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午後7時の梅岡と十郎




「………まさか…俺との戦いで“本気(マジ)本気(やる気)”になれるようになるとはな…」

「……ああ…」


すると、倉庫から美しいポンチョを取り出して梅岡へ投げ渡した。


「これは…」

「……俺にはもう必要の無いものだ」


そしてミノルは、その場から立ち去ろうとした。


「………今回は…誠に申し訳ない…俺は責任を取ってギルドを脱退する…それで飽き足らないのならば…この命も差し出す…」

「…脱退もさせねぇし…命を差し出す必要もねぇよ!!」

「……え…?」


真風がミノルの肩を叩いて言った。


「お前が暴れた分のギルドの修理代とギルド戦士達の治療費を依頼で稼いでもらう必要があるからな…!……お前の命は…その為に使え!!」

「…そうだ!…ミノルさん!」

「そうだぞ!」

「………フッ…そうか………」


ミノルは戦士達の方へ振り返った。


「…本当に…俺がいてもいいのか…?」

「「「ああ!」」」


ギルド戦士達は口を揃えて言った、するとミノルは笑みを浮かべていたが、その目には涙が溢れていた。


「…ミノルさん……」

「……元いた場所へ…帰ってきたのだな…!」



……



「……話を聞いてくれてありがとう…!……それじゃあ……僕に勝った証に…さっき渡し忘れていたコレを君にあげるよ!」

「…これは……」

「……[魔血(まけつ)黒衣(くろごろも)]…これを付ければ君も血を浴びたり口にすると強くなれて…傷も癒せる吸血鬼(ヴァンパイア)になれるのさ!!」


十郎は魔血の黒衣を受け取り、身に付けた。衣は奇妙に揺れていた。


「………なんだか…不思議と心地良いです………ですが…コレを僕に譲って良かったのですか…?」

「…何で?」

「………ミユキさんは血を取り込む事により…傷を癒したりすると聞きました……それはこの衣の効力なのでは?」


するとミユキは笑顔で答えた。


「…僕はその衣が無くても血を取り込んで傷を癒す事が出来るから大丈夫だよ!」

「……え?」

「僕が血を取り込んで傷を癒したり…強化されたりするのはその衣の効力じゃなくて…生まれつきだからさ!」

「……そうなのですね…」


そして、ミユキは迷宮の出口の方向へ向いて言った。


「…さて……ギルドへ戻ろうか!」

「はい!」



……



「……ミユキさんって人殺しをしないんだな…なんか人殺しを楽しんでそうなイメージだったけど…」

「…よく言われるよ」

「……まさか…ギルドでそんな事が起きていたとは…」

「…ッたく……身体中バッキバキだ…」


俺たちは今までの出来事、俺は十郎にミノルさんの事、十郎は俺にミユキさんの事を話した。すると真風が小鳥遊を見ながら呟いた。


「……修羅か…」

「…どうした?」

「………いや…何故小鳥遊達が凶暴化したのか疑問でな…」


まぁ、確かに小鳥遊が何故凶暴化したのか疑問だな。肝心の小鳥遊達はボロボロのギルドの隅の方に座り、何か呟いている。


「…小鳥遊君とか他の人も修羅になってしまったんじゃない?」

「……かもな…」

「………話を聞いてる限りでは…修羅というよりも()()か…」


羅刹、エミリアさんから聞いたような。確か修羅化したが、自我を保っている人物の事だったっけ?


「……理由は分からんが…羅刹になって本性が曝け出されたのかもしれねぇな…」

「…本性?」

「………あぁ…羅刹ってのになれば本能や本心…そして本性が曝け出される…」


真風は少し眉間にしわを寄せて話した。


「…しかし…羅刹になって本性が曝け出されていたとすれば……小鳥遊達の本性は…暴力的だという事になる…」


するとギルドの扉が開き、血まみれの伍城さんが入ってきた。


「うわッ!?…どうしたの伍城さん!?」

「………伍城さんは俺達がミノルと戦ってる間…ギルドに攻めてくるモンスターを倒してくれていたんだ」

「…一体何匹倒したの…?」

「……危険度Sのモンスターを58匹…」


伍城さんは魔素の入った袋を置いた。その時、外から大きな音が聞こえた。俺達は一斉に音のした方向へと向いた。


「……今度はなんだ…!?」

「…行って…みるか……」

「お…おいおい……無茶するなよ…!……大怪我してるんだからさ!……下手に動けば傷が開くぞ!」


トップランカー達がボロボロの身体で起き上がろうとしたので俺は急いで止めた。


「……そういうお前も…大怪我してるだろ…」

「………俺は大丈夫だ…アンタらよりかは傷の具合がマシだからな…!」

『強がってはいるけど……ダメージはトップランカー君達と同じくらいだね…アレだと絶対に倒れちゃうだろうなぁ…』


すると、ミユキさんがトップランカー達に近付いていった。


「……【グランドヒール】…」

「うお…お…ッ!?」

「その回復魔法は…ッ!?」


ミユキさんがトップランカー達に触れるとあっという間に傷が塞がっていった。回復魔法か!?


「………こんな高度な回復魔法まで使えるのか…ッ…」

「……ごめん!…君達を回復させるの忘れてた…!」














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