真相調査開始
「……手紙は読んでくれたよね?」
「ああ」
「…それで……答えは?」
「即答でNOだな」
ミユキさんの問いに、シャルルは即答した。そしてミユキへ続けて言った。
「お前ら人間と…友好条約なんて結ぶ筈が無いだろう」
しかし、ミユキさんは負けじとシャルルへ言った。
「……そう言うと思っていたよ………見せたいものがある……お話…させてほしいな」
「…………魔王様…」
「……前魔王が行なっていた実験は…この人間達のおかげで知ることが出来た……皮肉にも…人間によって前魔王の悪事を知る事が出来たのだ…」
シャルルは少し考える素振りを見せた後、俺達へ言った。
「…答えは変わらんだろうが……話くらいは聞いてやる…」
……
「それで?…話とは…」
俺達は大きい机のある部屋で、シャルルと向かい合うように座っていた。
「まず…最初に謝るけど…君達をモンスターと同類だと思ってたんだ…ごめんね」
「フン…あんな獣と一緒にされては困るな…」
そしてシャルルは、机に肘をつくとミユキさんへ尋ねた。
「……それで…話とは?」
「…単刀直入に言おう……人間と魔族が…敵対した真相を……」
「……真相…?」
「うん」
……
十郎と梅岡は、元気を取り戻したのか顔には余裕があった。すると梅岡が、ミユキへと尋ねた。
「…ところで……アンタ達は別の用事があるって言ってたが……何してたんだ?」
「あぁ…そういえば言ってなかったね……僕達は……」
ミユキさんは、俺達が遺跡へ行っている間に何をしていたかを話し始めた。
……
「…ミユキ」
「ん?」
梅岡と十郎が部屋を出ていった後、レクスがミユキへ尋ねた。
「……別の事…とは何だ?」
「…あぁ……それはね…」
ミユキは立ち上がって、王達へと言った。
「…悪神捜査の人数を増やす!」
「……人数を増やす…?」
「うん!……単刀直入に言うと……魔族と和解して…悪神を一緒に探すって事!」
「………はぁ…?」
王達は『何を言ってるのだコイツは』と言わんばかりにミユキを見つめていた。
「……もしかしたら…和解して友好条約を結べるかもしれない…」
「…何か考えがあるんだね……ミユキ…」
「うん!」
エミリアが尋ねると、ミユキは元気よく頷いた。そしてその後に、続けて王達へ言った。
「…魔族と和解して友好条件を結ぶ……それを実現する為の……材料を集める!」
「材料だと…?……交渉材料ってやつか?」
「そう!…交渉材料!」
そう言ってミユキは、机の上に古びている鍵を置いた。
「……何だこの鍵は…?」
「…僕がアロンへ行った……魔王の部屋で発見した鍵!」
「………………………その鍵が何だ…?」
ムサシが尋ねると、ミユキは世界地図を広げて、ある一点を指した。その一点には、ばつ印がしてある。
「…鍵と一緒にこの地図があったのだけど……このばつ印の場所で…この鍵を使うのではないかと思ってね…」
「………そこに…交渉材料があるのか?」
「うん…この場所には……魔族と人間がかつて暮らしていたとされる……世界があるからね…」
ミユキは、ばつ印のされた地図を見つめながら、王達へ言った。
「…突然人間が魔族を虐殺し始めて敵対した……どう考えても何か仕組まれている……」
「確かに……段々と亀裂が生じていったのなら分かるが……突然…何の前触れも無く虐殺したのはおかしいな…」
少しの沈黙の後に、ミユキは続けて王達へと言った。
「まぁ…何の材料も得られなかったとしても……今ある材料で何とか説得するよ…!」
「………………」
「……それじゃあ…行く?」
ミユキが王達へ尋ねると、王達はゆっくりと立ち上がった。
「…行くか」
「………魔族と人間の…真相調査か…」
「あ!…エミリア!……君には残っていてほしい!」
「えぇ〜……行きたかったな…」
エミリアは不機嫌そうに、足をバタバタさせた。
「…ごめんね……エミリアにはこの作業をやってもらわないといけないからさ…」
ミユキはエミリアへ、メモを渡した。エミリアはメモを見て、何かを察したような表情を浮かべた。
「……なるほど…人間が倒した魔族の魔素を集めろと言ったのは…この為か……」
「そういう事!」
「………こんな責任重大な事を任されたとあれば…同行出来ないのは仕方がないね…」
エミリアは立ち上がって、扉に手をかけるとミユキへ行った。
「…この事は僕に任せて!……その代わり…帰ってきたら話を聞かせてよ!」
「うん!」
そう言い残し、エミリアは部屋から出て行った。そして、残った王達は装備の確認をし始めた。
「……エミリアの作業が気になるが…先に真相調査だな…」
「……………………うむ…そうだな」
「それじゃあ…出発進行!!」
王達は準備をして、目的地へと向かい始めた。




