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立っていたのは……




「……我等は魔族…魔素さえ無事なら何度でも蘇る事ができる……さぁ…さっさと後ろへ…」

「…すまない」


魔王の四騎士を前に、樹一郎達は走り出した。すると無数の矢が飛んでくる。


「くッ…」

「大丈夫か!?」

「…心配はいらないよ」


魔法や武器でガードするも、その圧倒的な数の矢を、魔王の四騎士は受けていた。


「……また来るぞ!…踏ん張れ!!」

「…ッ……」


そして、ワーガナのいる古代の神殿に樹一郎達が着く頃には、大量の矢が突き刺さった魔族は魔素になっていた。


「……お前等は死なせんぞ」


樹一郎は魔王の四騎士の魔素を、ミノルに渡して神殿の中へと進んだ。


「…久々だな……樹一郎…!!」

「ああ…ワーガナ」


神殿の奥には、平静を装っているも、怒りを隠し切れていないワーガナの姿があった。


「神を二回殺すのも…アリかもな」

「……相変わらずムカつく野郎で安心したぜ…!」


そして、ワーガナは首の無い神の像から降りて、樹一郎を睨んだ。


「……お前を倒させてもらおう」

「…やってみろ……前のようにはいかねぇぜ…!!」

「ミノル…蛇……下がってろ……無いとは思うが…俺がヤバくなった時だけ…助太刀を頼む…」

「……はい」


ミノルと蛇が離れたのを確認して、樹一郎はハンマーと太刀を取り出した。


「…また神斬りを宿した武器を創ってしまうな……」

「……そういえば…お前はクロウだったな……だが安心しろ…お前のその武器が神斬り化する事は無い…」


数秒ほど静寂が続いた、そして最初に仕掛けたのは、ワーガナだった。


「ラァッ!!」

「……!」


ワーガナの攻撃を、樹一郎は避けた。そして、樹一郎は不敵な笑みを浮かべて、ワーガナへと言った。


「魅せてやろう…前よりも進化した……無喰(ゼロクライ)流を…!!」

「……ッ!!」


その瞬間、光の如き速さの刃が、ワーガナへ襲いかかった。


「これは……閃光流…」

「まだまだあるぜ…ッ!!」


樹一郎は更に続けて、太刀やハンマーを振り続けた。それを見て、ミノルや蛇、ワーガナは動揺していた。


『……羅城流…壊乱流…残魂流……前に比べて何倍…いや…何百倍もの流派を取り込んでいる……ッ…』


その時、ワーガナは樹一郎の戦い方を見て何かを察したように、距離を取った。


「馬鹿な…出来るはずが……」

「どうした?…怖気ているようだが…」


太刀とハンマーを持つ樹一郎が、ゆっくりとワーガナの元へ歩いていった。


「……神喰いに化けやがったか…樹一郎……」

「さぁ…続きだ……早く来い」

「…ッ!!」


ワーガナが目にも留まらぬ速さで樹一郎へ迫ったが、樹一郎は簡単に受け流し、カウンターを食らわせた。そんな樹一郎を見て、ミノルは思わず呟いた。


「マーカス流の回避の速さ…鉄尾流の強力なカウンター…」


樹一郎は止まる事無く、連続で追撃をして距離を取り、ハンマーと太刀を構えた。


「追撃は全て乱流…王牙流…ハマヤ流の奥義……そしてあのハンマーの構えはギガントス流の…太刀の構えは薫流の……」

「…お前の師匠は……この世界の流派を全て扱えるのか?」

「………恐らくな…」


そして飛び上がると、落下しながら怯んでいるワーガナへ、ハンマーと太刀を思い切り振り下ろした。


「ぐぁぁあッ!!」

「無喰流の奥義…天砕きだ……神にも効果絶大のようだな…」

『……この…強さは……想定外だったぜ…ッ……だが…』


ワーガナは、焦った様子だったが、立ち上がってすぐに真顔へ戻ると樹一郎へ言った。


「…ここまで強くなっていたのは想定外だ……しかし…俺もお前に負けてから成長した……」

「成長した割には…手も足も出ないようだが?」

「言ってろ……俺は…お前を確実に仕留める技を作ったんだ…」

「ほぅ…奇遇だな……俺もお前のような神を確実に仕留める奥義を…作ったんだ…」


樹一郎とワーガナは、少し距離を取って向かい合った。


「俺は今からその技を出す……」

「…なら俺も……奥義を出そうか…」

「へッ…お互いに技を出し……立っていた方が勝利者というわけか…」


そしてワーガナと樹一郎の間に、静寂が訪れた。二人はお互いの目だけをジッと見ている。


「「…………」」

「…どっちが先だ……」

「樹一郎さん…ッ……」


その刹那、目を見開いた樹一郎とワーガナが、同時にお互いへ向かって走っていった。


「ワァァガナァァァアアッ!!」

「キイチロォォォオオッ!!」

「神滅の刃蛇(ジンダ)ッ!!」

亡尽(ボウジン)のヘルブライドッ!!」


二人が交わった瞬間、閃光でミノルと蛇の目の前が白くなった。光が無くなると、ワーガナと樹一郎二人とも立っていた。すると、樹一郎は膝をついた。


「樹一郎さんッ!!」

「……なんだかんだ言って…お前との勝負……楽しかったぜ…ッ!……()()()()の事を忘れちまう程にな……」

「…楽しかった…か……フン…俺もだ……」


ワーガナは、そう呟いてその場に倒れた。樹一郎は立ち上がって、ワーガナの方へと歩いて行った。


「……神だからまた…復活できるよな?……また復活したら…かかってこい……ぶっ倒してやる…!」

「へへ…そうか……じゃあまた…来るわ……」


するとワーガナは、空を見ながら呟いた。


「へッ……悪いな…エラトマ……()()()()だが……あとはお前らで頑張ってくれ…」


そう言い残して災神ワーガナは消えていった。



















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