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殺戮




「へへ…奇妙な格好の奴等だな…」

「金になるもんを置いて回れ右しな!」

「死にたくなければな!」

「……盗賊か」


俺たちが森を進んでいると、目の前にナイフや斧を持った奴等が死角から飛び出してきた。


「山へ行きたいから道を開けろ」

「頭とち狂ってんのか?…あの山には危険度SSの龍がいるんだぜ?」

「死にたいなら俺らが殺してやるよ!」


盗賊はナイフや斧を構えた。すると一人の盗賊が十郎を見て言った。


「お前は殺さないでおくぜ、あとでじっくりと可愛がってやるからな!」

「気色悪い事言ってんな……十郎…()()()()…?」

「…少なくともあなたの()()()…殺しませんよ」


俺たちが素手で構えると盗賊は馬鹿にした様子で飛びかかった。


「馬鹿が!!」

「素手で勝てると思ってんのか!?」


一人の盗賊が走ってきた、その瞬間に俺は足を軽く蹴った、一人の盗賊はその場でこけて体勢を崩した。


「せいッ!」

「うごッ!?」

「お前!」


そして俺はこけた盗賊を正面から殴って腹を蹴った。その盗賊は倒れてもう一人向かってきた盗賊に倒れかかった。


「うお!」


盗賊が自身に倒れかかった盗賊をどけた瞬間に俺は頭に向かってハイキックをした。


「ぐえッ!?」

「どけ!…俺がやる…」


ゴツい筋肉の盗賊が歩いてくると突然隣から声が聞こえた。


「こっちこいよ、肉ダルマ!」

「んだと…?」

「おい!…女は狙うな!」

「うるせぇ!」


十郎は筋肉盗賊を挑発した。筋肉盗賊は見るからに脳筋なので食い付かないはずもなく、十郎へ向かって身を屈めて走っていった。


「…!?」


十郎は筋肉盗賊の頭に向かって蹴りをした、しかし筋肉盗賊は腕で素早くガードした。


「ぐぁ!?」


しかし、筋肉盗賊は白目を剥いて膝から崩れ落ちた。他の盗賊は困惑している。


「何が起きた!?」

「……ブラジリアンキックか…」


十郎が頭を狙って蹴りをしたと思った筋肉盗賊は頭を守るようにガードしたが、十郎は軌道を変化させて頭上へ頭を振り下ろしたのだ、速度もとてつもなく速い。


「…なんだよ…コイツら…」

「クソ……どうせ山で野垂れ死ぬか龍のエサにされらぁ!!」


残りの盗賊たちは恐れるようにそう吐き捨てて逃げていった。


「ったく…」

「それじゃあ行きますか?」

「ああ」


俺たちは山へ向かって歩いていった。森の木々が山へ向かっている俺たちを嗤うかのように揺れていた。



……



「なんだ…なんなんだよ…!」


何故、こんな連続でヤバい奴と鉢合わせるんだ!?…俺はめちゃくちゃ強いガキどもから逃げてきたが、突然現れたガキに襲われた……


「行け行け!!…フクロにしろ!」

「アハハ…必死だね」


俺は惨めだが、木の陰に隠れていた。仲間たちはナイフを持つイカれたガキに次々と殺されているというのに……


「なんでだよ…今までは上手くいってたのに…」


いつ間違えたんだ?…さっきのガキどもを襲った時からか?…というかなんであのガキは俺たち盗賊を襲うんだ!?…襲うのは俺たちの方だろ…!?……いつから俺たちは襲われる側になった!?


「……早く来なよ!」

「こ…この……ガキめ!!」


仲間のトリアは完全にビビっているのか震えた声でそう言った、俺は木の影から少し覗いた。トリアはガキにナイフを突きつけたが、ガキのほうが速かった。トリアは胸を切られてその場に倒れた。


「ぐぁぁ!!」

「そんな可愛い声出さないでよ…興奮するから…!」

「イ…イカれてやがる…」


あのガキはトリアの胸の切り傷にナイフを突き刺しながら頬を赤らめていた。


「あぐぁぁ……」

「痛い…?」

「あぁぁああ!!」


ガキはナイフを更に深く突き刺さした、トリアは叫んでいる。俺は我慢ならず、飛び出した。死ぬ、確実に死ぬが、飛び出した!


「…まだいたんだぁ……」

「ぶっ殺してやる…クソガキめ…!」


世の中はそんな上手くできていない。俺は躊躇ってしまった。すると俺の向かい側にいた仲間のビアルが飛び出した。


「うおおお!!」

「そら!…あげる!」

「ぐあ!?」


ガキは素早くナイフを抜いて、トリアを投げつけた。ビアルはぶつかって怯んだ、そして怯んだビアルの喉元を斬った。


「がふ…ふ…」

「苦しい?……うん…苦しそうだから楽にしてあげるよ」


ガキはビアルの喉を更に数回斬った、そしてビアルは動かなくなった。


「あぁ…君達も楽にしてあげないと……特別扱いは良くないからね」


そう言うとガキは倒れている奴等の喉元を次々と刺していった、俺は何歳も年下のガキが怖くて動けなかった。


「……楽しかったよ」


ガキは次々と刺している。今なら、逃げられるんじゃないか?……そうだ…これはチャンスだ……俺は生きるぞ……生きてやるぞ…!


『…後ろを向いているな…よし!』


俺はガキが背を向けた瞬間にゆっくりと離れた、しかし、女神は俺みたいな悪人には微笑まなかったようだ、俺の足元から木の枝の折れる音がした。


「…!」


ガキがすごい速度で俺のいた方を向いた、俺は近くの木へ素早く隠れた。良かった、反応から見てバレてなさそうだな。


「……誰かいるの…?……出てきなよ」

『…………クソ…』











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