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二天一流




「狙いは…あなたですよ」

「…ッ!?」


梅岡の方を見て、女性は梅岡へ突きをした。すると梅岡の上半身は無くなっていた。


「梅岡さん…!」

「…な……ッ」

「……ッぶねぇ…」


よく見ると梅岡は、大きく仰け反って刃を避けており、そして刃を白羽取りで止めていた。


「…本気の引き出し方を…あの時に会得していてよかったぜ……」

「ナイスだよ!…梅岡君!」

「…………………うむ」


そしてムサシとミユキが、女性へ斬りかかった。女性は梅岡の手から刃を引き抜こうとするが、梅岡が離さなかった。


「……くッ…」


女性は剣を捨て、ムサシとミユキの攻撃を避けた。


「…剣を捨てて……良かったのかな?」

「………問題ありません…剣は何本でも作れますので…」

「おわ…ッ…」


すると、梅岡の持っていた剣が、溶けて消えた。そして女性の手には、さっきの剣があった。


「…へぇ……」

「……では…いッ!?」


その瞬間、十郎が女性へ斬りかかった。女性はすぐさま避けて、カウンターを喰らわせようとしたが、十郎はすかさずガードした。


「…魔素が無いと……少しだけ重いですね…」

「戦えない事は無い?」

「はい」


十郎が答えると、女性はその隙に十郎の胸へ剣を突き刺した。


「……一人目はこれで…」

「いえ…倒せていませんよ」


女性の背後には、大鎌を持つ十郎が飛び上がっていた。そして女性が振り向いた刹那、無数の斬撃が女性を襲った。


「…ぐッ……」

「こっちもいるぜ!!」


その斬撃に繋がるようにして、梅岡が女性へ殴りかかった。女性は焦りながらも避けた。


「……十郎君や梅岡君が…倒してしまいそうだね…」

「…………………ああ…」


その瞬間、女性は黒い霧に包まれて、姿を消した。


「………………逃げたぞ…!」

「…あれれ?……逃げちゃった?」


するとミユキが、地面に付着している女性の汗を舐めた。そしてその後に、梅岡と十郎へ言った。


「…聖騎士を城に集めて待っててね!……ちょっと…あの女性を連れてくるから…!

「え?」

「逃げた場所が分かるのですか?」

「うん!」


そしてミユキは、ムサシと共に東の方へ走っていった。



……



「……くッ…」

『まさか…あの高校生に遅れをとる…とは…』


女性は、灰色の木にもたれかかりながら、ジッと剣を見ていた。


「そこにいるのかい?」

『……この声は…ミユキ…!?』


剣を握って、木の影から声のした方を見ると、そこにはミユキとムサシが立っていた。


『…相手が悪いですね……ミユキの始末は容易い事ではない……始末できるとすれば……エラトマ様か…あるいは…』

「ばぁ」

「……ッ!!」


すると女性の隣に、ミユキがしゃがんでいた。女性は一瞬動揺したが、すぐさま斬りかかった。


「な……」


女性は剣を振ったが、ミユキはそれを簡単に受け止めた。女性はミユキから離れて、剣を構えた。


「…天使の使う剣技は…何度も見たことがある……」

「………………」

「…………………………ミユキ…下がってろ…」


攻撃の体勢に入ったミユキの前へ、刀を持つムサシが立った。


「この女は、俺の国の聖騎士であるバラドとイリス。そして仲間となったエルアトラの仇だからな。だからこの女は、俺が斬る」

「あ…そう…」


それを聞いたミユキは、包丁をしまった。すると女性は、ムサシを見て少し余裕の表情になった。


「…あなただけが相手なら……私の勝利ですね…」

「……………ほう」


少し怒りのこもった声で、ムサシは女性を見た。


「ミユキはまだしも…ムサシ……あなた程度の人間には遅れをとりません……では…あなたを始末して…一旦退ひ」

「もう遅れをとっているのだ、貴様は」

「!!」


いつのまにか、ムサシは女性の目の前まで来ていた。そして剣を振るうと、女性はガードした。その瞬間だった。


「グッ…ガふッ…!?」

「二天一流を知っているか?」


女性の胸を、槍が貫いていた。女性が膝をつくと、ムサシは槍を引き抜いた。


「ムサ…シ……ふふ……あぁ…そういえば……あなたは二天一流…扱う武器は二本でしたね…」

『…油断……ッ…』

「相手を甘く、見過ぎていたようだな。戦いでは、相手が格下と思っていると大抵の者は、自身の強さを過信する。過信していると、戦いでほんの一瞬、油断してしまう。それが命取りになるのだ。俺は格下相手だと甘く見て、己の強さを過信し、命を失った侍を大勢見てきた。だから俺は、相手が羽虫だろうと、全力で斬るのだ』


そしてムサシは、槍をスマコに収納して刀を鞘へ納めた。するとミユキが、女性へ自身の血を与えた。


「…傷が……一体何のまッ…!?」

「天使でも…身体の構造は人間と同じなんだよね」


女性の身体へ、ミユキの指がめり込んだ。その瞬間、女性はスタンガンでも撃たれたかのように、その場に倒れた。


「…死んでもらっちゃあ困るからね…!」

『い…しき…が…』

「教えてほしい事が山ほどある…!」


















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