悪神の情報公開
「ラ…ライン様…」
「どうした?」
エラトマ兄弟の、兄にあたるラインがパソコンを操作していると、鎧姿の女性が少し焦った様子で部屋に入ってきた。
「それが……」
「…マロが負けた?」
ラインがレインのいる部屋へ入ると、レインが死んだような目をして項垂れていた。
「……マロがやられたのか?」
するとレインは無言で、テレビを指差した。ラインはテレビの電源をつけた。するとビデオの映像が流れてきた。
[あれ?…もう限界かな?]
[ぇ…あぇ……]
[……話す気になった?]
[ひゃい!…なぁん…でぇッ……も話しましゅ…う…]
テレビの画面には大量の体液が付着しているミユキと、そのミユキに撫でられながら、身体をビクッとさせ快楽に溺れた様子の、マロが映し出されていた。
「…これは……まさか…」
ラインの脳裏に不穏な何かがよぎり、ラインは部屋に置いてある大きなダンボールの中を見た。そして、絶句した。
「あぁ……ぁえ…えぇへ…」
「………ああ…あああぁぁぁぁ!!…マロが……!」
「レイン様!…気を確かに…!」
「ミユキ……ッ…クソ……バケモノが…」
ダンボールの中には、テレビに映し出されていたマロがそのまま入っていた。すると落ち着いた様子のレインが、ラインへ呟いた。
「……ライン兄…」
「…あぁ?」
「…………………僕達二人なら…ミユキを殺せるよね…?」
「…………あぁ…何度もシュミレーションした……俺達が勝つ確率は…………97%だ…」
それを聞いたレインはニヤリと不気味に笑い、ラインへ続けて言った。
「ミユキは…ただ無残に殺すだけじゃあ駄目だ………屈辱的な事をやらせて……死にたくても死なせない…永遠に苦しめればいいと思うんだけど……」
「…いいな……それは…」
その時、悪神のアジトの中では不気味な笑い声が響き渡っていた。
……
「…僕がしたのは……ただのこちょこちょだよ…!」
「……こちょこちょ…?」
「そっ!……僕はあの子を少しくすぐっただけさ!」
「こちょこちょをしただけで…あんな事になるっていうのか!?」
梅岡は信じられないといった表情を浮かべ、ミユキへ尋ねた。
「どんな風にこちょこちょやったら…あの人みたいになるんだよ…!?」
「…やってあげようか?」
「……ヱッ…」
するとその時、いつのまにか背後から抱きついていたミユキが、梅岡の身体へ指を伝わせた。
「えぐッ!?」
「……梅岡君は…ここだね…」
「アヒャッ…アハハッ!……えへへえへ…ギ……ギツイ!!…マジキツッ…テ…ッ…!」
梅岡は涙を流しているが、大笑いしていた。5秒程してミユキが梅岡から離れると、梅岡は人形のようにその場で倒れた。
「…ハッ…ハァ……あッ…あと3秒されてたら…ッ……わッ…笑い死んでた…マジでッ………」
「……凄いですね…」
息切れする梅岡が、ふらつきながらソファに座って頭を掻きながら呟いた。
「………おかしいな…俺こちょこちょ効かないのにな……」
「…僕も…こちょこちょは効かなかったけど……師匠にされた時は梅岡君みたいになったよ!」
「……師匠にされた?…それじゃあ師匠から教わったのか?」
「そう!…これは師匠に教えてもらったんだ!…痛みに強い人には結構キクよ!」
話で盛り上がるミユキ達へ、スカーレットが尋ねた。
「…なぁ……あの手下から引き出した情報は?」
「あぁ!…言い忘れてた!」
ミユキは王達と、梅岡達の方を見て話し始めた。
……
「じゃあ話そうか……まずは…悪神側の事ね!」
「ああ」
「悪神はね……二人で一人の神なんだ!……要するに兄弟って事ね………えーっと…僕が会ったラインが兄…そしてギルドで会ったレインが弟のね!……確か…名前はエラトマ…」
「……ふむ…エラトマ兄弟か…」
悪神は兄弟で、ギルドで出会ったレインは悪神兄弟の弟だったのか。というか、悪神兄弟の名前はエラトマと聞いたが、エラトマってどこかで聞いたことあるな。
「…そのエラトマ兄弟に仕える手下はあと2人いる!」
「……あと2人もいるのか…」
「そして…悪神の協力者……災神ワーガナの事も教えてくれた…」
ミユキさんは不敵な笑みで、俺達へ言った。
「災神ワーガナ……ミノルの神殺しの時以来だな…その名前が出るのは…」
「……確か…エラトマ兄弟が霊体だから攻撃が効かないって話はしたよね?」
「ああ」
「…実は……エラトマ兄弟を霊体化してるのは機械じゃなくて………その災神ワーガナらしいんだ……」
そう言ったミユキさんへ、エミリアさんが質問をした。
「じゃあさ!…ワーガナを倒せば悪神へダメージを与えられるって事だね!」
「そゆこと!」
「………ワーガナ…か……」
災神はワーガナという名前なのか、するとその名前を聞いた樹一郎さんは、眉間にシワを寄せていた。




