レイド大陸の聖騎士達
「………よし…作戦は分かった!…あとは待つだけだな…!」
「…ですね」
「じゃあ…解散……という事で…」
聖騎士と戦士達が立ち上がった時に、俺はハッと思い出して、聖騎士達に尋ねた。
「なぁ…ここで会ったのも何かの縁だし……自己紹介しないか…?」
「……………」
俺の方を一斉に見る聖騎士達に、俺は言った。
「…一応……アンタらの事知っておきたいし…」
「………まぁ…そうだな…」
聖騎士達は座っていた席に腰を下ろした。
「それでは…拙者から……」
すると、アビスゴブリンを一緒に倒したアーサーが最初に自己紹介をした。
「…改めて!…拙者はエリアル国聖騎士にして…桜鸞流のアーサーでござる!」
「……僕もアーサーと同じエリアル国聖騎士のロダン…そして…このサムライもどきの幼馴染でもある…」
「………うむ!…ロダンとは20年間の付き合いでござる!」
アーサーは、ロダンの肩に手を回して肩を組んだ。
「…やめろ」
「そう言うなでござる!」
次に十郎が斬葬のエルアトラという魔族の四騎士を倒した国、アルトリアの聖騎士達が自己紹介をした。
「…もう知ってるだろうが……アルトリア聖騎士のトライだ……」
「……君達とは初対面だね!…我輩の名はアレキリオン!……これでも聖騎士の中で最年長なんだ!」
「マジで最年長に見えねぇ……最年少の間違いなんじゃ…」
「いや…アレキリオンさんは本当に68歳だ…」
未だにアレキリオンさんが60歳越えなのが信じられない。
「………十郎…マジなの?」
「はい……トライさんが嘘をついているようには見えないので……しかし…何度見ても肉体が12歳なんですよね…」
そして、アルトリアの次にスカーレットさんがおさめている陰陽連邦の聖騎士が自己紹介をした。
「アタシはカオル……遊ぶのが大好きな遊び人さ……だけど…斬り合いも好きだよ…!」
「…俺の名はジェイクだ……」
「………なんでパペット人形で喋ってんの?」
「…………可愛がってる妹ちゃんから貰った物だからなんだよ…!」
パペット人形の事を言うカオルに、ジェイクが鎧越しでも分かる程睨んでいた。
「……あら?…言っちゃいけなかったっけぇ…?」
「…お前……」
「まぁまぁ…落ち着いて…」
ニヤニヤと笑うカオルと、そんなカオルを睨むジェイクの間に割って入ったアキリオンさんが仲裁に入った。
最後に、俺達がこの異世界で最初に降り立った国、ハイランド王国の聖騎士が自己紹介を始めた。
「私はイリス…聖騎士の中では最年少です…!」
「俺はバラド……ただの槍使いだ…」
「……バラドはなんで鳥の被り物してんの…?」
するとバラドは、俺の方へゆっくりと向いて言った。
「…頭を守る為……そして…魔除けの為だ……この鳥の被り物は古くから魔除けとして知られていてな…」
「……なるほど…」
そんな時、十郎がエミリアさんを見ながら尋ねた。
「…どうしたの十郎君?…僕の事見て…」
「いや……ミユキさんは男性ですよね…?……しかしエミリアさんの身体は女性なので……」
「あー…」
するとエミリアさんは、自身の胸を触りながら答えた。あの膨らみだとカップはAとBの間ぐらいだな……
「……ホワイト君が最初に僕を見た時…女の子だと勘違いしたらしくてね…だから人形の方の僕は女性として作られた…」
「なるほど…」
「…ホワイト……あの人はよくミスをするな…」
そして、しばらくそんな感じの雑談が続いた。
……
「……魔王……四騎士が揃った…」
「うむ」
魔王の座る玉座の前で、二人の魔族が跪いていた。その隣にはシャルルが立っていた。
「…四騎士が二人だけになると…こうも寂しいとはな……」
「………………」
「……一人は十郎とやらによって倒され……もう一人は未だに独房の中だ…」
すると魔王の目の前に黒いスライムが落ちてきた。
「…三人だよ……シャルル…」
「……アンタは…」
「黒喰の……アダン…!」
そして落ちてきたスライムは人間の姿になった。
「………まさか…牢を抜けてきたのか…?」
「…うん!……戦争があるって聞いたからさ!」
「お前がいれば…千人力だ…!」
魔王は歓喜を抑え込み、アダンに言った。すると四騎士の一人がシャルルへ尋ねた。
「…アダン……」
「……あの人…千人力って言われてるけど…強いのか?」
「…………ああ…人魔戦争では…ムサシに敗れたが……人間達に莫大なダメージを与えた魔族だ…」
「…へぇ……あの少年が…」
シャルルは、魔王と同等に話すアダンを見て呟いた。
「……魔王と同等に話してるし…」
「…子供の姿をしているからといって油断しない事だ……下手したらお前も…戦争の時に喰われてしまうぞ…?」
「…………………」




