強敵達
「グプッ…!!」
「…もう終わりか…?」
「……俺がいなくても勝てたね…これ…」
ジークはもはや観戦状態だった、するとルーンが気になる事を言った。
「ま……魔族…テオロンの…?」
「ああ」
「……テオロンの魔族…アザミという名前………まさか…」
すると突然、ルーンがビビり始めた。一体どうしたんだ、と思っていたらルーンは背を向けた。
「クソが……」
「おい…何処へ行く?」
「…相手が悪い!……俺は逃げさせてもらうぜ!」
そして、ルーンは崖から飛び降りようとした。俺達も急いで、崖の方へ走った。
「……ぐ…ッ……ガハッ!?」
「…安心しろ……死にはしない…」
崖へ飛び降りたルーンは、何故か吹き飛んだ。俺達が崖を見ると、ミノルさんがロープを持って上がってきていた。
「……カランは倒したぞ」
「ミノルさん!」
ミノルさんはルーンへ早足で近付くと、抵抗できないように押さえ付けて尋ねた。
「何だよこの力……天使…いや……神と…同じ…!?」
「…俺には【オーバー】があるからな……それで…お前に聞きたい事がある」
するとミノルさんは、ルーンへ質問した。
「……お前の兄…カランが言っていたが……あの方達とは何だ…?」
「あ…あの方達…?」
「本当の事を言え」
「うくく…本当に知らない!!……あの方達というのは…兄ちゃんから聞いた事があるが…正体は知らない!…本当だ!!」
俺は気になり、ミノルさんへ尋ねた。
「…ミノルさん……あの方達って?」
「……山を降りてから話す…ルーン…少し眠っててもらうぜ」
「ぐッ!」
ミノルさんは、ルーンを気絶させて担いだ。
「…天使は生き返らせる事が可能なので…殺しても良いのでは?」
「……あの話が本当かもしれないから…殺すのは駄目だ」
「あの話?」
「…それも含めて降りてから話す」
そして俺達は、山を降りていった。
……
「……俺達の戦い見てたか!?」
「ああ…見事だったぞ」
「へへ…!」
するとミノルが、七海の元へ歩いていった。
「…見てたよな?」
「ああ…」
「ん?…何をだ?」
梅岡達は、俺と七海が何を見てたか知らない様子だった。ミノルはそんな梅岡達へ、カランがあの方達とやらへ俺達の事を伝えようとしていた事、謎の人物に殺された事、悪魔や天使も人間と同様に、蘇らせる事が不可能になったかもしれないという事を説明した。
「……そんな奴が…」
「殺さなくて良かった……」
「…すいません…何人か殺してしまいました…」
「いや…大丈夫だ……まだ…謎の人物の言っている事が本当か分からないからな…」
そして七海は、近くの抵士官へ天使の回収を命じると、俺達へ言った。
「一旦本部へ戻ろう…上層部へ知らせる必要がある」
「…まぁ…そうだな」
俺達は色々な事が気になりながらも、本部へと戻っていった。
……
「……悪魔や天使も…再生不可能になっていた…」
「そうか…」
「…これも……あの方達が…関与しているのだろうな……」
会議室で俺達は、あの方達とやらについて話していた。
「レベルⅥの天使よりも強い者だろうな……」
「…となると……カイトだろうな…」
「……複数だから…【五つの災厄】か…【黒の王達】…始祖もあの方達とやらの一人という可能性もある……」
【五つの災厄】
レベルⅩの悪魔や天使の中でも、特にヤバイ奴等だ。総特抵士官が、唯一対抗できるとされる程の戦闘能力を持ち、甚大な被害を齎す悪魔や天使は、コレに分類される。現時点で【五つの災厄】は、四人だ。
【黒の王達】
レベルⅩとされる数人の悪魔で所謂、吸血鬼だ。コイツらは、吸血鬼系の悪魔達を統率する王で、戦闘能力は勿論高く、何より厄介なのが人間を言葉巧みに誘惑するのが得意な事だ。全く、言葉巧みに人を惑わす、血を啜る、そして戦闘能力が高いって、まるでミユキだな……
「一緒にしないでくれる?」
「え?」
始祖
悪魔や天使には様々な種類があるが、その祖先、原初の存在とされる奴等だ。大体は天界でテオスの手足として働いてるが、中には人間に仇なす奴もいる。ちなみに、【黒の王達】の王の一人は吸血鬼系悪魔の始祖で、天界に封印されている神喰らいは、悪魔そのものの始祖とされている。
「……最悪の場合…その全てがカイトの味方…という事も…」
「…まるで…◯-クラスシナリオだな…」
「まぁ……俺達がいれば大丈夫だろ!!」
するとその時、会議室へ焦り顔の抵士官が飛び込んできた。
「…この流れは……」
「大変です!…【六人組】が現れ……中等抵士官5名と…上等抵士官3名が負傷しました!」
「……すぐに行く」
総特抵士官達は、立ち上がってレジアルを持った。
「…次は…俺達の戦いを見せる番だな…」




