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試験の時間




「アンタは…」

「……さっき来たばかりで自己紹介してませんでしたね……僕は迫田(さこだ) 斬仁(きりひと)と申します……異界の皆さん…よろしくお願いします…」


斬仁、タトゥーとかピアスしてるが、無気力でナヨナヨしてて頼りなさそうだな。


「ナヨナヨしてて弱そーだな!お前!!」

「はい…僕弱いです…」

「認めるのか…」


すると近くの抵士官が、そんな俺達へ言った。


「けど…迫田さんは総特抵士官で…【SdSの死神】って呼ばれてるんだ」

「へぇ……死神ねぇ…」


それを聞いたミユキが、斬仁に近付いて手を出した。


「僕も一応…【死神】って呼ばれてるんだ……奇遇だね!」

「そうなんですか…」

「それなら…僕も【死神】って呼ばれていますよ」


ミユキと斬仁の元へ、十郎が歩いてきた。何かコイツら似てんな。


「……なぁ…」


そんな時、奥の方から美しくも、獰猛な殺意の混じった声が聞こえた。


「…その異界来た奴等は……強ぇのか?」

「……極闇堂(ごくやどう)さん…」


ファーの付いた、冬着るようなコートを羽織る美青年が、俺達の元へ歩いてきた。


「……この世界には美形な奴しかいないのか…?」

「お前は…確か…」

極闇堂(ごくやどう) 乖理(かいり)……【SdSの魔王】って呼ばれてる……」

「極闇堂…か……へへ…今にも噛み付きそうな名前だぜ…」


すると乖理は俺達、異界から来たメンバーへ言った。


「アンタらがどれだけ強いのか…実際に見てみたいんだが……?」

「…勝負しろ……ってか?」

「いや…俺達SdSの……試験を受けてもらうだけだ………それでどれだけのスコアが出せるか……」

「試験…?」


そんな乖理へ、叫ぶ抵士官がいる。光Pだ。


「おい!…せっかく俺がパーティーの準備したのに!」

「まぁまぁ…実際……あの人達がどれだけ強いのか…俺達も知りたいし…」


そして、俺達はSdSの試験を受ける事になった。



……



「……で?…何をすればいい」

「ここに立ってくれ」

「へ?…ここ?」

「ここ」


俺はとりあえず、言われた場所へ立った。


「…今からボールが飛んでくるから……それを避けるだけだ」

「……なるほどな…」

「じゃあ…始めー…」


その瞬間、野球の軟式ボールが一つ飛んできた、速さは400km/h程度か。


「ッと…」

「おぉ…スゲ…」


俺の後ろにある壁へ野球ボールがぶつかった、辺りは静まり返っている。するとそれを見ていた宇川が、ハイテンションで乖理へ言った。


「俺もやる!!」

「…じゃあ…そこに立て」


宇川は指定された場所へ立つと、乖理へ自信満々で言った。


「……もっと多くても…いいんだぜ…!!」

「フッ…分かった……」


すると今度は、宇川へ向かって十個以上の野球ボールが飛んでいった。


「…嘘だろ……」

「バケモノかよ…」


宇川は飛んできた野球ボールを、華麗に躱していった。見た目は筋骨隆々だが、めちゃくちゃ身軽だ。


「……よしッ!…全部避けたぜッ!!」

「…試験で使われる速度じゃ…ないよなアレ…」

「ああ…」


俺達の周りにいた抵士官達が、何やら話している。


「反射神経の試験って…80km/hいくかいかないか位だよな……」

「え!?…これ実際の速度じゃねぇの!?」

「当たり前だろ!…もし反射神経の試験で飛んでくるボールが400km/hなら…500人以上も抵士官いねぇよ!」


抵士官達は、俺達へ口々にそう言った。ちょっと待て…もしそうだとしたら……


「…お前……俺達の試験とやらで飛んできたボール……本来の速度で使ってないだろ…」

「神すらも倒すヤタガラス専用に…調整したんだ…!」

「いや!…本来の速度でやってくれよ!!」


すると乖理は頭を掻き、笑みを浮かべながら言った。


「まぁ…いいじゃないか!……避けられたんだし…!」

「…まぁな」

「じゃあ次の試験な!」

「ヱ?」


鳩が豆鉄砲を食らったような顔を俺がすると、乖理は満遍の笑みで言った。


「これを一回した程度じゃあ…まだヤタガラスの実力が分からんだろ!……あと…そこの二人もやってもらうからな!……お前らもヤタガラスなんだしよ!!」

「あっ…そうか……」

「……メンドいな…」


乖理が川畑とミユキの方を向いて、笑顔で言った。そして、俺達は運動場に移動した。



……



「次は…体力試験の……持久走だ!!…40kmのタイムを測るぞ!」

「おいおい…マジか…」

「頑張れ!…ナオトさん!」


梅岡が俺に向かって、挑発とも取れるような、小馬鹿にした態度で言った。


「……何を言ってる?…お前らもやるんだ」

「ゑ?」

「…反射神経は…さっきの試験のボールを追うお前らの目を見て…ヤタガラスと同じ位だと判断したが……体力は人によって違うからな……お前らにもやってもらう…!」

「マジかよ!!」

「はは!!…ザマー味噌漬け!!」


そして、俺達カイト討伐メンバーの持久力が始まった。



















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