カタストロフィ投入
聖騎士達は突然饒舌になったムサシを、困惑しながら見た。
「……相変わらず…どうやって勝ったかを解説する時は饒舌なんだね…」
「すいませんムサシ様…核の位置が何故分かったのか…もう少し分かりやすく…」
「………………要するに…擬態したスライムは核がある部位の再生速度が速い…だから一番再生速度の速い頭…そしてその頭の中で核が露出しない場所にあると考え…口だと分かった…」
「……最初からそう言ってよ…」
アダンは核を破壊されたからか、無気力にその場に跪いた。
……
「フン…残念だっ…」
「これで…避けられないねぇ…!」
「…ッ!?」
その時、アリアは強い殺気を感じ取り、右へ視線を寄せた。
「そういえば…君にはまだ見せてない技が沢山あったね!」
「…エミリ…ッ!」
「……例えば…この【乂文字】とか…!」
エミリアの【乂文字】を食らうと、アリアの鎧にはバツ印の傷が出来た。
「ぐぉぉ!?…な…んという…ワザ…だ……」
「…アレ?…君にはまだ見せたことが無かったかな?」
そして【乂文字】を食らったアリアは、地面に跪いているアダンの隣へ吹き飛び、倒れた。
「……………ぐッ…」
「…ア……アリア…」
「おお!…コレ食らって意識あるなんて…やっぱ強くなってるね!…ほんのちょっとだけだけど…!」
「くッ……エミリア…!」
傷だらけのアリアは、エミリアを睨んでいた。
「……ムサシさん…そっちも終わったようだね!」
「…………………いや…核を破壊した筈だが…何故魔素にならないんだ…?」
「…分からないけど…アダンは……特別な希少種だから…核が破壊されても動けるんじゃない?」
そしてエミリア達とムサシ達は、アリアとアダンをジッと見た。
「……フッ…これで勝ったと思いか?」
「うん!」
するとアリアは、不敵に笑って聖騎士達とギルド戦士達と王達に言った。
「…残念だが…お前らは死ぬ……あの人間に殺されるからな…いや…元人間にか…」
「……は?」
「…………来たか…」
アリアは上へ向いた、王達も上を向くと何者かが飛んできて、アリアとアダンの横へ着地した。
「…リコ…ッ!?」
「何だコイツは!?」
「知り合い?」
「……あぁ…魔王の実験台にされた…俺の親友だ…」
ミノルが王達に言った。すると、飛んできた青年は王達をジッと見た。
「お前ら壊すわ…」
「……コイツは[カタストロフィ]…魔王軍が生み出した兵器だ…」
「リコを兵器なんかにしやがって…魔王め…」
すると、カタストロフィは王達の元へ突っ込んできた。ミノルもカタストロフィに向かって突っ込んで思い切り蹴った。
「…リコ……お前を斬りたくはない…悪いが寝ててもらうぜ…!」
「……イッてーな…なんだお前…」
「…コイツは俺が何とかする…アンタらは魔族を頼む…」
ミノルは、自分以外の人達に言った。
「………………分かった…」
「…よし…それじゃあ僕達は魔族を倒そうか!」
王達と聖騎士、ギルド戦士達は魔族の進行を防ぎに走っていった。
「……王を遠ざけるなよ……俺は王を殺さないとダメだってのによぉ…」
「…いや……お前は俺が倒す…」
ミノルはカタストロフィと向き合った、手には何も持たずに。それを見てアリアがミノルへ尋ねた。
「…素手で戦うのか?」
「ああ……ブン殴って目を覚まさせる」
「……馬鹿が…殴っただけで目覚めるものか……それに……素手で倒せる程…カタストロフィは弱くない…」
その瞬間、カタストロフィはミノルとの間合いを詰めて雷を放射した。
「うおッ!!」
「……どけよ」
ミノルは雷を避けてカタストロフィの顔面を思い切り殴った、そしてそのまま背後へ回り込み、首を絞めた。
「うごッ!?」
「……ッ…離せ!」
「ぐあああッ…!」
しかし、カタストロフィは全身から雷を放った、ミノルは雷を食らって思わずその場に膝をついた。
「…チッ……邪魔しやがって……さて…王を殺…!」
その時、カタストロフィはある事を思い出した。
「…く……」
「……そういえば…」
そして、ミノルをジッと見ると思い切り蹴り飛ばした。
「ミノル…ミノル……お前も殺せと言われていたな…!」
「ぐあッ!!」
“ミノル?”
“ああ、王と一緒にこの人間も殺せ”
“分かったが、何故だ?”
“お前の実験の事を知っているからな”
カタストロフィは、ミノルの元へ歩いていった。ミノルはゆっくりと起き上がった。
「…俺が実験を見た事…バレてたのかな…」
「……まぁ…死ねや…」
そして、カタストロフィが起き上がったミノルへ殴りかかった。しかし、ミノルはカタストロフィの拳を止めた。
「…これでも…よぉ……神を殺した男だぜ…俺は……」
「あ?」
「……こんな所で死ねるかよ!!」
ミノルはカタストロフィを思い切り殴った。するとカタストロフィは、少しフラついた。
「…くッ……」
「お前を…魔王の操り人形にはさせねぇ…!」




