サッカーボールキック
「…九州の奴等はサンプルの採取…サラック捕獲と二つの目的があるが…みんなは大丈夫だろうか…」
「大丈夫だよ!」
「大丈夫だろ!」
宇川とミユキが、同時に梅岡へ言った。
「向こうには川畑とナオトがいるからな!」
「父さんと先生は悪魔如きに遅れを取らないよ!……その程度の実力だったら…僕はとっくに二人を殺してるし…!」
「…そうか……」
その時、その場にいた勇兎以外は止まった。
「……止まって」
「…え?」
気付かない勇兎を、ミユキが掴んで止めた。すると、地面けら歪な竜が飛び出し、ゆっくりと歩いてきた。
「………【業龍】だ…レベルはⅥ…」
「…龍?」
「……あぁ…業が生み出した龍だ…」
そして業龍は、ミユキ達を見て咆哮すると、天空へ飛び上がり凄まじいスピードで突撃してきた。
「うぉぉ!!…来るぞ!」
『やべぇ…俺死ぬのかな…』
すると業龍は真っ二つになり、ミユキ達の右側と左側へ体が分かれた。体は、数秒後に消えていった。
「……え…?」
「あんまり硬くない」
「…ミユキ…さん…」
ミユキが先頭に立っていた、ミユキが包丁で斬ったのだ。それを見て、八鳥はミユキへ言った。
「一太刀で……見事…」
「やるじゃねぇか!」
「さぁ!…行こ!」
そしてミユキは、みんなを先導して先へ進んだ。
「……あと10kmか…」
「クソが!…全力で走れば一瞬で着くのによぉ!!」
「…まぁまぁ……師匠が全力で走ったらここの人達が…走った時の衝撃で吹き飛んじゃうよ」
すると大きなクレーターが見えてきた、クレーターの中心にあるトゲを見て乖理がミユキ達へ言った。
「…ここだ……発生地は…」
「おー…やっとか……」
「条件が揃ってたら瞬時に着くところを…6時間かかったのか」
そしてミユキ達は、ゆっくりと慎重にクレーターの中心にあるトゲへ向かっていった。
「業の濃度が高いね」
「ああ…俺達でなきゃ狂ってるね!」
おどろおどろしい雰囲気を醸し出す、中心地にあるトゲへ到達すると、乖理は採取しようと近付いた。
「このトゲのサンプルを採取する」
「さっさとして帰ろうぜ」
「…ああ」
乖理は、トゲのサンプルを採取した。サンプルは、黒いモヤを纏っている。
「……これでよし」
「そんじゃあ帰るか!」
その瞬間、ミユキ達の背後から、巨大な鉄球が落ちたかのような轟音が響き渡った。
「何だ…?」
「……………」
振り返るとそこには、暗い細身の男が地面に小さなクレーターを作って着地していた。
「…【サリヴァンの教え子】だ!!」
「なにそれ!」
すると【サリヴァンの教え子】は、ミユキ達へ指を指した。
「!!」
指の先端から光線が飛び出し、ミユキ達の後ろにあったビルを破壊した。ミユキ達は、その光線を間一髪回避した。
「……【五つの災厄】の一人…サリヴァンが生み出した自身の分身だ……一体何故ここに…」
「とりあえず倒す!」
総特抵士官達は、レジアルを起動して【サリヴァンの教え子】を前に、構えた。
「レベルは?」
「……レベルはⅦだ…」
「Ⅶか…地味に高いな…」
すると宇川が、総特抵士官達の前に出て、ミユキ達へ言った。
「…先に行ってろ……巻き込まれたくなけれりゃあな!」
「なに?」
「コイツは俺がブッ倒すって事だよ!…ここに来てから全然…戦ってねぇからよ!……何かブン殴りたいんだ!!」
それを聞いて総特抵士官と討伐メンバー達は、少しの沈黙の後に走っていった。
「あとで来いよ…」
「宇川さん!…死ぬなよ!」
「へッ…分かってるっつーの!…………お前は行かねぇのか…?」
「僕は大丈夫だよ!…貴方の弟子…何だからさ!」
「確かにそうだな!」
そしてミユキが見守る中、宇川と【サリヴァンの教え子】は睨み合っている。
「ANAを…ぶっ壊す!」
「無理あるね」
宇川が、【サリヴァンの教え子】へ突っ込むと、【サリヴァンの教え子】は宇川の目の前で、指を指した。
「…………」
「うわー…痛そー……って…分身だし…痛覚無いか…」
【サリヴァンの教え子】の指を、宇川は掴んでへし折った。そして怯んだ【サリヴァンの教え子】を、宇川はブン殴った。
「わっしょい!」
「…うおー……」
拳が頭へめり込み、【サリヴァンの教え子】は地面に伏した。そこへすかさず、宇川は蹴りを食らわせた。
「シュート!!」
「あ…勝った」
【サリヴァンの教え子】は吹き飛んでいき、遠くの方で落ちると消滅した。それを見て、宇川はサッカーのゴールパフォーマンスをした。
「相変わらずゴツいね…師匠は…!」
「よっしゃあ!…行くぞミユキ!!」
「うん!」
そして宇川とミユキは、他のメンバーが行った方へと走っていった。
「師匠…サッカーした事あるの…?」
「ああ!…ゲームだがな!!」
「ゲームなんだ…」




