……確保だ!」
抵士官達は、【ジャイアント系悪魔】を拘束し始めた。シゲキが背を向けると、乖理が立っていた。
「……心配して見に来たが…余計な心配だったようだな」
「…悪魔ってのも…大した事ないな」
「……心配するな…もう少ししたら強い悪魔が…ッ!!」
「あ?」
二人が空を見ると、もう一体【ジャイアント系悪魔】が飛んでおり、屋上へ降りてきた。
「またかよ」
「…珍しいな……2体も来るとは…」
すると地上から、二つの人影が飛び上がった。
「なんだアレ?」
「……丁度…今月のメンテナンスが終わったみたいだな」
「…メンテナンス?」
二つの人影は、乖理とシゲキの前に着地した。それを見て抵士官達はシゲキと乖理の横を走り去っていった。
「退避しろ!」
「…今日で俺達の本部防衛は終わりか……」
「……何だコイツら…」
シゲキと乖理の前に着地した二人は、身体が機械で構成されたサイボーグだった。
「人工知能を搭載した…本部防衛用のサイボーグ……戦闘ロボットだ…」
「…ターゲット確認……捕獲する…」
「……ハァ…捕獲か……」
そして二人は飛び上がり、一人は背中から光の刃を纏う刀を取り出し、もう一人は腕を銃のように変形させた。
「…刀を持ってるのはオメガ…腕が銃になってるのがシグマだ……」
「ロボットだろ?……鉄の塊じゃねぇか…戦えんのか?」
するとオメガとシグマは抜群のコンビネーションで、【ジャイアント系悪魔】の頭を狙って攻撃した。【ジャイアント系悪魔】が怯むと、オメガがシグマへ言った。
「……いいぞ!」
それを聞いてシグマは銃をさらに変形させ、【ジャイアント系悪魔】に向かって網を射出した。【ジャイアント系悪魔】は網に囚われ、暴れていたがシグマの銃弾を食らうと動かなくなった。
「…よし……終わりだな…」
「捕獲完了…」




