ジークvsワゴン
スカーレットさんの提案は満場一致で採用され、後日10人目を決めるトーナメントが開催される事になった。俺達はトーナメントが開催される事になった事、そしてアースへ行くメンバーの事をヤタガラス達へと伝えに行った。
「…ふーん……トーナメントかぁ…」
「面白そうだな!!」
「魔族…トラベラー…聖騎士…ギルド…モンスター…一般…魔法使い…シントウキョーのブロックがあって…それぞれのブロックで優勝した代表者が…本選で戦う…といった流れになった」
「王達は参加しないのか?」
「うん…エミリアは天界へ帰らせたし…スカーレットさんは元々アースへ行こうとは考えてなかったし…ムサシさんとレクスさんは…テオロンにある業を潰すって…」
そして後日、トーナメント本選へ出場する代表者を決める、ブロックが開催された。俺と十郎は見たかったが、今も増殖している業を放っておくといけないので、王達と一緒に業を捜索していた。
「……見つかんなかったな…」
「…ですね……」
エミリアさんの城へ戻った俺達は、ブロックの優勝者一覧を見た。
「……お…知ってる人が何人かいるぞ…!」
「…おぉ……」
魔族ブロック【シャルル】
トラベラーブロック【伍城】
聖騎士ブロック【アレキリオン】
ギルドブロック【真風】
モンスターブロック【U】
一般ブロック【リン】
魔法使いブロック【ワゴン】
シントウキョーブロック【ジーク】
「……伍城さん…出場してたのか…」
「…トーナメント表が載ってますよ!」
優勝者の下には、誰が誰と戦うかのトーナメント表が載っていた。
一回戦
【ワゴン】vs【ジーク】
【真風】vs【U】
【シャルル】vs【伍城】
【アレキリオン】vs【リン】
「……ワゴンとリンって人は知らないな…」
「一般と魔法使いのブロックで優勝した人達ですね」
そして色々と思っていると、本選のトーナメントが始まった。俺達はとても見やすい、一番前の席へと座った。
「来たか」
「ああ」
俺達の隣には、ヤタガラス達が座っていた。俺達が座り、少しすると会場が少し暗くなり、司会者へスポットライトが当たった。
「やぁみんな!!…デスゲルダ司会者のダリカだ!」
「…デスゲルダ?」
「有名な番組だよ!…確か戦士を募ってトーナメントを開催する…」
「へぇー…」
そんな番組なんてあったんだな、初耳だったぜ。
「もうみんな知ってるだろうが……今日は『優勝して1000万Gゲット!』のデスゲルダではなく……別世界へと赴く10人の戦士…その10人目のメンバーを決める大会だ!」
司会者がそう告げると、会場は歓声を上げた。
「記念すべき戦士の誕生を……その目に焼き付けろよッ!!」
「お…そろそろかな…?」
「じゃあ!…早速第一回戦の開幕だ!!」
そして、会場全体へ明かりが着いた。真ん中にある砂地に、向かい合うようにして、ジークとワゴンとやらが立っていた。
「第一回戦の第一バトルは……魔法使い代表のワゴンvsシントウキョー代表のジークだ!!」
「ジークだ!」
「……ジーク…」
ユウトさんは、ジークをジッと見ていた。
……
「…ジーク……シントウキョーを統治する…魔法の使い手か……」
「そういうアンタは確か…テオロンに存在する…王へ仕えはり賢者…その中で一番の腕を持つ…と聞いているよ」
二人は向かい合いお互い、目をジッと見ている。
「ルールはシンプル!……仲間は無し…観客席へ行くのも無し…殺害も無しだ!……では…準備はいいか!?」
「ああ」
「うん」
「では!…ブッかませッ!!」
ゴングと同時に、ワゴンは巨大な炎の球を生み出した。
「…これでやられる…なんて事が起きないように願ってるよ」
「……………」
炎の球がジークへと飛んでいき、着弾した瞬間に、大爆破を起こした。
「……うぉ!!」
「…なんて威力だよ…」
煙でジークの姿は見えず、会場の者達は「もう終わりか?」と思っていた。そして、段々と着弾地点が見えてきた。
「……いない!?」
着弾地点には大きなクレーター以外、何も無かった。ワゴンが右側へ向くと、そこには平然としているジークの姿があった。
「…………………」
「…フン……まぁ…アレでは倒せんわな……ではッ…私も…ッ!?」
「…【氷晶の龍壊槍】……」
そう呟いたジークの真上へ、巨大な氷の槍が現れた。
「こ…これは……ッ!!」
飛んできた氷の槍を、ワゴンは炎の壁でガードしようとしたが、氷は溶けない。
「…炎の壁で…溶けない……」
「安心していいよ……死ぬ程の威力にはしてないからさ…!」
そして炎の壁を突き抜け、氷の槍はワゴンへ激突した。
「……か…ッ…」
「…魔法では…絶対に負けないと誓ったんだ…」
「勝者は……ジークッ!!」
「「「おおおおッ!!」」」
それを見ていたユウトは、安心したような表情を浮かべていた。




