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魔王の跡継ぎ




「……それじゃあ…まぁ…ありがとう…」

「…いえいえ」

「落ち着いたら…また来いよ!」

「ああ!!」


俺達は魔族が騒ぐ中、アロンの外へ向かって歩いていった。


「………大丈夫かな…」

「大丈夫だよ!」


ミユキさんは、カフェを見る俺の肩をポンと叩いて励ますように言った。


「まぁ…多分……近いうちに会う事になるよ…」

「…?」



……



「…オーナー……これからアロンはどうなるのでしょうねぇ…」

「………私にもこれから何が起きるか…分からないけど……()()()()()()()()()()()がある…」

「…確定?」


アザミがそう呟くと、マルコンは首を傾げて尋ねた。


「……もう忘れたのか?」

「…うーんと……確定している事…確定している…事………あッ!!」


マルコンは、何か思い出したかのように立ち上がった。


「アレか!!」



……



「…作戦は成功したのだな…」

「そっちこそ…防衛は成功したようだね…」


俺達は、防衛していた人達と合流した。王達や聖騎士達、ギルド戦士達の鎧は土などで汚れおり、傷だらけである事から、ここが激戦区だった事を物語っている。


「……魔素は?」

「…ちゃんと回収してるよ……全く…何に使うのか教えてよ…」

「今はだーめ!…もう少ししたらね!」

「えー…」


そうして俺達の……長そうで短かった…いや…短そうで長かったか?………まぁ…そんな感じで戦争は終わったわけだ…


「……よし!…帰ろ!」

「…俺…身体中バッキバキ…」

「お前よりも俺達の方がバキバキだわ!」



……



魔王失脚作戦、レイド大陸防衛の数時間後



魔族の国アロンでは市民や兵士、実験の事を何一つ知らなかった民達が混乱していた。


「どういう事だ!」

「…子供達を攫って実験に使ってたの!?」


魔王の王座の前では、シャルルが怒りの混じった声で、魔王へ叫んでいた。


「これはどういう事だ!!」

「…それはアロンに侵入した人間が撒いたものだろう?……人間の作った新聞の情報を鵜呑みにするのか?」

「……ッ…」


シャルルの問いに対して魔王は焦りを見せず、冷静にそう返した。


「…確かにこれは…人間の書いた新聞だ……だが…!」

「………………」

「……実験の写真…資料……アンタが実験を行っていた…確固たる証拠が載ってある…!」


その時、王の間に魔王の四騎士と幹部が入ってきた。それを見て魔王が、一瞬焦るとシャルルは続けて言った。


「………俺も調査をした…そして……アンタと繋がって…実験を行っていた魔族は全員……牢に入れた…」

「……………」

「…真実を話せば命までは取らないと言ったら……全員口を揃えて言ったよ……」


『魔王様に命令されて、人体実験を行なっていた』


そしてシャルルは、魔王の四騎士を見た後に、魔王へ言った。


「…実験台にされた魔族達は全員……元に戻らせた……」

「………………」

「そして…アンタの実験に協力していた…四騎士のアリアに……()()()も聞いたぞ…」



……



「魔王様!…幾ら何でも……民を実験台にするのは…」

「……ん?…お前はいつも…何も言わず我の命令に従っていたというのに…どうしたのだ?」


魔王の自室で、実験の協力を求められたアリアは、魔王へ反発していた。


「…人間を何としてでも倒したいのは分かります……ですが…民をま」

「そういえば…君には妹がいたね…」

「…は……はい…」


笑みを浮かべて、アリアをジッと見ながら魔王は言った。


「……剣に長け…聡明な……育ての親は君だと聞いているよ…良い教育をした証拠だ…」

「…いえ…………あ……ぁぁ…」


その時アリアは見た、見てしまった。魔王の机の上にある、妹の私生活の写真の数々を。それを見て、アリアは悟ったのか目に涙を浮かべ、跪いた。


「………それで…実験についての話に戻すが……」

「……………やります…やらせてください…」

「うむ」

「………私に…任せて……ください…」



……



「…家族を脅しの道具に使って従わせる……そんな魔王見たくなかったな…」

「……………アリア…」

「アンタはもう王の器じゃあない」


シャルルは、真っ直ぐな眼差しで魔王へ言った。すると、包帯を巻いたサランが魔王へ突き放すように言った。


「……()()()のシャルルが…魔王を引き継ぐ事になりました…」

「……………そうか…」


魔王はシャルルを横切って、扉を開けた。そして、部屋から出る前にシャルルへ言った。


「…では…我はもうアロンには必要ないな…」

「ああ……アンタには国から出て行ってもらおう………国の為にも…アンタの為にもな…」

「………では一つだけ言っておこう…」


シャルルと四騎士を見ながら、魔王は怒りの混じった声で言った。


「……侵入者を始末出来ず…戦果も挙げられない騎士と……義父を平然と突き放す貴様では…永遠に人間を倒す事は出来ぬぞ」

「…………………」


そう言い残し、魔王は部屋から出て行った。















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