不殺の最終兵器 勇兎
「テ…テメェ!!」
「…………」
「……アレ…?……俺の…う…デ…」
そして、【六人組の四郎】が乖理へ向かって行くと、両腕がボトリと音を立てて落ち、その後に首も落ちた。倒れた【六人組の四郎】の前には、八鳥が立っていた。
「さらば」
【SdSの刃】八鳥 乱十郎
レベルⅩの悪魔、天使、業人の撃破数9体
レジアル『国正』
「ぐあ!」
「ッ!…避けろ!」
「…避けられたか……だが…【六人組の六郎】は倒したぞ」
光の弾が六郎へ突き刺さり、それを見た他の【六人組】は、急いで避けた。
【SdSの希望】光P
レベルⅩの悪魔、天使、業人の撃破数12体
レジアル『ライトソアー』
「一人くらいは殺ってやる…!!……まずはテメェからだ!」
「え…ふぇ…!?……僕!?」
【六人組の三郎】は、少し怖じける斬仁へ向かって突っ込み、蹴りを繰り出した。
「…うわ!」
「チッ…外したか…」
「や…やめてよ……」
地面へめり込む足をすぐに抜き、【六人組の三郎】はストレートパンチを打ってきた。
「死ね!…や?」
【六人組の三郎】は、地面を見ていた。【六人組の三郎】は、一瞬何が起こったのか理解していなかったが、首の無い自分の体を見て理解したと同時に意識が無くなった。
「……ぁ…」
「あ〜あ…だから『やめて』って言ったのによぉ……」
転がる首を、斬仁は嘲笑いながら踏み付けた。
【SdSの死神】迫田 斬仁
レベルⅩの悪魔、天使、業人の撃破数23体
レジアル『???』
「…くそがぉぁぁぁあ!!」
「……ふぅ…」
向かってくる【六人組の五郎】を見て、七海はレジアルを起動した。
「……ブッ殺してヤr」
「…誰をブッ殺すって?」
【六人組の五郎】は呆気なく七海に首を切られ、膝をつき倒れた。
【SdSの最高到達点】七瀬 七海
レベルⅩの悪魔、天使、業人の撃破数20体
レジアル『G-jack』
「……ッ!!」
「…一人逃げたか……」
「まぁ…大丈夫だろ……向こうには勇兎がいるし…」
「だな」
……
「……総特抵士官…あそこまでとはな……」
『俺以外はみんなやられちまった……クソ…とりあえず逃げるか……奴等の知らないあの方達の城へ行けば…大丈夫だろ…』
その時、【六人組の一郎】は足を止めた。目の前に、絶望が立っていたからだ。
「…ユ…ッ…勇兎!!」
「お前は…」
『クソ…最悪だ……こんな時に…コイツに出会すなんて…ッ!!』
【六人組の一郎】は焦りながら戦闘態勢になった、勇兎はそれを呆然と見ている。
『何とか……逃げるしかねぇ…コイツは……ガチでヤバい…』
「おい」
「…!」
勇兎が、色々と考えを脳内へ浮かべる【六人組の一郎】へ、勇兎は言った。
「10回だ…」
「…は……?」
「お前がそこに突っ立っている間に……俺がお前を殺せた回数」
「!!」
勇兎のとてつもないプレッシャーを感じ、百戦錬磨の目を見て【六人組の一郎】はその言葉を鵜呑みにした。
『そんな…くッ……こんな奴から…どうやって逃げればいいんだ…ッ!?』
「どうした?」
「う…ッ」
『だが…どの道殺される……それなら一か八かやるしかねぇ…!!』
【六人組の一郎】が勇兎へ向かっていこうとした、その時だった。勇兎は再び、【六人組の一郎】を見ながら言った。
「やめておけ」
「あ…?」
「………あの上の看板が落ちてくるから…危ないぞ」
その瞬間、向かい合う勇兎と【六人組の一郎】の目の前に、大きな看板が大きな音を立てた落ちてきた。
「……ほらな…?」
「…ッ……」
それを見て、【六人組の一郎】はその場で跪いた。
「………か…勝てねぇよ…こんなバケモンに…」
「………………」
「た…頼む!……降参するから命だけは…ッ!」
「……安心しろ…」
勇兎は、【六人組の一郎】へ背を向けて言った。
「…無駄な殺生はしない主義なんだ……」
「……ッ…」
背を向けた勇兎を見て、少しの沈黙の後に【六人組の一郎】は勇兎へ、静かに近付いた。
「う…うらぁぁぁ!!」
「…!」
そして振り返った勇兎の顔を見て、【六人組の一郎】は改めて勇兎が悪魔すら震えるバケモノだという事を再確認し、腰を抜かし、失禁した。
「……ッ…ひぃ…」
「…フン……」
それを見て、勇兎は歩いて行った。それを屋上から、見ている人物がいた。
「………あれが…SdSの最終兵器かぁ……噂通り…不殺主義のようだ……ッ!」
謎の人物は、勇兎が自身の方へ振り返ったのを見て、瞬時に姿を消した。
【SdSの最終兵器】野良 勇兎
レベルⅩの悪魔、天使、業人の撃破数0体
レジアル『???』
「殺したら情報が聞き出せないだろ……もう悪魔や天使を生き返らせる事ができないのだから…殺さないようにしないと…」
「今までずっと殺してたから生け捕りに慣れてねぇんだよ……まぁ…次は生け捕りにする様…心がけるよ」
「そういえば…あの二人は?…昨日から見てねぇけど…」
「…ヨーロッパを襲う天使の討伐に向かった……」
「マジだよ!…知らなかったぞ!」
そうして総特抵士官達は、【六人組】を討伐し、ナオト達の元へ戻っていった。




