業の発生地
「これは業の濃度を検知するレーダーだ…これを使えば…どこで業が発生し…九州を飲み込んだかが分かる…」
「…確かに…業の発生場所に行けば何か分かるかもしれないな……」
「そして…この九州には【黒の王達】の一人…サラックが業の発生地付近へ理由は不明だが…来ているとの報告がある…目的は業のサンプル採取…そしてサラックの捕獲だ…発生地に手がかりが無くとも…サラックを捕まえて情報を聞き出せばいい…一つくらいは知ってるだろ…」
「九州の調査は…発生地の業のサンプル採取もそうだけど…サラックの捕獲の為でもあるんだ!」
「…なるほどね」
そして俺達はレーダーの指し示す、業の発生場所へ向かって行った。
「距離は?」
「…50km以上はあるな…」
「地味に長いな…」
「もっと近くで降りる事は出来なかったのか?」
「業の濃度が深すぎる場所へ近付くと…PhoeniXといえど…墜落してしまうんだ」
ここから50km以上か、近くは無いな。
「…そういえば…宇川さんって光の速度で走れるらしいけど……ナオトさんは?」
「いや…俺は走れない……だけど宇川は光と同等…川畑は光よりも疾く走れるんだぜ…!」
そう言って、俺は川畑の方を向いた。
「じゃあ川畑さんが走ったら…九州の調査がすぐ終わるんじゃない?」
「…光の速度で走れば…勢い余って地球一周してしまうから無理だな……」
「……まぁ…そんな都合の良い事なんて無いよな…」
そして俺達が歩いていると、目の前にいかにもなモンスターが、飛び出してきた。
「コイツは…!?」
「…業人だ……だが幸い…レベルはそこまで高くは無さそうだ…」
七海は、レーダーを見ながら答えた。レーダーには、俺達の目の前にいる業人のレベルと、特徴が表示されている。
「スゲー便利だなソレ!」
「……業人の…業の濃度を測定してレベルと…特徴を検出する…」
「レベルは?」
「…Ⅱだ」
その瞬間、十郎が業人へ蹴りを食らわせた。業人は、十郎の蹴りで粉々になり、消えた。
「……確かに…そこまで強くはないですね…」
「…格闘家でも…レベルⅠと同格レベルの筈なのにな…」
そして俺達は、再び目的地へと歩いた。
「業人ってレジアルにできないの?」
「業人はどんな武器でも倒せる代わりに…レジアルにできないんだ」
「へぇ…そうなのですね…」
……
「もうすぐだな」
レベルの低い業人が何体か襲ってきたが、それを退けて俺達は目的地の近くまで来ていた。
「…空気が重い……業の濃度が高いからか…?」
「ああ…訓練していなければこの辺りから業に呑まれる……」
辺りは黒い霧が立ち込み、陰気な空気が身体にまとわりつく。
「……そして…濃度が高い分…出現する業人も強力になる……」
俺達の目の前には、3mある歪な鎧の騎士が立っていた。
「…【業騎士】だ……レベルはⅥ…」
「……ふむ…」
業騎士は、俺達に気が付くとゆっくりと歩いてきた。
「まぁ…業人は動きが単調だから……レベルⅥの悪魔や天使が倒せるなら…余裕で倒せるぞ」
そう言って光Pが、業騎士へ向かって光Pのレジアルである、ライトソアーを構えた。ライトソアーは、銃口が大砲のような形状になっている。
「…銃か?…ソレ…」
「ああ…」
その瞬間、光Pのもつライトソアーの銃口から、無数の光の弾丸が射出された。
「……ッッ…」
業騎士はその場に倒れて消滅した、光Pのライトソアーの銃口からは煙が出ている。
「よし…先へ進もう……発生地はもう目と鼻の先だ!」
「…ああ」
そしてそこから少し歩くと、天までそびえ立つ黒いトゲがあった。。その周りには、ビルなどの残骸があった。
「……数年前に突然…このトゲが発生した……そしてこのトゲから…業が吹き出し…九州は業に呑まれた」
「…今もこのトゲは業を出し続けている……気を付けろよ!…心の奥底の暗い感情が高まれば業に感染して修羅になると言われているが……そんな感情が高まらなくとも…業に近付き過ぎたら業に冒されて修羅になるからな!」
「……斬仁ってこんな感じだったっけ?」
俺が尋ねると、七海が少しの沈黙のあとに答えた。
「…コイツは過去のトラウマで…二重人格になってしまったのだ……お前らが最初に見たのは元の人格で……今はトラウマによって作り出された暴力的な人格だな」
「俺は暴力的じゃないぜ!…紳士だからな!」
そして俺達は、トゲを見上げた。
「…このトゲと…周辺を調査するのか?」
「ああ…トゲのサンプルの採取……そして周辺区域にいるとされるサラックの捜索を行う」
「サンプルは業に対抗する為の研究に必要だからな!」
「そんで採取した後…サラックを捕まえてカイトの情報を聞き出すんだな!…そんじゃあ早速採取しようぜ!」
「…だな」




