気になる事
「…クソ……貴様はどうでもいい…………問題はヤタガラスだ…アイツらが来た事をあの方達へ伝えないと…」
「……あの方達?」
ミノルはカランの呟きを、見逃さなかった。
「…あの方達……カイトの事か?…いや…複数だから……カイトと…その仲間か?」
「……チッ…今から死ぬお前には関係ねぇ…!」
カランの攻撃を弾いて、ミノルは攻撃したが、カランはその攻撃を躱した。
「クソ…何でお前らこんな嫌な時に来るんだよ!!」
「……?」
「しかも…予想より強ぇし……俺の予定が狂っちまったじゃあねぇか!!」
「…予定……あの方達に関する事か…?」
「……さっさと殺さねぇと…」
そう言って、カランは高速で間合いを詰めてきた。
「死ね」
「………フン」
その瞬間、カランは吹き飛んで木へ激突した、胸には穴が空いている。
「…逆境返しだ……」
「はッ…くッ…ぐふ…ッ…」
「お前……悪神の天使の事をゴミ天使って言ったな………俺からしたら…お前もそのゴミ天使と同じだ」
「……クソ…ッ…」
そしてミノルは、カランに近付いて胸ぐらを掴んだ。
「……あの方達とは何だ」
「………………」
「…仕方ない……あとは抵士官に…」
「うぐッ!」
その時、カランの首に何者かの指が貫通した。ミノルが横を見ると、そこにはフードで顔の見えない、何者かがいた。ミノルは、急いで身構えた。
「お前は…!?」
「…構えるな……口封じに来ただけで……今は戦うつもりは無い」
「……今は…?」
「ああ…この先……もしかしたら戦う事があるかもしれないだろ…?」
するとその者は、背を向けてミノルへ言った。
「それじゃあ…帰るぜ……」
「……待て…お前はコイツを口封じに殺したと言ったが……こっちは悪魔や天使を生き返らせる事ができるのだぞ?」
「…あぁ……問題ない…人間と同じように…天使と悪魔も……もう生き返らせる事はできないからな…」
「……なに?」
そう言い残し、その者は消えた。
……
「…オラァ!!」
「……ッッ…」
俺はミノルさんが行ったあと、十郎と天使をブッ倒した。
「…梅岡さん……駄目じゃないですか…」
「……十郎…」
腕に付着した返り血を舐めながら、十郎が言った。
「しっかり…息の根を止めないと……」
「…すまねぇ……俺は殺し方を知らねぇんだ…けどいいだろ?…再起不能だし」
「……まぁ…そうですね」
十郎は、倒れている天使の喉元へナイフを突き刺している。その時、ルーンの攻撃の轟音が響き渡った。
「あぁ…そういえばルーンがいるんだ……忘れてた…」
「殺りましょう」
俺達はルーンと戦う、ジークとアザミさんの元へ走った。
「なかなか…やるな…」
「…その程度か…?」
アザミさんは、ルーンの猛攻をガードしていた。
「……お前…悪魔か…?」
「…ただの……魔族だ…」
そしてアザミさんの拳が、猛攻の隙間を掻い潜ってルーンの顔面に直撃した。
「グプッ…!!」
「…もう終わりか…?」
「……俺がいなくても勝てたね…これ…」
ジークはもはや観戦状態だった、するとルーンが気になる事を言った。
「ま……魔族…テオロンの…?」
「ああ」
「……テオロンの魔族…アザミという名前………まさか…」
すると突然、ルーンがビビり始めた。一体どうしたんだ、と思っていたらルーンは背を向けた。
「クソが……」
「おい…何処へ行く?」
「…相手が悪い!……俺は逃げさせてもらうぜ!」
そして、ルーンは崖から飛び降りようとした。俺達も急いで、崖の方へ走った。
「……ぐ…ッ……ガハッ!?」
「…安心しろ……死にはしない…」
崖へ飛び降りたルーンは、何故か吹き飛んだ。俺達が崖を見ると、ミノルさんがロープを持って上がってきていた。
「……カランは倒したぞ」
「ミノルさん!」
ミノルさんはルーンへ早足で近付くと、抵抗できないように押さえ付けて尋ねた。
「何だよこの力……天使…いや……神と…同じ…!?」
「…俺には【オーバー】があるからな……それで…お前に聞きたい事がある」
するとミノルさんは、ルーンへ質問した。
「……お前の兄…カランが言っていたが……あの方達とは何だ…?」
「あ…あの方達…?」
「本当の事を言え」
「うくく…本当に知らない!!……あの方達というのは…兄ちゃんから聞いた事があるが…正体は知らない!…本当だ!!」
俺は気になり、ミノルさんへ尋ねた。
「…ミノルさん……あの方達って?」
「……山を降りてから話す…ルーン…少し眠っててもらうぜ」
「ぐッ!」
ミノルさんは、ルーンを気絶させて担いだ。
「…天使は生き返らせる事が可能なので…殺しても良いのでは?」
「……あの話が本当かもしれないから…殺すのは駄目だ」
「あの話?」
「…それも含めて降りてから話す」
そして俺達は、山を降りていった。




