人材募集
「……カイトはこのテオロンではなく…アースと呼ばれる別世界に潜んでいる……」
「…それで…見つけ出して…倒してくれと……ったく…人間に任せてばっかだな…」
「……エラトマみたいに…お前が動けない理由があるのか?」
するとホワイトは、少し小さな声で俺達に言った。
「……………僕でも…手こずるほどに強いから……君達に頼んだんだよ…」
「…え?……お前でも…倒せないかもしれない程に強いのか?」
「倒せない事は無いと思うけど……確実に倒せる…とは言えないから……それに…」
ホワイトはスマコを見ながら、俺達へ続けて言った。
「…エラトマやワーガナは僕達を引っ掻き回す囮だった……そして…ゴッドカンパニーの中にその3人を操ってた黒幕的な神がいる……だからそれを探さないといけないからさ…」
「……なるほどな…」
そんな時、ミユキさんがソファから飛び上がって、ホワイトへ言った。
「じゃあ…もう早速行くよ!」
「だな!!」
「…よし」
ヤタガラス達はソファから、次々と立ち上がった。するとホワイトが、そんなヤタガラス達へと言った。
「あ!…待って!」
「……まだ何かあんのか?」
ホワイトの方を向くヤタガラス達へ、ホワイトは言った。
「…カイトの他にも……天使や悪魔…そしてカイトの業の力で生み出された怪物が…世界には蔓延っている…」
「……天使や悪魔だと?」
「うん…いくらヤタガラスといえど……大量の天使や悪魔の相手をするのは骨でしょ?…だから……人数がいる……10人程……」
ヤタガラス達へホワイトがそう言うと、ユウトさんが頭を掻きながら言った。
「…まぁ……そうだな……全部相手にするのもめんどいしな……」
「だから…今の所は僕の部下を行かせようとしてるんだけど……」
俺と十郎は、そんなヤタガラスとホワイトの会話を見て、コソコソ話した後、ヤタガラスとホワイトへ言った。
「…ゴッドカンパニーは内部で…カイトの内通者を見つけなければならないんだろ?…部下を行かせたらその分…少なくなるじゃねぇか」
「……なので…僕達から提案があります」
「なになにー?」
……
「…という事で……僕達の代わりにアースへ行ってくれる人々を募ろうって事になったんだ……誰か…志願してくれる人…いる?」
「……アースねぇ…」
俺達はテオロンの、エミリアさんの城へトラベラー達や魔族達、ギルドの戦士達など、エラトマ撃破に携わった人々を呼んで、これまでの経緯を説明した。
「もちろん!…これは強制じゃないよ!」
「うーん……」
トラベラー達は悩んでいる、それを見て俺と十郎は、ホワイトへと尋ねた。
「残り何人いるんだ?」
「…えーっと……ユウト君…宇川君…川畑君…ミユキ君が行ってくれるから……あと6人だね」
「じゃあ俺達も行くわ」
そう言うと、ホワイトは驚いた後に、少し困惑した表情で尋ねた。
「え?…いいの?……また頼みを聞いてもらう事になっても…」
「ああ…十郎は?」
「…僕も構いませんよ」
「……君達には頭が上がらないよ…」
それを見た真風が苦笑いをしながら、俺達へ言った。
「…元気だな…お前ら……若いからか?」
「アンタ結構若いだろ!」
「いやいや…俺はもう結構年寄りだぜ?…精神年齢がな…」
「…精神年齢かよ……」
「……それじゃあ…残り4人だけど…他には?」
すると、奥の方から手を挙げる美形の青年がいた。その青年は立ち上がり、ホワイトの前まで歩いてきた。
「………俺も行こう」
「…君は…?」
「……キイチロー…」
「ええ!?」
俺は頭の中が一瞬、真っ白になった。樹一郎さんは老人だった筈だ。
「樹一郎さん…その身体…」
「ああ…元の年齢に戻してもらった」
「…そんなイケメンだったんすね…」
それに続くように、ミノルさんが早歩きでホワイトの元へ来た。
「……師匠が行くなら…俺も行く…!」
「…全く……お前という奴は…」
「鍛錬にもなるしな」
そして今度は、一番前の席に座るアザミさんが、立ち上がった。
「……それじゃあ…俺も行こうか…」
「アザミさん!」
「…ホワイトを除き…この中で一番の高齢は俺だ……若い者よりも…この老いぼれが行った方が…死んだ時に誰も悲しまん…」
「……アザミさん…」
すると、それを見ていたトラベラー達は一斉に手を挙げ、立ち上がった。
「じゃあ俺も行く!!」
「…僕も行かせてくれ!!」
「私も!!」
それを見て、ホワイトは苦笑いをして言った。
「…こ…困ったなぁ……そんな大勢で行くのは……」
「何で大勢だと駄目なんだ?」
「……実は…」
……
「………桜郎君と…オリジン君…かな?」
「…ああ」
《そうだよ》
テオロンに来る少し前、俺達は桜郎とオリジンの元へとやって来ていた。
「……単刀直入に言うけど…このままでは君達は死んでしまう…」




