エラトマ兄弟の元へ
「……僕達が食い止めるから…スカーレットさんと共にあの天使を狙うんだ!!」
「言われなくともそうするつもりですよ!」
「あらそう」
そして聖騎士達は、スカーレットと共にエラトマの兵士を薙ぎ倒し、天使の元へ走った。
「…来るぞ」
「分かっている」
その時、二人の天使は半壊している遺跡の中へと逃げていった。
「敵が来てもいいように…遺跡の近くにいたのだな…」
「……クソ…マズいな……これは…」
「…遺跡の中か……」
スカーレット達は一瞬躊躇ったが、遺跡の中へと入っていった。
「…死なないでよ…みんな……」
遺跡の中へ入ると、そこら中が死角になっていた。スカーレット達は、周囲を警戒する。
「……どこから襲ってくるか分からない…慎重にいこう」
「…はい」
その瞬間、足下から剣が突き出してきた。剣はイリスの足に突き刺さった。
「ッ…」
「…大丈夫か!?」
「……はい…」
「無理をするなよ…お前はまだ病み上がりなんだ」
スカーレットが回復魔法をイリスに施し、イリスの怪我は治った。
「…回復魔法使えたんですね」
「ああ…だが……私のはミユキやエミリアのと違い…効力が弱いものだ…深傷だと治せない……」
すると息をつく暇もなく、斬撃の嵐が襲いかかってきた。
「避けろ!!」
スカーレット達は、斬撃の嵐を躱した。するとスカーレットが、聖騎士達へ言った。
「……今更だが…相手は二人だ……二手に分かれて…1チームが天使1人を倒そう…」
「それもそうですね…」
そう言ってスカーレットは、聖騎士達の方を向いて言った。
「…トライ…ジェイク…バラドは私についてこい」
「はい…」
「では…アーサーとザイン…イリスは我と行くぞ…」
「…了解でござる」
残りの聖騎士は、アレキリオンへついていった。そうして二手に分かれたスカーレット達は、遺跡の奥深くへと足を踏み入れた。
……
「…ここがアジト……」
俺達が岩の中へ入ると、中は江戸の城下町のような世界で、奥には城があった。
「……あの城にエラトマ兄弟がいる可能性が高いですね」
「…だな……行くぞ!」
奥にある城を目指し、俺達が走り出した瞬間だった。城から声が聞こえた。
「やぁ!…来たね!」
「……レイン…!」
城を見ると、そこにはレインが立っていた。
「…お前をぶっ倒して……この戦いを終わらせてやるぜ…!」
「へぇ…」
レインは余裕の笑みを浮かべている、それもそうだろうな。俺達を格下だと思ってるし、どんな攻撃も効かないのだからな。するとレインが、おちょくるように言った。
「……君達が戦いを終わらせるのは…ちょっと無理かな」
「…ッ!?」
「後ろの正面…だあれ…?」
俺達が振り返るとそこには九本の尻尾の生えた、大きな狐がいつのまにか佇んでいた。
「……コイツは!!」
「…神獣だよ……君達の何倍も強いよ…!……さぁ…やっておしまい」
すると狐が口を開いた、口からは炎が溢れている。
「……ッ!!」
その瞬間に、十郎が狐の首を一刀両断した。そして炎が消え、狐の頭は地面にぼとりと音を立てて落ち、体と共に淡く消えた。
「…あなたのガード……脆弱ですね…」
「……ほぅ…倒しやがった…」
十郎が、血を払って刀を構えた。レインはクスクスと笑いながら、俺達の目の前へ飛んできた。
「…神獣を倒したのは褒めよう……けど…ここまでだね…」
すると城の方から、ラインも歩いてきた。
「物音がすると思えば……何だお前らか…」
「…ライン!」
「……殺されに来たか?」
そして俺と十郎へ、向かい合うようにエラトマ兄弟は立った。
「さて…どうする?」
「…そう焦るな」
「は?…何が?」
俺は自信満々の表情で、エラトマ兄弟へガンを飛ばした。
「……その余裕も…無くなるからな…」
「強がらなくてもいいぞ」
「…ハッタリ?……泣かすよ?」
そしてエラトマ兄弟は溜息をつき、殺意の眼差しで俺達を見て言った。
「もういいよ……死ね」
「…へへ……やったんだな…樹一郎さん!」
エラトマ兄弟が、俺達へ攻撃しようとしたその時、エラトマ兄弟の身体から何かの破片が飛び散った。
「え…?……な……」
「…ナイスタイミングですね…樹一郎さん……」
「これは……」
俺達はほんの少し焦っている様子の、エラトマ兄弟へおちょくるように言った。
「余裕が無くなりましたね…!」
「さっきまでの余裕はどうしたのかなぁ〜!?」
「…馬鹿な……災神さんが…あのワーガナさんが……ッ!?」
焦るエラトマ兄弟へ、俺達は詰め寄りながら言った。
「…さて……やろうか…」
「……斬る」
「舐めんなよ……ワーガナさんの力が無くとも…お前等如きに遅れは取らない……フン…少し早いが…処理しておこうか…」
「…神の力を……実力の差を見せてあげるよ…」
そして、俺達は向かい合った。




