サンプル入手
「……【五つの災厄】の一人…サリヴァンが生み出した自身の分身だ……一体何故ここに…」
「とりあえず倒す!」
総特抵士官達は、レジアルを起動して【サリヴァンの教え子】を前に、構えた。
「レベルは?」
「……レベルはⅦだ…」
「Ⅶか…地味に高いな…」
すると宇川が、総特抵士官達の前に出て、ミユキ達へ言った。
「…先に行ってろ……巻き込まれたくなけれりゃあな!」
「なに?」
「コイツは俺がブッ倒すって事だよ!…ここに来てから全然…戦ってねぇからよ!……何かブン殴りたいんだ!!」
それを聞いて総特抵士官と討伐メンバー達は、少しの沈黙の後に走っていった。
「あとで来いよ…」
「宇川さん!…死ぬなよ!」
「へッ…分かってるっつーの!…………お前は行かねぇのか…?」
「僕は大丈夫だよ!…貴方の弟子…何だからさ!」
「確かにそうだな!」
そしてミユキが見守る中、宇川と【サリヴァンの教え子】は睨み合っている。
「ANAを…ぶっ壊す!」
「無理あるね」
宇川が、【サリヴァンの教え子】へ突っ込むと、【サリヴァンの教え子】は宇川の目の前で、指を指した。
「…………」
「うわー…痛そー……って…分身だし…痛覚無いか…」
【サリヴァンの教え子】の指を、宇川は掴んでへし折った。そして怯んだ【サリヴァンの教え子】を、宇川はブン殴った。
「わっしょい!」
「…うおー……」
拳が頭へめり込み、【サリヴァンの教え子】は地面に伏した。そこへすかさず、宇川は蹴りを食らわせた。
「シュート!!」
「あ…勝った」
【サリヴァンの教え子】は吹き飛んでいき、遠くの方で落ちると消滅した。それを見て、宇川はサッカーのゴールパフォーマンスをした。
「相変わらずゴツいね…師匠は…!」
「よっしゃあ!…行くぞミユキ!!」
「うん!」
そして宇川とミユキは、他のメンバーが行った方へと走っていった。
「師匠…サッカーした事あるの…?」
「ああ!…ゲームだがな!!」
「ゲームなんだ…」
……
「……どちらもサンプルを手に入れる事ができたようだな」
「ああ…異界から来たメンバーのおかげだ」
「…………父さん…大丈夫…?」
股間の痛みで、全然話が入ってこない。
「…クソ……川畑…お前……前よりも性格が残忍になってんぞ……」
「なんだよ…置いていこうとした事か?」
「それ以外何があんだ!!」
すると川畑は、残酷な天使の如き笑みを浮かべ、俺の肩をポンと叩いて言った。
「冗談だよ…アメリカンジョークさ……」
「………ッ…」
その顔を見て、昔の川畑を思い出した俺は少しゾッとした。
「と…とりあえず……これで業の解析とかができるな!」
「…ああ……もしかしたら…業の侵食を直す方法が見つかるかもしれない…」
天と獄が、サンプルを見ながら言った。俺はその時、少し気になる事を思い出したから、天と獄へ言った。
「これも…何かに使えるかもよ」
「…これは……」
「業に取り憑かれた人間…修羅を元に戻す為の恩恵が施された刀だ」
「ふむ……もうちょっと早く出してくれたら良かったのだが…」
「……ごめん…忘れてた」
ごもっともだ、この刀が業に関係しているのを忘れていた。
「いつ出すのかと思えば……忘れてたのか…」
「でた…父さんのドジなところ…」
「うるせぇな!…俺は忘れっぽいんだよ!」
「じゃあ…この刀とサンプルで……業の事を調べてみるとしようか…」
そして天と獄は研究室で、作業の準備を始めた。
「…次は何するんだ?」
「……サラックの尋問だ…今のところ…カイトの捜索に関しては…アイツが唯一の手がかりだ…」
「…あぁ……そうだな…」
……
「言え!…知ってる事を全部!!……言わなければ…別の方法を使う必要があるぞ…?」
「知らねぇもんは知らねぇよ!…拷問でもなんでもやれよ!……俺はマジで何も知らねぇからよ!」
抵士官が尋問をするが、サラックは『知らねぇ』しか言わない。すると抵士官が諦めた様子で、部屋から出てきた。
「…あっ……七海さん……」
「手間取っているようだな」
「はい…」
「コイツはレベルⅩだ…拷問は恐らく通じないだろうな」
「どうしたものか……」
するとカイト討伐メンバーの俺達は、一斉にミユキの方を向いた。
「………僕の出番のようだね」
「……ミユキ…あぁ…お前は拷問が得意と聞いている…………情報を引き出せそうか?」
「うん!…じゃあ僕がやってくるよ」
そしてミユキは、部屋へ入っていった。するとミユキを見て、サラックの目の色が変わった。
「こんにちはぁ!」
「………ッ!……お前…ミユキとやらか…?」
「え?……僕の事知ってるの?…嬉しいなぁ…!」




