烏探し
「いやー…まさか……」
俺の名前は梅岡、その隣にいるのは桜十郎。俺達は神の王に頼まれて、悪神というその名の通り悪い神をやっつけてほしいと依頼された。
「…神探しの次に人探しをする事になるとは…思いませんでしたね……」
「……まぁ…何処にいるかはおおよそ見当ついてるし………ま、多少はね?」
しかし悪神を倒してめでたし、めでたしとはいかなかった。
……数日前……
「……俺達…悪神を倒したから元の世界に帰れる筈だよな……」
「…何故集められているのですか?」
「ごめん」
元の世界から、異世界へとやって来ていた俺と十郎は、神の王ホワイトへ呼ばれて、天界へと来ていた。
「実は…君達に最後のお願いがある……」
「なんだよ」
「……ミユキ君と一緒に…人を探してほしい…この三人……」
トラベラー達の目の前に、見覚えのある三人の写真が映し出された。
「…ユウトさん…!……川畑さんも!」
「……ヤタガラスの…捜索ですか…」
「…ごめんね………見つけた後に絶対…悪神討伐の報酬はあげるからさ……頼むよ…」
すると、トラベラー達は頭を掻いたりしながら言った。
「まぁ…しゃーねぇな…」
「…そうですね」
そして俺達は、人探しをする事になったのだった。
……
「……そういえば…王達はどうしてんの?」
「…なんだかんだ言って……この世界が気に入ったからか……元の世界に戻るのは後にしたらしいよ…」
「なぁ…今思ったんだけど……」
俺は歩きながら、ミユキさんへ尋ねた。
「ムサシさんと…レクスさん……いや…ノブナガさんは……あの歴史人物の方だよな…?」
「…そだね……」
「もう死んでるのに…元の世界に帰ってもどうしようもなくない?」
「………あの2人にとっての元の世界は…霊界なんだよ……天界にある…霊界……」
霊界…幽霊とかがいる世界か?
「…霊界……ですか…」
「うん……歴史人物みたいな…かなり強力な思念を持つ魂は……記憶を消せないらしいから…霊界にいるらしい……」
「…俺達の世界へ帰るのかと思ってた……」
「帰りたいと言ってたけど…いざ霊界と…このテオロンを比べたら……テオロンの方がマシだと思ったんだって……あぁ…そうそう……エミリアは天界へ戻って…スカーレットさんは…もう少しこの世界にいるって…」
俺はその後に続けて、ミユキさんへ尋ねた。
「じゃあ…ギルドの戦士は何処に帰るんだ?」
「…僕達と同じ……元の世界じゃない?」
ギルドの人達は死んでしまったが、その魂を悪神がゴッドカンパニーから盗み、蘇生したと聞いている。
「え?…でも…ギルドの人達って俺達の世界で死んだ人達でしょ?」
「…修学旅行中に起きた高速道路の山崩れで…亡くなった人達ですよね?」
「……あの子達は…エラトマが起こした山崩れで死亡した……だから…ホワイト君が生き返らせてくれるってさ…!」
「へぇ…神って凄いなぁ……」
すると、異様な雰囲気に包まれた、闇の如く暗い森が見えてきた。
「………あそこに…ヤタガラスの一人の宇川さんが…」
「…使者を送ったけど……見当たらないね…」
森の中へ入ると、少し遠くの方から叫び声に近い、助けを求める声が聞こえた。
「……モンスターにでも襲われたのかな…?……ここのモンスターはかなり強いからね…」
「行ってみよう!」
俺達が急いで、助けを求める声のする方へ向かうと、そこには原始人のような風貌の宇川さんと、首から下を地面に埋められている使者らしき男の姿があった。
「ミ…ミユキさん!……助けて!!」
「あれ?…ミユキじゃねぇか!!…それと……あのぶっ壊し甲斐のありそうな野郎までいやがる!!」
「…俺の事か…?」
「師匠…とりあえずその人を地面から抜いてあげて!」
すると宇川さんは、使者の首を掴んで地面から引っこ抜いた。なんて力だよ……
「何だ?…コイツお前の仲間か!?」
「だからッ!!…さっきからそう言ってるでしょうッ!!」
「悪い!…敵かと思って10割聞いてなかった!!」
そして、宇川さんは俺達を見ながら尋ねた。
「そんで……俺に何のようだ?」
……
俺達は一応、今までの経緯とホワイトがヤタガラスを読んでいる、という事を話した。
「……ホワイトが?」
「うん…何故かはまだ分からないけどね」
「よし!…行こう!!」
宇川さんはスマコを起動して、天界へとワープした。
「…行くの早いな……」
「……次は…先生の所へ行こうか!」
「先生……川畑さんか」
……
「……なるほどな…」
川畑さんの声のするぬいぐるみへ、宇川さんと同様今までの経緯とホワイトが呼んでいるという事を話すと、ぬいぐるみが言った。そして、ぬいぐるみが言った瞬間だった。
「…しかし…ホワイトが俺達を呼ぶ時は大抵……何かの依頼だからな……一体どんな依頼をされるのだろうか…」
本棚が開き、絵に描いたようなサラリーマンが俺達の前へ姿を現した。
「え…川畑さん…?」
「…何かおかしい所があるか?」
「……前見た時と…雰囲気が…」
「…あぁ……あれはプライベートだったからな……普段はこんな格好だ…」
前はスタイリッシュで、クールな雰囲気だったが。プライベートじゃない時は、こんな感じなんだな。
「俺は…この世界でしていたこの何でも屋を……部下の誰かに任せてから向かうと…ホワイトへ言っておいてくれ」
「りょーかいッ!」
そして、俺達は川畑さんの屋敷を出ると、写真を確認した。
「最後は…ユウトさんか…」
「…父さんかぁ……父さんに関しては…何処にいるか分からないんだよなぁ……メールで何処にいるか聞こうか…」
……
「……ここで待ち合わせか…」
俺達ほユウトさんへ指定された場所で、ユウトさんを待っていた。すると、相変わらず無表情なユウトさんが、メルトと共に歩いてきた。
「よぉ…来たぜ…」
「ユウトさん…!」
「やぁ…父さん!」
ユウトさんは、俺達へ向かい合うように立って、尋ねた。
「…ミユキ……俺を呼び出した理由は分かってる……」
「……さすが父さん…」
「…………………FGBの新作…FGB2が出たから…一緒にやろうって話…だよな?」
俺も好きなゲームである、FGBの新作であるFGB2のパッケージ版をミユキさんへ見せて、ユウトは言った。
「もう!…違うよ!……いや…それについても話そうとしたから…違わなくはないかも…」
「違わなくはないのかよ…」
「じゃあ何だ?」
そして俺達はこれまでの経緯と、ホワイトが呼んでいるという事を話した。
「……なるほどな…」
「…という事で……父さんも来て!」
「…………FGB2をプレイするのは…後になりそうだな……メルト…宿に戻ってろ……」
「は…はい…」
最後のヤタガラスメンバーである、ユウトさんと共に、俺達は天界へとワープした。




