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一爪




シャルルは、王達の方へ向くと声高々に言った。


「…我等魔族は…我等を迫害した傲慢な人間に……鉄槌を下す!」

「はいはい……それは分かったけど…何故……エミリアとか僕だけ暗殺なんてしようとしたの?」

「スカーレットの言う通り…人の王達の中で最強と名高いお前を暗殺する事によって…人間の兵士の士気を下げる為だ!……失敗に終わったがな…」


そして続けてシャルルは王達へと言った。


「……魔王からは『王全員を殺せ』と言われたが……今の魔族の暗殺者では全員は無理だからな…エミリアとミユキだけにしたのだ!」

「…エミリアは分かるけど…何故…僕も含まれてるの?」

「…それは魔王がミユキ……お前も殺せと言ったからだ!」

『……魔王は…エミリアの本体が僕だと知っていた…?……悪神にでも聞いたのかな…?』


シャルルは止まる事も無く、魔王の事を話した。


「……魔王はとある人物から人間の情報を得て…王達を殲滅する事が可能な兵器も作っている!」

「…それ話してもいいの?」


最後に、シャルルは自信満々で言った。


「………手紙の通り…戦いは一週間後……人間達よ!……その戦いでお前たちは滅びるだろう!」

「…それは楽しみだよ」


そう言い残し、シャルルはギルドの入り口から走って出て行った。


「……アイツ…天然なのかな…」


俺は思わず呟いた。その後に真風達、ギルドの戦士達は王達へと言った。


「俺達は悪神討伐も…魔族との戦争にも協力するぜ…!」

「ふむ…それは助かる」


その時、ミユキさんが俺達と、王達、戦士達に言った。


「……僕に作戦があるんだけど…!」

「作戦…?」


すると俺達の立っている地面に、巨大な魔法陣が自動的に描かれ始めた。


「………………………この魔法は…」

「…【王路(リターン)】……!」

「……王のみが使える魔法…確か……自身の城へと瞬間移動する…」


辺りが太陽のように明るい光に包まれた、そして数秒後に光が消えていくと、そこは豪華な装飾のされた壁や王座のある場所だった。


「……私達まで飛ばすなよ…」

「…それはごめん」

「ここは…?」

「……エリアス城の中…」


エリアス城……たしかエミリアさんはエリアス国の王……だからエリアス国の城の中か!


「…お帰りなさいませ…エミリア様…」

「……ただいま!」


黒い服を着た執事が、エミリアさんにお辞儀をしながら言った。


「……その方々は…お客人…ですかな?」

「…うん!…だから早速だけどプレゼンとかする部屋に人数分の椅子と飲み物を用意してくれない?」

「かしこまりました」


執事は素早く王の間から出て行った。突然、この人数の人が現れたのに動じてないのが凄いな……


「…いきなり沢山の人と他の国の王が王座へ現れるというカオスな状況なのに…一切動じてないな……」

「……今まで散々…そんな状況になっていたからな…」

「え?」


感心する俺に、レクスさんが言った。


「エミリアは【王路】で城へと瞬間移動する時……よくペットにしたいとかなんとかで大量のモンスターを連れて城へ戻ってくるらしいからな…」

「……モンスターと!?」

「中には危険度SSもいたそうだ……だから…人が沢山連れて来ても驚かないらしい…」

「最近はしてないよ…」


エミリアさんがレクスさんにそう言った時、執事が入ってきてエミリアさんに言った。


「準備が整いました」

「…それじゃあ…そこでミユキから話を聞こうか!」

「……だな」


俺が一緒に部屋へ向かおうとすると、伍城さんに止められた。


「待て…」

「な…なんだ?」

「……まだ…【一爪】を会得してないだろう?」

「……………ア…」


そういえば……極限まで集中出来るようになったから満足して忘れてた……


「………外へ行くぞ…俺達の分まで準備してくれた執事には後で謝っておこう…」

「……ぁぁ…」


すると、ミユキさんが俺達に言った。


「…話した事は…後で言いに行くよ!」

「………嗚呼…」



……



「…嫌そうだな…」

「そりゃあな……」

「やめるか?」

「やるよ!」


俺はエリアス国から少し離れた平原で、伍城さんと来ていた。軽い準備運動の後に伍城さんは【一爪】のやり方を改めて俺に言った。


「……それでは改めてやり方を話そう……構えの際には力を入れず…拳を突く瞬間に…身体全体の力の流れを腕に集中させて放つのだ…」

「…分かってる」


改めてやり方を教わり、俺は立ち上がって正拳突きの構えをとった。


「……ふむ」

「…よし……集中ッ!」


すると不思議と、出来そうな予感がした。


『出来そうな予感…いや……予感というよりも………確信…』


そして俺は身体を捻り、力を拳に溜めて思い切り前方の太い木に向かって拳を突き出した。


「……一度目で会得するとはな…」

『………集中力を手にしても…なかなか難しい技だが…』

「…うわぉ…」


俺の目の前にあった太い木は、触れていないが根元から折れていた。


「へへ……やったぜ…」

「…フン……全く大したものだ……」














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