シャルルvs伍城
「うお!」
「…へへへ!!」
Uは思い切り真風をブン殴った、真風はガードしていたが、それでも壁へ吹き飛ばされて激突した。
「ぐはッ!?…このパワーは…ッ!?」
『肉体は人間だ……だが…このパワーは一体!?』
「どした?…ただの……パンチだぜ…ッ!?」
膝をつく真風へUが詰め寄ると、真風は【神溜】で密かに溜めていた、自分自身のパワーを解放した。
「…昨日からずっと溜めてたんだ……まさか…こんな序盤に使うとは思わなかったけどな…!」
そして、とてつもないパワーがUへ直撃した瞬間、Uはそれを簡単に防いだ。
「……な…に…?」
「へへ…お前の溜めてたその力……ここに響いたぜ!!」
Uは自身の胸を叩き、真風へと言った。
「だが!!…俺の力の方が心の臓に響くぜ!!」
『…くッ……なんだよこの強さ…こんな奴が…テオロンにいたなん…て………だが…最後…もう一発…ッ!!』
しかし、真風は最後の力を振り絞り、手を突き出した。
「お!…最後の抵抗ってやつか!?」
「…………ッ!!」
そして、倒れている時に溜めていた力を、Uへ解き放った。
「…ん!?」
「あれ?」
「……おい…」
解き放った力が、Uの被っていたモンスターの頭を吹き飛ばし、モンスターの頭は地面に落ちた。
「…アイツ…!」
「……え!?…宇川さん!?」
「師匠じゃん!」
Uの正体は、かのヤタガラスが一人、宇川だった。それを見て会場にいる観客と、スタッフは困惑している。
「……バレちった…」
「「「ええええええッ!?」」」
そして、スタッフは何やら話した後に、ダリカへと何かを伝えた。
「…えー……U…もとい宇川は…出場する必要が無いので…失格となりました……それに伴い…モンスターブロック代表は…モンスターブロック準優勝のマイトへ変更致します…」
……
「悪い悪い!」
「何してんだよ!…お前!」
「いや〜…参加したかったから…」
するとその時、ゴングと共にダリカが叫んだ。
「勝者は……真風ッ!!」
「「「おおおおおおッ!!」」」
リングを見ると、倒れている悪魔の前へ、真風が立っていた。
「へへ…マイトなんかに負けねぇよ……あの真風とやらはな…!!」
宇川さんは、笑みを浮かべながら呟いていた。
……
「第一回戦の第三バトルは……魔族代表のシャルルvsトラベラー代表の伍城だ!!」
「………………」
「…伍城…確かトラベラーの一人…だったな…」
伍城は帯を締め、シャルルをジッと見た。シャルルも、剣を握りながら伍城を見ている。
「ルールはシンプル!……仲間は無し…観客席へ行くのも無し!……では…準備はいいか!?」
「………………ああ」
「…大丈夫だ」
「それじゃあ!…ブッかませ!!」
ゴングが鳴った瞬間に、シャルルは間合いを詰めて思い切り斬りかかった。しかし、その斬撃を伍城は容易く躱した。
『…速いな……だが…』
「……!」
シャルルはすかさず、薙ぎ払いに繋げた。シャルルの刃が伍城へと迫ると、伍城は刃を両手で挟み込んだ。
「なッ…」
「……フン…ッ!」
そして思い切り捻り、剣を折った。シャルルは折れた剣を持って、距離を取る。
「何て力だ…」
「…どうする?」
シャルルは折れている剣の刃へ、闇の刃を施した。
「……ほぅ…」
「最初からこうしておけば良かったな……折れぬ剣の完成だ…」
そして、再びシャルルが間合いを詰めようとした時、既に目の前には伍城が立っていた。
「疾…ッ」
伍城はシャルルへ向かって、正拳突きの構えを取っていた。シャルルはそれを見て瞬時にガードした。
「……一爪…」
「うぐ…ッ!?」
闇の刃の上から一爪を食らったシャルルは、引っ張られるようにして壁へとぶつかった。
「………………」
「……強ぇ…」
会場は現魔王が、一人の人間に赤子扱いされているのを見て、騒然としていた。
「おぉ……さすがだなぁ…伍城のオッさん…」
「え?…伍城さんの事知ってんの?」
「ああ!…中学の時に喧嘩売ってボコボコにされたんだ!!……まぁ!…今は俺の方が強ぇがな!」
意識が遠のき、視界はぼやけ、耳も遠くなっていく中、シャルルはそれでも尚、諦めなかった。
『…強いな……くッ……』
「……………」
「…………………」
伍城がシャルルの目の前へ立った瞬間、シャルルは伍城へ斬りかかった。すると、重々しい音と共に、シャルルは頭が壁へめり込んでいた、伍城が蹴ったのだ。
「……し…勝者は…伍城ォ!!」
「「「うぉぉおおおおお!!」」」
会場内へ、歓声が轟いた。それを見て、宇川は「おぉ…」と呟きながら言った。
「…太ぇな……今の蹴り……一爪と同じ位に……」
「……シャルル…大丈夫かな…」
「…【反殺】が付与されてるから大丈夫だよ!」
「……分かってるんだけど…それでも死んだんじゃないかって思う…」




