最新鋭の技術
「……という事で…何とか口裏を合わせてほしい!」
「…なるほど……」
勇兎は、カイト討伐メンバーの全員へ自分の秘密を話した。
“やっぱり…SdSのみんなにはまだ話せない……”
“ふーん…そっか…”
“…だけど…カイト討伐メンバーの全員には話すよ”
「……何でコイツらには話すんだ?」
「…他の総特抵士官とは長い付き合いだし……今までの俺を知ってるから…秘密を話したあと…お互いに接しづらくなる……そう思うと…やっぱりまだ言えなかったんだ…」
「………なるほどなぁ…」
「だけど…この人達は今までの俺をそんなに知ってる訳じゃないじゃん……だから…大丈夫かなと思って…」
そして勇兎は、拳を握りながら続けて言った。
「…そうでなくても…他の総特抵士官に頼りにされててプレッシャー凄いからさ……その上にこの人達にも頼りにされたらプレッシャーに押し潰されそうで……だから…この人達には話したんだ……」
「……戦えないってなると…勇兎さんを守りながら戦わなければならないのか?」
「いや…戦えない代わりに……俺にはハッタリがある…だから大丈夫だ……みんなは口裏を合わせるだけでいい」
「…ハッタリ……本当に大丈夫なのか?」
川端が尋ねると、勇兎は少し自信を持って言った。
「……ああ…大抵の悪魔や天使は…俺を総特抵士官の中でもかなりの実力者だと思っている……そしてレベルの高い悪魔や天使に負けを認めさせたという事もあり…そこそこ無理のあるハッタリを言っても信じてくれるからな…」
「しかし…ハッタリだけで総特抵士官になるって……普通に凄いな……」
「…昔から…『お前って、漫画のキャラみたいな見た目してるよな』って言われてたから……この見た目が余計にハッタリを言っても本当だと思わせてるんだろう…」
話を聞いて、宇川は勇兎へ言った。
「口裏合わせはしてやるからさっさと行くぞ!!」
「…良かったね…勇兎さん」
「……ありがとう…足は引っ張らないようにする」
そして、それに続くように討伐メンバー、乖理、勇兎は他の総特抵士官の元へ向かった。
……
「…終わったか……」
「ああ」
すると獄が、二本の杖を持って歩いてきた。
「……作り終わったぞ…ミノルと樹一郎さんの武器…」
「どんなのだ?」
「どちらも刀だ…」
『TS-01』
レベルⅥ
【雷雲】のアダマスコンから作られた、ミノルのレジアル。雷を纏った刀で斬った雷が、斬った敵とその付近の敵へ連鎖して焼き尽くす。
『雷鳴』
レベルⅥ
【雷雲】のアダマスコンから作られた、樹一郎のレジアル。高出力の雷を放出し、雷の斬撃を生み出す。
「おぉ…スゲェ…」
「…アンタらは……変形武器とかよりも…単純な刀の方がいいと思ってな…」
「ありがとよ」
「……死ぬなよ」
そう言って獄は、歩いて行った。そして七海が、俺達へと言った。
「……それじゃあ決めるか?…九州と北海道のチーム分け…」
「そうだな」
俺達はくじ引きで分かれる事にした、七海がスマホを起動した。
「…このくじ引きアプリで決めよう」
「よし!…それじゃあ最初は俺だ!!」
宇川が、七海のスマホをタッチしてくじ引きをした、結果は北海道だった。
「北海道か!」
「…よし…次は俺だ…」
そして引いた結果はこのようになった。
【九州】
ナオト
川畑
十郎
ミノル
アザミ
光P
斬仁
乖理
【北海道】
宇川
ミユキ
樹一郎
梅岡
ジーク
七海
八鳥
勇兎
「……よし…分かれたな…」
「んじゃあ行こうぜ!」
「スマコとやらでワープできるのだろう?」
「ああ!」
俺がスマコを開こうとするも、反応が無い。とても嫌な予感がする。
「おいおいおい……嘘だろ…!!」
「……みんな!」
その時、丁度ホワイトがやって来た。
「おいホワイト!…どういう事だ!?」
「…スマコでしょ?…実は……回線を何者かに邪魔されて使えないんだ…」
「マジで!?」
これはマズイな…ワープが使えないなんて……
「……テオロンの魔法はジーク君以外…別世界のアースじゃ使えないから…魔法のワープも出来ないしね…」
「ジーク…ワープ系の魔法は…」
「ワープ系の魔法は使えないんだ…」
ホワイト、少し焦った様子で戻って行った。
「それを伝えに来たんだけど…ごめん!……こっちもカイトの事を調べないといけないから…すぐに戻らないと…」
すると七海が、どうしようかと考える俺達へ言った。
「……それなら大丈夫だ」
「…え?」
「俺達SdSには…アダマスコンで作った最新鋭のジェット機がある……それで行こう」
「燃料もいらないし…南極にも数時間で行けるから…ここから北海道と九州なら…5分で行けるんだ!」
凄いな…最新の技術ってやつは……
「スゲェ…」
「それじゃあ早速それで行くか!」
そうして俺達は、ジェット機のある場所へと、向かっていった。




