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時の流れは水流の如く




「…ヴァンは失敗したようだな」

「……計画の見直しが必要だ」

「あのカスめ…始末しとくか?」


数人の男が暗い部屋で話していた。机の上には沢山のファイルや紙が散らばっている。


「勇者とヴァンを始末して計画は続行する」

「……その意見は反対だな」

「貴様はッ…!


部屋にはいつのまにかユウトが立っていた、男達は構える。


「…まさか獲物の方から来るとはな!」

「計画を実行するため手短に済ませるぞ」

「それ以上喋んな、唾飛んでるから」



……



「……それで?」

「渦に関する奴等は全員ブン殴った」


ユウトが白い部屋でホワイトに報告した、ホワイトは笑みを浮かべてユウトにあるものを手渡した。


「……ありがとう!…だけど君を元の世界へ戻すのに少しかかるからそのゲームでもして待ってて!」

「ああ」


ユウトはソファに座ってゲームを起動した。そしてホワイトはテオロンを天空から見ていた。


「…あと思ったのだけど…応急処置に使った服……返してもらわなくて良かったの?」

「……パンツだけで充分だ」


ホワイトはドン引きしていた。だが、ユウトは何故ドン引きしているのか分からない様子だった。


「君…凄いね……」

「それじゃあ元の世界へ戻るぜ、ゲームも貰えたしな」

「うん!」


ユウトは木の扉の中へ入った。そしてその数年後、ホワイトは再びテオロンを眺めていた。そんな時にある部分を見て思わず二度見した。


「……はぁ…またか…」


ホワイトはモニターの下にあるボタンを押した。するとソファにゲームをしているユウトが現れた、ユウトは困惑している様子は無い。


「……ごめんだけど!…もう一回テオロンに行ってもらいたいんだけど!!」

「ここ終わったらね」



……



「……なんでまたテオロンに…」

「ごめん……君が最初に降り立ったテオロンに…また世界を壊しかねない闇が訪れてて…」

「闇はテオロンに一目惚れしてんのか?」


ユウトは再びテオロンに降り立った。そして最初に降りた草原に降りたが、そこは街に変わっていた。ユウトは上半身裸だったが、露出度の高い服を着ている人もいるのでそこまで怪しまれなかった。


「…何をすればいいんだ?」

「闇を除去すればいい、位置はスマコに送ったから」

「自分でしろよ…」

「…ごめん……神が直接手を加えたら駄目だから」


ユウトは街を歩いていた。街は活気付いており、この場所が平原だったとは思えない程だった。


「数年でここまで変わるのか」

「あ!!」


そんな時、後ろからユウトを呼ぶ声が聞こえた。ユウトはどこか懐かしいその声を聞いて振り返ると騎士を引き連れた青年が立っていた。


「…ゆ……ゆうしゃさま…!?」

「お前メルトか?」

「どこに行ったのかと思いましたよぉ…!」


メルトは泣きながらユウトに抱きついた。身体には大量の涙や鼻水が付いている。周りの人々や騎士は目を丸くして見ていた。


「なんだよ気色悪いな」

「だって勇者様…帝王を倒した後どこを探してもいなかったからぁ…」

「すまんな」


騎士はコソコソと話している。


「…メルト王の知り合いか?」

「さぁ…」


そしてメルトは涙と鼻水を拭いて、改めてユウトに尋ねた。


「それで…何故今になって…」

「実はこの世界に闇がまた発生してな、それを除去しようと思ってる。要するにまたお前と旅しないと駄目らしい」


するとメルトはその場で飛び上がり、大喜びした。


「ホントですか!?…やったぁ!!」

「喜ぶなよ、世界が滅びるかもしれないって時に」

「すいません……あ!」


メルトが突然、ユウトの身体を見て思い出したかのように「あっ」と呟いた。


「……旅の前に僕についてきてもらえませんか!?」

「ああ」



……



「ここからは二人で行きます」

「分かりました」


二人の騎士は街へ歩いていった。


「…ここに何の用だ」


メルトが案内した場合は大きな城だった。そしてメルトが門に近付くと、門の扉は重々しく開いた。


「……お前王にでもなったのか?」

「はい……帝王は僕が倒したって事になって…先王が僕を跡取りにしてくれて…僕は王になったんです…本当はあなたがなるべきだったんですけどね…」

「俺なんかがなったら世界の終わりだろ」

「そんな事ないですよ!」


雑談をしながら二人は城の中へ入っていった。門をくぐり、城の中へ入ると広いロビーが出迎えた。


「メルト王!」


ロビーにメルトが入った瞬間に周りにいた執事やメイド、騎士は整列して跪いた。


「さすがは王だな」

「そんな事しなくていいって毎日言ってるのに……」


そしてロビーを抜けて、豪華な装飾のされた扉を開けて中へ入った。壁には剣がかけられ、机の上に本が置かれている。


「…ここは僕の部屋で、何故ここに来たのかというと…これを返そうと思って…」


そう言ってメルトは服を差し出した。それはユウトがメルトの応急処置に使用した服だった。


「別に返さなくてもいいのに」

「いえ……勇者様の大事な服なので……返すのが遅くなって申し訳ありません…」

「いいよ別に………いらないけど…まぁ…無いよりはマシか……」


そう呟いてユウトは服を受け取りその場で着た。


『…あの時の…勇者様だ……一人で帝国に挑んだ負け知らずの……』

「そんなに見るなよ」














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