作戦内容
「あのアーサー様がいれば…!」
「……俺達でも…防衛できるかも!」
エミリアは歓声を上げる兵士達を見ながら、もう一人の聖騎士へ尋ねた。
「…ザイン……アーサーのあの語尾はなんなの?」
「……分かりません」
……
兵士達は入ってきた子供を囲んだ。
「うわ!…いきなりどうしたの!?」
『……相変わらず凄いな…アレキリオンさんの人気っぷりは……』
トライは兵士に囲まれるアレキリオンを見て、笑みを浮かべた。
「…[レイド大陸のアイドル]兼[聖騎士最強]だもんなぁ……だからか…人望が厚いな…」
……
「……また…魔の者と刃を交えなければならないなんてねぇ……ジェイク…腕は落ちてないんだろうねぇ…?」
「…当たり前だ」
左手に装着しているパペット人形の口を動かして、ジェイクは言った。
「………そういうお前は…遊んでばかりだが……腕は落ちていないのか…?……カオル…」
「…試してみるかい?」
「…………試してみようか」
……
「ムサシ様…防衛はお任せください」
「……私達が魔族を一人も通しませんよ!」
「……………頼もしいな…バラド…イリス…」
ムサシにそう言われてイリスは笑顔のまま頭を掻き、バラドは鳥の被り物を深く被った。
……
「……個性的な人が多いな…」
俺と十郎が聖騎士全員がいるエリアス城のプレゼンルームに入ると、そこには個性的な聖騎士達がいた。ギルドの戦士達もいる。
「…揃ったね」
「……聖騎士が揃うなんてな…」
「それじゃあ…梅岡君とか十郎君は全員は知らないだろうから……これ…聖騎士達の資料」
「…ありがと」
エリアル国
[斬鉄の]アーサー
[静かなる]ザイン
アルトリア国
[聖騎士最強]アレキリオン
[剛剣の]トライ
陰陽連邦
[乱心の]カオル
[一心の]ジェイク
ハイランド王国
[不死身の]イリス
[梟の目]バラド
「ごめんね…多くて……読者のみんなは無理して覚えなくていいからね…」
「読者?」
「……それよりも…聖騎士最強のアレキリオン…」
俺は書類を見た後に、アレキリオンという聖騎士の方を見た。
「…なぁ……アレキ…リオン……さん?」
「あ!…我輩の事か!?」
「……あ…あぁ…」
アレキリオンさんは俺の方を向いた、アレキリオンさんはどう見てもか弱い小学生のような外見だった。というか…鎧の露出度高すぎるだろ……ほとんど機能してないようなもんだ……
「…アンタ……どう見ても12歳程だよね…」
「……そうなのかな?」
俺の問いに首を傾げながら、アレキリオンさんは他の聖騎士に自分が幼く見えるか尋ねていた。
「………たしかに…私も最初はアレキリオンさんが…68歳なんて信じられませんでしたよ…」
「……全然見えねぇなぁ…」
「ひとまず雑談は後に…」
「…あ……あぁ…そうだな…」
十郎に促され、俺達は椅子に座った。
「……皆さんが静かになるまで…2分47秒かかりました…!……
「…校長先生が言いがちな奴じゃん…」
「………言ってみたかっただけなの…ごめんね」
ミユキさんは、席をした後に話し始めた。
「…それじゃあ…聖騎士とギルド戦士諸君には配置……梅岡君と十郎君には魔族の国アロンの侵入ルートを説明しよう!」
「魔族の国…アロンっていうんだな…」
するとスクリーンに、レイド大陸とライド大陸を繋ぐ大橋の地図が映し出された。
「……まずは…ギルド戦士と聖騎士諸君の配置を話す!」
「…ああ」
「………ハイランド王国の聖騎士君は…」
……
「まぁ…防衛する時の配置はこんな感じね…!」
「……次は…侵入ルート…?」
「うん!」
ミユキさんが聖騎士とギルド戦士の防衛時の配置を話した後に、スクリーンの映像が魔族の国アロン周辺の地図に切り替わった。
「…これがアロンの地図だね!」
「……広いな…」
「魔族は多いからね…僕達の国と違ってかなり広いんだ…」
そしてミユキさんはクスリと笑うと、俺達に言った。
「…侵入ではその広さを利用する!」
「……広さを利用…」
「…アロンは広いから…魔族に扮した人間が紛れてても…魔族は気付かない…!」
魔族に扮して行動するという事か、なるほどな。
「確かに…この広さでは人間が紛れてても気付かなさそうですね…」
「……そして…魔族に扮した僕達は……この魔王君の人体実験の事が書かれた新聞をばら撒く…!」
「それで魔王と魔族の民を争わせる…というわけか…!」
俺がミユキさんに尋ねると、ミユキさんは笑顔で頷いた。
「………よし…作戦は分かった!…あとは待つだけだな…!」
「…ですね」
「じゃあ…解散……という事で…」
聖騎士と戦士達が立ち上がった時に、俺はハッと思い出して、聖騎士達に尋ねた。
「なぁ…ここで会ったのも何かの縁だし……自己紹介しないか…?」
「……………」
俺の方を一斉に見る聖騎士達に、俺は言った。
「…一応……アンタらの事知っておきたいし…」
「………まぁ…そうだな…」
聖騎士達は座っていた席に、再度腰を下ろした。




