秘密の財宝
「…あの遠くに見える建物……あそこに人間と魔族の記録がある可能性大ッ!!」
「………………………渡るか…」
「マジで渡るの?……落ちたら死んじゃうよ…?」
「そうだな…だが渡るしかない」
そしてレクスは、断崖絶壁へと踏み込んだ。普通なら落ちる筈だが、レクスは床の無い場所へ立っていた。
「……魔法で足場を作った…余の後ろへピッタリついてこい…」
「スゲイ!」
王達はレクスを先頭に、空中を歩いていた。歪みは、王達を誘うように揺らめいている。
「…高所恐怖症の人は渡るの無理だね……」
「……あぁ…そうだな…」
「………………」
ミユキは下の歪みを、ジッと見ていた。そして少し歩いていくと、建物がハッキリと見えてきた。
「…もうすぐツッ!?」
「……どうした!?……ッ!!」
スカーレットとムサシは、絶句しているレクスの見ている方向へ向いた。そして思わず呟いた。
「……………………ミユキ…」
ムサシの後ろで歩いていた、ミユキの姿が無かったのだ。王達が下を見ると歪みが蠢いていた、まるで何かを飲み込んだかのように。
「…………行くぞ」
「……そうだな」
王達は、静かに建物へと向かって行った。その目に悲しみは浮かんで無く、真っ直ぐとしていた。
……
「…まるで城だな……」
王達は断崖絶壁を越えて、謎の建物まで辿り着いた。その建物は、存在感のある城だった。
「……中へ入るぞ」
「…ああ」
城の門は脆く、魔法で容易く破壊出来た。門を破壊して城の敷地内へと入ると、庭は不思議と綺麗だった。まるで誰かが、手入れをしたように。
「誰かいるかもしれないな…」
「…気配は無いが……用心するに越した事はないだろう……」
扉を開け城の中へ入ると、中は王達が普段いる城と同じ様に整えられていた。
「………何百年以上…誰も住んでいない筈なのに……中が荒れてなさ過ぎる…」
「…逆に不気味だな……」
ゆっくりと歩き、辺りを警戒しながら進んでいくと、王座のある王の間へと辿り着いた。
「王の間か……」
その時、王座に人影が見えた。王達が王座へ近付くと、その人影は骸骨だった。
「……古代の王か…」
「…ッ!?」
その瞬間、骸骨は突然動き出して王達に掴みかかってきた。
「くッ!」
ムサシが蹴飛ばすと、骸骨はバラバラになって床へ散った。
「…モンスターと化したのか…?」
「……まだ動くぞ…」
バラバラになった骸骨が、ゆっくりと人の形を形成し、王達に再び襲いかかってきた瞬間に、王達の背後から飛んできた包丁が骸骨を貫いた。
「…!」
骸骨は砂と化して、地面に落ちた。砂の山には、アビスが転がっていた。
「…これは…アビス…!?」
「そう…古代の王はアビスによって悪神に操られていたのさ…!」
「ミユキ!」
アビスを拾って王達が振り返ると、そこにはミユキが立っていた。
「………やはり生きていたか…」
「…ごめんごめん!……歪みに落ちたらどうなるのか試してみたくて……僕の事心配してくれた?」
「……心配してなどいない…お前はどうせ生きていると信じていたからな…」
「…心配してよ……あぁ…そうそう……歪みは大したことなかったよ!…すぐに順応出来た…」
そしてミユキは、王座に突き刺さった包丁を抜いて、手招きして。
「……それよりも面白いものを見つけたんだ!」
「…面白いもの?」
「うん…そのアビスに関係する…ね」
王達は言われるがまま、ミユキへとついていった。ミユキは城の書庫らしき部屋へ行くと、一冊の黒い本を引き抜いた。
「…ムサシさん!……そこにある赤い本を抜いて!」
「………………………ああ…」
ムサシが赤い本を本棚から抜くと、一番奥にある本棚の一つが消えて、通路になった。
「…これは……」
「隠し部屋さ…僕は歪みに順応した後……この奥にある隠し部屋からこの城へ入った…」
王達は、出現した通路を進んでいった。王達が通路を進むと、消えた本棚は再び出現し、赤い本と黒い本は元あった位置へと戻っていった。
「…この奥には何が…」
「………魔族と…人間が敵対する原因となった…魔族大量虐殺…その真相があるのさ…!」
通路を進んでいくと、大きな部屋へ出た。その部屋には大量の財宝があったが、王達の目に留まったのは、その中心にあるボロボロの本だった。
「…コレに…真相が書かれているよ…!」
「………魔族と人間の誕生から……虐殺事件の…真相までの…歴史が記されている…」
王達は、虐殺事件に関する情報が書かれているページを開き、読み始めた。
「………………なるほどな……」
「……魔族は…大量虐殺を人間が行なったと思ってるけど…違う……真の黒幕は…!」
「………レインとライン…あの二人の悪神だった…という事か……」




