捜索隊を襲ったモノ
「…ふふ……ありがとう…兄さん…」
「久しぶりに……お前のそんな顔を見たような気がする……フン…それにしても……弟の顔を見て久しいと感じるとは……俺も年だな…」
「精神年齢は20代だけどね!」
その時、ミユキさんのスマコへメールが届いた。そのメールを見て俺達は絶句した。
「……え?」
「…これは……」
[第一捜索隊が悪神の眷属に襲われ、瀕死の模様]
第一捜索隊は確かイリスさんとバラドさん、そしてエルアトラのチームだった。すると樹一郎さんが、刀を持って立ち上がった。
「…行くか」
「そだね…」
ミユキさんも立ち上がったので、俺達も立ち上がってレストランの外へ出た。
「…4985Gで……ッて…コレ1000000Gじゃないスカ!?」
「釣りはいらんッ!」
……
「来たよ!」
「……お前が樹一郎か…」
「ああ」
俺達が魔王城へ来た頃には、王達が集まっていた。第一捜索隊以外の聖騎士と魔王の四騎士達は、捜索を続けているという。俺達は今までの経緯を簡潔に説明した。
「…なるほどな……」
「それで…第一捜索隊は?」
「……ここだ」
部屋へ入ると、そこには重傷のイリスさんとバラドさん、魔王の四騎士エルアトラがいた。イリスさんは意識が無く、バラドさんは右足、エルアトラは両腕が無くなっていた。
「…これは酷い…」
「……クソ…まさか……あそこまで強いとはな…」
「…回復魔法を使ってみたが……治らない…恐らくスキルによる攻撃だからだ…」
するとミユキさんは三人に近付くと、一人一人へ何かを一滴ずつ垂らしていった。
「これでどうかな?」
「…う…ぉぉ…!?」
その瞬間、バラドさんとエルアトラの欠損していた部位が再生していった。一体どうなってんだ!?
「僕の血ってね……A型でも…B型でも…O型でも…AB型でもない……だからどんな血液型の人にも輸血できるし……一滴垂らすだけで…どんな傷や病も治す事ができるらしいんだ……」
「えぇ…どうなってんだよ…」
「…僕の血を与えると…一時的に細胞が活性化されて……失われた部位を再生させたり…僕の血に入ってる細胞が癌などの病を攻撃して完全に治療する……」
俺はその時、ミユキさんは本当に人間なのかどうかを疑った。
「イリス君は…目覚めるのにもう少し…時間がかかるかもね…」
「…回復魔法よりも……いいな…それは…」
「量の調整がめんどくさいから回復魔法を使ってたけど……これからはこの血を…回復魔法の代用で使おうかな……」
そしてミユキさんは、完全に傷が治った二人は尋ねた。
「…それで…悪神の眷属に襲われたって聞いたけど……詳しく教えて?」
「………ああ…」
ベッドに座りながら、バラドさんがゆっくりと話し始めた。
……
「…アジトって言っても……らしきものはないな…」
「そうですね…」
三人は灰色の木がある、平原を歩きながら辺りを見回していた。
「……風が…」
「なんだ…」
そんな時、突然風が強くなり始めた。三人はその状況に、警戒心を抱き、辺りを警戒した。
「…魔族と人間……」
「……ッ!?」
女性らしき声が背後から聞こえ、三人は振り向いたが誰もいなかった。
「まさか手を組ませるとは…厄介ですね……やはりミユキは早く始末した方がいい…」
「…お前……」
前を向くと、そこにはメイド風の女性が立っていた。三人はその女性が、悪神の手先だと確信した。
「……貴様等の方から来てくれるとはな…」
「…連絡します」
イリスが他のメンバーに無線で連絡しようとした瞬間、突然イリスは倒れた。
「……なに…ッ……」
「よそ見するな!!」
エルアトラの声を聞いて、バラドが女性の方を向くと、女性は目の前まで迫っていた。
「くッ…」
その女性の斬撃を防ぎ、女性に向かって薙ぎ払いをしようとした瞬間、バラドは何かを察知してジャンプした。
「……う…アレ…!?」
バラドは着地した瞬間、バランスを崩して膝をついた。そして痛みを感じる右足を見ると、膝から下が無くなっていた。
「…ま……ッ…」
『クソ…ここまでとは……想定外だったぜ…』
「弱いですね…」
エルアトラは、バラドの方へ向いている女性に、斬りかかった。
「……駄目だ…」
そう呟いたエルアトラの両腕を、女性が持っていた。そしてエルアトラは倒れ、バラドも目の前が暗くなっていった。
「…次は……どこにしましょうか…」
「ク…ソ……」
『早く…この事を………ッ!』
女性が去った後、バラドは薄れゆく意識の中、地面を這いつくばりながら無線を手に取って、王達へ連絡した。
「…悪神の…手先を発見した……だが…奴は死ぬほど強い……返り討ち…に……アッ…テ…」
……
「……なるほどね…」
「…王達や……かつて神を殺した…ミノルレベルの猛者しか…倒せねぇだろうな……」
「手先があの強さだ……神の強さなど…想像したくもないな…」
悪神の手先が、そこまで強いのか。すると話を聞いたミユキさんが、立ち上がって俺達へ言った。
「殺るかぁ…」
「…あ…ああ!」
「…………………ちょっと待て…」
俺達が行こうとすると、ムサシさんが俺達へ言った。
「…………俺の国の騎士を斬った奴は…俺の手で斬る……俺も同行しよう」
「…そうだね」
そして、俺達は窓の外を見た。窓の外には灰色の大地が広がっている。
「…………………悪神の手先は恐らく…他の捜索隊の元へ現れる筈だ…」
「よし…それじゃあ捜索隊のみんなの所へ行こうか……手先ちゃんを……KILL為に…!」




