表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/457

突然のメール




「まぁいいや…とりあえず兄さんに……先に話しておかないといけない事がある」


ミユキさんは光の無い目で、暗い眼差しの樹一郎さんの目を見つめながら話し始めた。


「なんだ……?」

「…父さんが…兄さんをヤタガラスへ入れない理由…」

「……ッ!」


すると樹一郎さんは目の色が変わり、前のめりになってミユキさんを見た。


「俺を…入れない……理由…」

「うん!」

「……そ…その理由とは何だ…!?」


樹一郎さんが興奮気味で尋ねると、ミユキさんは少しの沈黙の後に答えた。


「…兄さんは……今まで真っ当に育ってきた…だからだよ」

「真っ当…だと!?」

「そう……もう血の味が…忘れられなくなってしまった僕と違ってね…」


そしてミユキさんは、ジュースを飲んだ後に続けて言った。


「……父さんは兄さんに…戦いの世界へ入らず……真っ当に育ってほしいと思っていた…だから兄さんにヤタガラスの事を隠してきた…」

「……………そう…だったのか…」


樹一郎さんは眉間にシワを寄せて、俯いていた。その顔は少し悔しそうだった。しかしその後に『フッ』と笑うとミユキさんへ言った。


「俺は…どうやら大きな勘違いをしていたようだな…」

「……………」

「…てっきり……お前のように強くないから…入らせてくれないのかと思っていた……」

「……父さんは…兄さんに真っ当に育ってほしかったから…ヤタガラスになってほしくなかったんだよ…


そして、ミユキさんはいつものように戯けながら、樹一郎さんへ続けて言った。


「…それに…『樹一郎は優しいから、人を傷付ける事ができないから』…とも言っていたよ!」

「……フン…俺は言うほど優しくないぞ…」


ミユキさんと、樹一郎さん。二人は笑みを浮かべ、楽しそうに話していた。すると、ミユキさんが樹一郎さんへ尋ねた。


「………それで…もう兄さんが自分の為に戦う必要は無くなったけど…これからどうするの?……戦いをやめる…?」

「……………フン…」


樹一郎さんは鼻で笑うと、ミユキさんへ答えた。


「…俺は……俺の為に…戦う必要が無くなった……()()()()()…な……」

「……え?」


すると樹一郎さんは、笑みを浮かべながらミユキさんへ尋ねた。


「ミユキ…お前は俺に『悪神討伐を手伝ってくれ』と言いに来たのだろう?」

「…まぁね」


そして、刀を持つと樹一郎さんは俺達を見ながら言った。


「俺は…()()()()()()の為に戦う事にする…」

「…と言うと…?」

「……お前達の神殺し…俺も助太刀する…」


樹一郎さんは、俺達の悪神討伐を手伝ってくれるようだ。それを聞いたミユキさんが、樹一郎さんへ言った。


「…ふふ……ありがとう…兄さん…」

「久しぶりに……お前のそんな顔を見たような気がする……フン…それにしても……弟の顔を見て久しいと感じるとは……俺も年だな…」

「精神年齢は20代だけどね!」


その時、ミユキさんのスマコへメールが届いた。そのメールを見て俺達は絶句した。


「……え?」

「…これは……」


[第一捜索隊が悪神の眷属に襲われ、瀕死の模様]


第一捜索隊は確かイリスさんとバラドさん、そしてエルアトラのチームだった。すると樹一郎さんが、刀を持って立ち上がった。


「…行くか」

「そだね…」


ミユキさんも立ち上がったので、俺達も立ち上がってレストランの外へ出た。


「…4985Gで……ッて…コレ1000000Gじゃないスカ!?」

「釣りはいらんッ!」



……



「来たよ!」

「……お前が樹一郎か…」

「ああ」


俺達が魔王城へ来た頃には、王達が集まっていた。第一捜索隊以外の聖騎士と魔王の四騎士達は、捜索を続けているという。俺達は今までの経緯を簡潔に説明した。


「…なるほどな……」

「それで…第一捜索隊は?」

「……ここだ」


部屋へ入ると、そこには重傷のイリスさんとバラドさん、魔王の四騎士エルアトラがいた。イリスさんは意識が無く、バラドさんは右足、エルアトラは両腕が無くなっていた。


「…これは酷い…」

「……クソ…まさか……あそこまで強いとはな…」

「…回復魔法を使ってみたが……治らない…恐らくスキルによる攻撃だからだ…」


するとミユキさんは三人に近付くと、一人一人へ何かを一滴ずつ垂らしていった。


「これでどうかな?」

「…う…ぉぉ…!?」


その瞬間、バラドさんとエルアトラの欠損していた部位が再生していった。一体どうなってんだ!?


「僕の血ってね……A型でも…B型でも…O型でも…AB型でもない……だからどんな血液型の人にも輸血できるし……一滴垂らすだけで…どんな傷や病も治す事ができるらしいんだ……」

「えぇ…どうなってんだよ…」





















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ