パラダイスへ至る道
「そして…この神殿はとあるモンスターを封印する為に古代に建てられた事も分かった…」
「ふむ…」
すると話した後に、ミユキさんは王達や俺達へと語りかけた。
「…おかしくない?」
「……おかしい?」
ミユキさんは、映像を切り替えた。切り替わった映像には、ボロボロの本が映し出されている。
「…この本には……魔族と人間が何故敵対したかが書かれている…」
「………そんなものが…」
「内容を要約すると……何千年も前…魔族と人間は共存していたが…ある日人間の王が軍に命令して…魔族を虐殺し始めた……そして…敵対し始めたと…」
「…確かに……その本の内容が同じなら…矛盾が生じているな…」
王達は映像を見て、呟いていた。何がおかしいんだ?
「…どこかおかしい所ある…?」
「……モンスターの起源は知ってるよね?」
「あぁ…ユウトさんがぶっ倒した神の力が…このテオロンに落ちて…そこからモンスターが……あ!」
その時やっと、俺は何がおかしいかが分かった。
「…神の力がテオロンに落ちてきて…モンスターが生まれたのは……数年前だ!」
「そう…魔族の存在は数千年も前から確認されていた……だから…モンスターとは別の生物なんだ…」
「……魔族の事など…気にも留めていなかったが……数千年前から存在していたのか…」
そしてミユキさんは俺達も持っている、オリジンを取り出して説明した。
「うん…それでモンスターの起源を調べたら……オリジンがモンスターを生み出した事が分かったよ……オリジンは悪神から剥がれ落ちた能力である…[想像したものを創造する能力]だったんだ……そのオリジンが…魔族を読み取って…似たような生物を創った…」
「なるほど…」
王達はミユキの持つオリジンを、ジッと見ていた。
「…あの神殿の迷宮に封印されていたモンスターや…魔族はモンスターに非ず……」
「別の生物ということか…」
「……今思えば…魔族の魔素とモンスターの魔素は…構造が違ったな……」
俺達が映像を見ていると、ミユキさんが俺達に言った。
「モンスターと魔族の違いが分かったところで…梅岡君と十郎君に頼みがある!」
「……………え?…俺達?」
ミユキさんがそう言うと、いかにもな遺跡の映像に切り替わった。
「ここは最近発見された…悪神がアジトにしていた遺跡なんだ…!」
「……ふむ」
「まぁ…元だけどね……見つけた時に魔力探知機で生物の反応を調べたけど……悪神の反応は無かったから…」
悪神の元いた場所か、アイツこんな所にいたんだな。
「………このアジトに…もしかしたら何か手掛かりがあるかもしれない…だから梅岡君と十郎君に調査してきてほしい!」
悪神の元アジトか、確かに手掛かりがあるかもしれないな。そして映像を消すと、続けて俺達に言った。
「…と言いたいのだけど……この遺跡は中がとても複雑でね…魔法に卓越していなければ最下部に降りる事が困難なんだ……」
「じゃあ…どうやって降りるんだ?」
「……僕ミユキを含む王達は…別の事をしないといけないから同行できない……」
「……じゃあ…どうするんだ…?」
するとミユキさんは、手紙を取り出した。
「…この手紙を持って……パラダイスと呼ばれる場所に行ってほしい…」
「……なるほどな…」
「…え?……何で?」
俺が戸惑いながら尋ねると、ミユキさんは笑顔で答えた。
「……そこに…助っ人がいるからさ!」
「助っ人…ですか…?」
「まぁ…言ってみれば分かるよ!」
「はぁ…」
ミユキさんの手紙を受け取って、俺達は立ち上がった。
「それじゃあ遺跡の探査…頼んだよ!」
「はい!」
そうして俺達はエリアスを出て、パラダイスと呼ばれる大地へと歩き始めた。
「パラダイスってどんな場所なんだ?」
「…スマコにも情報がありませんね……」
スマコで調べても、パラダイスの情報は一切載っていない。一体どんな所なんだ……
「とりあえず…行きましょうか」
「……なんだか…俺達この異世界に来てから歩きっぱなしのような気が…」
……
「………なぁ…パラダイスってどの辺にあんの?」
「位置的には…この森を抜けた先のようですね…」
「…よし……それじゃあさっさと抜けるか!」
俺達は、薄暗い森の中へ足を踏み入れていった。森は俺達が行ったことのある中では、比較的明るい。
「……暗所恐怖症に優しいな…この森は…」
「…そうですね」
俺達はゆっくりと警戒しながら、森の中を進んでいった。その瞬間、見覚えのあるモンスターが俺達の目の前へ現れた。足元には魔素が落ちている。
「…ハァ……マジかよ…」
「……またですか…」
[アビスゴブリン]
危険度SS
アビスの影響により変異したゴブリン。魔法を扱い、とてつもない生命力を持つ。知能は無く、目の前にいる生物を人間でもモンスターでも見境なく襲う。
「……ん?…ちょっと待て…」
「…!」
俺は腰にある刀を抜いた。抜いた瞬間、刀は赤黒い波動に包み込まれた。
「…梅岡さん?」
「……神斬りなら…コイツを…」
その時、アビスゴブリンが斧を振り上げた。そして斧が俺に当たる刹那、一閃、俺はアビスゴブリンを斬った。
「オラァァア!!」
「………グロロ…」
「…身体が…!」
アビスゴブリンの身体にヒビが生じて、アビスゴブリンは霧と化した。アビスゴブリンがいた場所には、魔素とアビスが落ちていた。




