アレキリオンvs伍城
「それに…カロリーの高いものも口にしない方がいいと言っていたな……砂糖はカロリー高いぞ?」
「…………忘れてた…そういえばそうだな…」
「ユウト!!…自分で食べるなって言ったもんを自分は食べるなんて…ッ!……どういうこったッ!?」
「……ごめん」
ユウトさんは、ヤタガラス達へ必死に平謝りしていた。
「…ッたく……さっきもブツブツ呟いて躓いてたよな…!……今日どうした!?」
「……考え事してんだよ…」
「考え事か…フン……どうせ今開催してるFGBの期間限定ガチャで…目当てのキャラが排出されないから課金しようか迷っているのだろう?」
「…え?……マジで何で分かった…?」
「…………………」
川畑さんは、驚くユウトさんを見て、呆れた様子でため息を吐いた。
「いやぁ…昨日開催された期間限定ガチャで…なかなか欲しいキャラ出ないからさぁ……」
「…ちなみにどんなキャラだ!?」
「これ」
ユウトさんのスマホ画面には、FGBの最高レアリティキャラである、レクス=ユースフォードが映し出されていた。
「あ!…これ僕が声優してるやつだ!」
「え?…マジで?」
「うん!」
[愉しませてもらおうか…ッ!]
「スゲー偶然だな!!」
ヤタガラス達は、FGBを見て盛り上がっている。
「……ミユキさん…声優もしてたのか…?」
「はい!…ミユキさんは素性を隠して…アイドル…声優…配信者…ダンサー…アーティスト活動をしていたらしいですよ!……確か名前は……本城 明日香…」
「…マジで!?…あの伝説の……似てるなーとは思ってたけど……」
「あ!…そういえば十郎君と梅岡君も!…アイドルしてたよね!……名前は…バッドラビット…」
「マジ!?…俺超ファンなんですけどーッ!!」
ユウトさんが、俺達へ詰め寄ってきた。
「…なんで辞めたんだよ!?……俺スゲー好きだったのに…」
「まぁ…いろいろありまして……」
「…いつかそのいろいろを聞かせろよ…!」
「……ああ!」
そして、俺はミユキさんへ尋ねた。
「…本城 明日香さんは……スケジュール大丈夫なんスカ?」
「大丈夫ッ!…君達がアルトリアに来たくらいのタイミングで…活動休止の発表をしたからッ!」
「…そうだったのか……」
ミユキさんは、本城 明日香の声色で答えた。その時、ダリカの声が聞こえた。
「みんな待たせたなッ!!…今から準決勝第二バトルを開始するぜッ!!」
「…始まるって……」
するとアレキリオンさんと、伍城さんが出てきた。二人は、とてつもない覇気を宿している。
「…準決勝の第ニバトルは……アレキリオンvs伍城だッ!!」
「へへッ!…こりゃあ面白くなりそーだなッ!」
「……どっちが勝つ…」
圧倒的なオーラが、身体から滲み出ている二人は、ピクリとも動かない。
……
「ルールはシンプル!……仲間は無し…観客席へ行くのも無し!……では…じゅ……準備はいいか!?」
「…………ぁぁ…」
「…うむ」
開始の合図がした瞬間、二人は消えた。梅岡が目を擦ると、リングの真ん中で、お互いの攻撃をガードしていた。
「……疾ッ…」
「…ハッ!……元気なジイさんだぜ…ッ!!」
するとアレキリオンが、魔法を展開した。リングの上空に巨大な魔法陣が描かれ、光の槍が降り注いだ。伍城は、それを容易く躱した。
「……」
「…ふむ……」
そして今度は、地面に魔法陣が描かれ、闇の槍が突き出してきた。伍城が飛び上がって回避すると、アレキリオンが地面を蹴り、伍城へ突きを繰り出した。
「……憤ッ!」
「…ッ!」
伍城は空中で身を翻し、アレキリオンへ蹴りを食らわせた。ダメージがあるものの、アレキリオンは怯まず、伍城を掴んで地面に叩きつけた。
「……フンッ!」
「…くゥ…ッ…」
アレキリオンは、すかさず追撃を繰り出したが伍城は躱し、カウンターを食らわせた。
「ッ!」
そして二人は向き合った、そして少しの静寂が訪れた。
「…決着の刻だ……」
「有無…」
その瞬間、二人はお互いに技の構えを取った、その数秒後。
「一爪ッ!!」
「黒壊閃…ッ!」
伍城はアレキリオンの技、アレキリオンは伍城の技を食らい、二人は大きく仰け反った。伍城は、地面に足がめり込む程に地面を蹴って、アレキリオンよりも早く体勢を戻した。
「………一爪ッ!!」
「……負けか…我の…………だが…次は負けん……覚えておけ…」
「………ああ」
アレキリオンの胸に、伍城の拳がめり込み、アレキリオンは吹き飛んで壁へ激突した。
「………し…勝者は……伍城ッ!!」
「「「うぉぉぉ!!」」」
「…熱いね」
「伍城さん……」
梅岡は伍城の勝利を、内心喜んでいた。
「決勝進出はッ!!…ジークと伍城ッ!!」
「「「おおおお!!」」」
「…さーて……どっちが勝つかな…」




