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老兵




「………………………親父……?」

「え…?」

「…………よぉ…」


親父は、俺の目の前に立った。親父は56歳ではなく、俺達と同じ16歳程に若返っていた。


「…ジェノサイズモードの時の…ナオトさんにそっくりだな……」

「この人が…ナオトの……」

「……親父…随分と若返ったな…」

「ああ…ホワイトがあの名探偵を子供にした薬をくれたんだよ」


そして、そんな俺の元へいかにもなバンドマンが、走ってきた。


「久しぶりだな!…ナオト!!」

「…RACKA(ラクア)!……お前も!?」

「ええ!?…RACKA!?」


RACKA

世界的なロックバンド『The() Crazy(クレイジー) Rock(ロック)』のボーカルで、高校からの俺の友達だ。


「…はぁ……何で俺達まで…」

「チッ……また面倒臭い事に手を突っ込みやがって…」


ギターのTAIKI(タイキ)、ドラムのANDOU(アンドウ)は後ろで面倒臭そうに立っている。この二人も、高校からの友達だ。


「……何で来たんだよ…」

「お前らが世界を救おうとしてるって聞いたから…応援しようとホワイトに無理言って来たんだよ!…それと『MAD HOP(マッドホップ)』のZ-規制とDJ関沢(せきざわ)も応援に来てくれたぜ!」

「あっ…どうも〜…こんにちは〜」


日本のラップバトルで、トップの実力を誇るZ-規制と、唯一無二の実力を誇るトップクラスDJである関沢、この二人は『MAD HOP(マッドホップ)』というhip-hopユニットだ。Z-規制とDJ関沢は、中学の頃に仲良くなった友達だ。


「……え… The Crazy Rockと…MAD HOPは……戦えるのか?」

「いや!…俺達はただの応援団として来ただけだ!……アンタらに手を貸すのは……この人達さ!」

「…また……手が痛くなってしまうな…」

「お…おい……」

「マジか……!」


助っ人を見て、俺は思わず固唾を飲んだ。


霧島 トシジ

俺の父方の爺ちゃんで、110歳とめちゃくちゃ長生きだ。第二次世界大戦の時に、7歳で戦場に降り立ち、日本刀だけで確認されてるだけでも247人は殺害し、米軍から『鬼の子』と呼ばれた。鬼の子だから110歳超えてもピンピンしてるのかもしれない。


縞凪 タケヲ

俺の母方の爺ちゃんで、先祖は韓国か中国の皇帝を支えていた暗殺者らしい。その為か、タケ爺は幼い頃から殺し屋をしていたという話を婆ちゃんから聞いた。第二次世界大戦中も、殺し屋の仕事をしていたらしい。今は和食屋を開いている。


霧島 正美

俺の母ちゃんだが、強いなんて話は聞かない。何の用で来たのだろうか。


霧島 茂樹

俺の親父でバケモノ、元々は関西を仕切るヤクザ組織のトップだ。『ボディービルダーか!』ってくらいめちゃくちゃ筋肉質で、リミッター解除した宇川と力比べして引き分けに持ち込んだ怪物だ。


「親父と…母ちゃん……それに爺ちゃんも…!?」

「……ナオトさんの周り…バケモノばかりですね…」

「けどこれで…人手不足は解消ですね!」

「…そうだな……このレベルの人が四人もいれば大丈夫だろう…」

『…………俺いらないんじゃないか…?……黙って帰ろうかな…』

「……話は聞いておる…………さっさと終わらせるぞ」


親父と母ちゃんは、俺達と同じくらいの年齢になっている。すると、トシ爺が腰にぶら下がる刀の鞘を握り、七海へ言った。


「…そうですね」

「……じゃあ早速…【黒の王達(ヴァンゲスト)】を捕獲しに行くか?」

「総特!…付近にレベルⅤの悪魔の群れが出現しました!」

「………ッたく…これからって時に来るよな…悪魔は……」


その時、それを聞いていたトシ爺が、七海へ言った。


「俺にやらせろ…刀を握るのは久しいからな……体が鈍っていないか確かめておきたい」

「……それなら…俺も確かめておくとしようか」

「…おいおい……ジジィは無理して動かない方がいいぜ…」

「昔は…『お父さん』と呼んでくれてたのだがなぁ……」



……



「………アイツらか?」

「…ああ」


目的地に歩いていくと、15人の悪魔がいた。


「…あれが……」

「……悪魔…か…」


するとトシジは刀、タケヲは二丁の銃を抜いてナオト達、若者へと言った。


「…見とけよ若者……これが…老兵の戦い方だ…!」

「……行くぞ…トシジ…」


トシジが先陣を切り、4人の悪魔を同時に斬った。


「うぉぉ!……四人同時に斬りやがった!」

「……ふむ…どうやら……あのホワイトとやらの言う通り…身体能力が…かつての俺達のものに戻っている…」

「…ああ……あの頃を思い出す…」


荒々しい、獣の如き太刀筋でトシジは悪魔を斬っていく、タケヲは流れる水のように、悪魔を次々と撃ち抜いた。


「………終わりだ…」

「……爺ちゃんって…こんな強かったんだ」


そしてそんなトシジとタケヲへ、シゲキが言った。


「ジジィのくせして……元気な事だ…」

「若返ってるからだろうな……というか…親父も十分ジジィだろ……若返る前…何歳だった?」

「俺はまだ57だ」

「ジジィじゃねぇか」




















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