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霧島魅由樹 ライド大陸/アロン領土内 10:05:13




「…どうしたの十郎君?…僕の事見て…」

「いや……ミユキさんは男性ですよね…?……しかしエミリアさんの身体は女性なので……」

「あー…」


するとエミリアさんは、自身の胸を触りながら答えた。あの膨らみだとカップはAとBの間ぐらいだな……


「……ホワイト君が最初に僕を見た時…女の子だと勘違いしたらしくてね…だから人形の方の僕は女性として作られた…」

「なるほど…」

「…ホワイト……あの(かみ)はよくミスをするな…」


そして、しばらくそんな感じの雑談が続いた。



……



「…四騎士が二人だけになると…こうも寂しいとはな……」

「………………」

「……一人は十郎とやらによって倒され……もう一人は未だに独房の中だ…」


すると魔王の目の前に黒いスライムが落ちてきた。


「…三人だよ……シャルル…」

「……アンタは…」

「黒喰の……アダン…!」


そして落ちてきたスライムは人間の姿になった。


「………まさか…牢を抜けてきたのか…?」

「…うん!……戦争があるって聞いたからさ!」

「お前がいれば…千人力だ…!」


魔王は歓喜を抑え込み、アダンに言った。すると四騎士の一人がシャルルへ尋ねた。


「…アダン……」

「……あの人…千人力って言われてるけど…強いのか?」

「…………ああ…人魔戦争では…ムサシに敗れたが……人間達に莫大なダメージを与えた魔族だ…」

「…へぇ……あの少年が…」


シャルルは、魔王と同等に話すアダンを見て呟いた。


「……魔王と同等に話してるし…」

「…子供の姿をしているからといって油断しない事だ……下手したらお前も…戦争の時に喰われてしまうぞ…?」

「…………………」



……



一週間後の午前9時



「……ミユキさん…確か10時に魔王軍がせめてくるんだよな…?」

「そうだよ!…だから10時までにこの大橋を渡らないといけないね!」

「それでは…渡る前に質問してもよろしいですか?」


俺達は大橋の目の前に立っていた。するとそんな時、十郎が聖騎士達へ尋ねた。


「……今更なのですが…聖騎士の皆さんはエミリアさんがミユキさんの人形だということは知っていたのですか?」

「…なんか知ってるふうだったよな」

「当たり前でござる!……聖騎士たるもの…人の王の事は知っておかなければならないでござるからな!」


そしてアーサーが話した後、ロダンさんが続けて言った。


「……ミユキ様は魔王と聖騎士…そして他の王だけにその事を伝えていたからな…」

「なんだよ…知らなかったのは梅岡と十郎と…俺達だけかよ…」

「………公表にはされていないからな…知らないのが普通だ…」


ギルド戦士の真風がロダンを見ながら呟いた。


「……おっ!…魔王軍が来るまで…あと一時間を切ったよ…!」

「じゃあそろそろ行くか?」

「そうですね」


俺達は大橋を渡る前に、ギルド戦士達と聖騎士達へ言った。


「死ぬなよ!」

「……お前もな!」

「…ミユキが付いてる時点で…失敗は無いだろうな…」


そして、俺達はライド大陸へ向かって歩き始めた。



……



午前10時5分



「……早いな…ミユキさんと…十郎…」

「スピード落とそうか?」

「いや…結構だ」


俺たちは、アロンに向けて走っていた。ミユキさんと十郎は走るスピードが異常な程早い。少しすると、俺の目の前からミユキさんと十郎さんが段々と見えなくなってきた。


『…最初こそは追いついていたが……体力が…』


そして、息切れしながら走っていると、目の前でミユキさんと十郎が立ち止まっていた。


「ど…どうした?」

「……ここから先は…走っては駄目だよ」

「何で…?」

「ここから先はアロンの敷地内……兵士が沢山いるからね…」


ミユキさんは、灰色の平原を見ながら言った。すると、少し遠くから俺達の元へ近付いてくる音が聞こえてきた。


「何か来ます…!」

「…君達!…僕の近くへ!」


俺達は言われるがまま、ミユキさんの近くへ行った。


「……【ステルスゾーン】…!」


すると俺たちの半径2m内が、奇妙な空気感に包まれた。


「…うわ!…なんだよアレ…」

「静かに…」


その時、ガチャガチャと音を立てながらロボットと二人の兵士が歩いてきた。


「……本当にこのロボットが警備できんのか?…というか気味が悪いな…」

「…上から連れていけって言われてんだ…我慢しろ」


二人の兵士とロボットは、目の前にいる俺達を無視して歩いていった。


「行ったね」

「……なんだよ…あのロボット…」

「…魔王の実験で生み出された兵器の一つ…ですかね…」


なんだか、随分と近未来的だな。ちなみにロボットは、からくりかゼンマイ仕掛けみたいなスチームパンクな見た目だった。


「………【ステルスゾーン】を使いながら行こうか…!」

「…ステルスゾーン?…さっきバレなかったのもその魔法の効力なのか?」

「うん!……半径2m内に…外からだと何も見えないドームを作り出す魔法さ……まぁ…ドームから離れたら透明化が解除されるし…ドームに触られたらバレるけど…」


ミユキさんは【ステルスゾーン】について説明した。俺達自体が透明になる魔法は無いのかな?


「…俺達自体を透明にする事は出来るのか?」

「……あー……自分を透明化する事は出来るけど……他人は出来ないなぁ…僕の魔法って…自分自身に付与する魔法と攻撃魔法が多いからさ…!」

「あー…そうなのか…」


その後、俺達は兵士が来たらミユキさんの作った【ステルスゾーン】へ隠れる、やり過ごせば進むといったふうに進んでいった。














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