元々の目的
するとジークは、掌に光を生み出すと俺達へ言った。
「俺は高名な魔法使いや…魔法を極めた賢者……様々な魔法の使い手に触れて…高度な魔法をコピーしてきた…」
「……へぇ…」
「この程度の結界ならば…容易く破壊する事が可能だ…」
そして、ジークについていく様に俺達は遺跡の中へと足を踏み入れていった。
「…暗いな……」
「梅岡さんは暗所恐怖症なのです…」
「それじゃあ…もっと光を強くしようか」
するとジークの掌の光が、更に強くなった。これなら大丈夫だな。
「ありがとう…」
「いやいや……おっと…ここから先は少し危ないね…」
ジークが途中で立ち止まった、すると奥から音が聞こえてきた。
「……【シャットドーム】…!」
するとジークの周りに半透明なドーム状の壁が出来た。
「この中へ入って!」
「あ…ああ……」
俺達は言われるがまま、ドームの中へ入った。一体何が危ないんだ?
「…どうしたんだ?」
「ここから先には…大量のトラップが仕掛けられてる……数が多いから解除していると日が暮れてしまう…」
「…トラップだと?」
「とりあえず…進めば分かるよ」
ジークが歩くとドームも動いた。俺達はドームから出てしまわないようにして、ついていった。その瞬間、地面や壁などあらゆる場所から針が飛び出してきた。
「うおッ!?」
「このドームの中にいれば大丈夫だよ」
針はドームに触れると、音を立てて折れていった。
「……確かに…魔法を一つしか持っていない俺達二人だけだと…進むのは困難……ていうか不可能だな…」
「…そうですね……」
飛び出してくる針を折りながら、俺達は奥へと進んでいった。奥に進むにつれて、辺りの空気も重くなってきている。
「………そろそろ大丈夫かな…」
ジークがそう呟くと、ドームが消えていった。針も、もう飛び出してこない。
「針エリア突破…だな……あとどの位だ?」
「……まだまだ先だよ…」
「…マジかよ」
針のエリアを超えて、歩いていると再びジークが立ち止まって言った、前を見てみると行き止まりだ。
「これは結界か……解除するから待ってて…」
「ああ」
ジークが壁に触れて、何かを念じ始めた瞬間、背後から音が聞こえてきた。
「…モンスターが来ます」
「モンスター!?」
「……ごめん…解除してる間…モンスターは頼んだ!」
「マジかよ!」
音は段々と近付いてくる、一体どんなモンスターが来るんだ。俺の頬に一筋の汗が垂れると、十郎がナイフを持って走っていった。
「お…おい!」
俺は急いで十郎を追いかけた、すると二足歩行の獣のモンスターがいた。手には剣を持っている。
「コイツか…!」
「…ッ!」
するとその瞬間、十郎はナイフでモンスターを斬りつけた。モンスターも負けじと十郎を斬る。何だ…十郎のこの戦い方は……
「……何だ…十郎らしくない戦い方だな…」
十郎は攻撃を避けず、血に飢えた獣の様にモンスターを切り刻んでいる。傷だらけだというのに、十郎の顔は無表情だ。
「…ぶぎッ」
モンスターは血を吹き出しながら、倒れて魔素となった。
「十郎!…大丈…」
俺は十郎に近付いた瞬間、絶句して後退りした。十郎は、地面に水溜りとなった血を啜っていたからだ。
「おま…何してんだ!」
血塗れの十郎を羽交い締めにして、俺は十郎を血溜まりから遠ざけた。すると、十郎の身体の傷が段々と再生していった。
「…なッ……!?」
「……ふむ…」
十郎は自分の身体を見ながら、口に付いた血を拭いて言った。
「効果は…絶大のようですね」
「なに…効果?」
すると十郎は、俺から離れて説明し始めた。
「このマントの効果で…僕は吸血鬼のように……血を体内に取り込む事によって傷の再生が可能になったらしいので…試していました…」
「…そんなマント……何処から…」
マントはどうやら、ミユキさんから貰ったらしい。たしかに、よく見れば、ミユキさんの着ていたマントだ。
「……そんな効果があんのかよ…」
「解除出来たよ!」
俺達が話していると、ジークが俺達へ言った。ジークの方へ向くと、目の前にあった壁は綺麗さっぱり消えていた。
「解除出来たのか!」
「…うん……それで…モンスターは?」
「……倒しました!」
十郎はそう答えて、ジークの元へ走っていった。俺はそんな十郎を見ていた。
『…たまに忘れそうになるが……元々…俺は十郎の目を覚まさせるという目的を持っている…』
「梅岡さん…?」
「ああ!…今行く!」
『……悪神も倒さなければならないが……十郎に取り憑いている人の業…ソレを取り除く方法も探さないとな…』
俺を見る十郎とジークの元へ、俺は走っていった。
「……梅岡さん…どうしたのですか?…僕の事見て…」
「……………いや…何でもない…」




