週末に訪れる終末
「お前世界を滅ぼす闇とかいうやつについて何か知ってる?」
「……噂では聞いた事あります……それで実はその真相を確かめようとした時にあなたと再会できたのですよ」
ユウトとメルトは世界を滅ぼす闇のある山に歩いていった。
「待てよ…!」
「あ?」
「忘れたとは言わせねぇぞ…!」
目の前に二人の男が立ちはだかった。ユウトはその男達を思い出せないようだが、メルトは男の顔を見て叫んだ。
「…元黒騎士のガランとライド…!……牢獄にいるはず…」
「ああ、お前に敗れ俺たちは捕まった。国も失った、そんな俺たちを支えたのはお前に対する復讐心だった」
「俺たちは脱獄してお前を探していた………ここで会ったが百年目…お前をズタズタに引き裂いて木にぶら下げてやるよ!」
ガランとライドが剣を抜いて迫った瞬間、メルトが目の前へ立ち塞がった。
「…お前……あの時のガキか……どけ」
「遠慮せずにかかってこい」
「ガキが」
ガランとライドはメルトに一斉に斬りかかった。その刹那、ガランとライドの剣は破片を飛び散らせて折れた。メルトは目にも留まらぬ速さで剣を抜き、ガランとライドの剣を的確に攻撃していたのだ。
「…なッ…!?」
「昔のガキだと思わない事だ」
「くッ…」
そして剣をガランとライドに突き付けた。二人は固唾を呑んで、逃げていった。
「強くなったな」
「勇者様がいなくなったあと…練習したんです……まだ勇者様の足元にも及びませんが…」
メルトは剣をしまってユウトに言った。そして笑みを浮かべて元気よく言った。そんなメルトをユウトは子供の頃と重ねていた。
「行きましょうか!」
「…ああ」
二人は山に続く道を歩いていった。辺りは静かで、草の揺れる音しか聞こえない。
「……帝国ってどうなったんだ?」
「帝国は廃都になってそのまま放置されてます。帝王や兵士、黒騎士は全員世界を滅ぼそうとしたので牢獄に入れられました」
「ふーん」
そんな話をしながら歩いていると、目の前に不気味にそびえ立つ山があった。
「ここか」
「行きましょう!」
二人は山道に入り、山の奥へ進んでいった。
……
「ここ…ですかね…」
「ああ、アイツの言った通りならな」
「アイツ…?」
「いや、なんでもない」
二人は大きな鉄の扉の前で止まった。そしてユウトが扉を蹴ると扉は轟音を立てて壊れた。
「えぇ……」
「行くぞ」
ユウトは扉の奥へ進んだ、すると開けた場所へ出た。そこはまるで闘技場のような場所だった。
「…来ると思っていた……ユウトォ!!」
「お前は…もしかして…」
黒いフードを被った三人の男が天井から降りてきた、そして黒いフードを脱いだ。
「……へへ…」
「あぁ、ごめん、やっぱ知らんわ」
「なッ!?」
三人の男は信じられないといった表情をしている。
「てっきりヴァンを殺そうとした奴等かと思ったぜ」
「合っとるわ!それで!!」
「ああ、合ってたんか」
ユウトは頭を掻きながら言った。男達はそんなユウトを睨んでいる。
「野郎…舐めやがって…」
「知り合いですか?」
「ああ、ヴァンを殺そうとした奴等、略して『ころやつ』だ」
「へぇ…」
ユウトは『ころやつ』を指差して言った。
「略すな!」
「それでお前らまた世界滅ぼそうとしてんの?」
「…くく……そうだ…しかし今回はお前でも止められないぜ…!」
『ころやつ』が地面に手をつくと、突然辺りが揺れ始めた。
「な…なに…!?」
「降臨せよ……エラトマ様…!!」
『ころやつ』がそう叫ぶと辺りを霧が包み込んだ。そして少しして霧が晴れるとそこは神殿のような場所だった。
「ここは…」
そして上空には巨大な彫刻が浮いていた。それを見ていると『ころやつ』が言った。
「あの山の地中深くに沈んでいたエラトマ様の神殿だ。さっきはその神殿が押し出された衝撃で砂が舞い上がっていたがな…下を見てみろ!」
「…高い……」
神殿は上空100m程に浮かんでいた。メルトは下を見て震えている。
「それであの石像はなんだよ」
「あれこそがエラトマ様だ!!…エラトマ様は世界を滅ぼす外なる神々!!…俺たちはその従者だ」
「ふーん…お前ら従者になったんだ」
すると何処からともなく声が聞こえた。
《我はエラトマ…この世界に終末の裁きを下す審判者》
「終末の裁きが週末に下されるのか?」
《思い上がるな愚か者が》
突然、一本の神殿の柱に亀裂ができて倒れてきた。それはユウトに向かって倒れてきている。
「勇者様!」
柱がユウトに倒れたが、ユウトは無傷で立っていた。
「…あんな巨大な柱の下敷きになったってのに……バケモノかよ…」
「まぁいいや、お前ぶっ倒すわ」
《我を倒す…だと…?》




