午後6時40分の昔話
ミユキは、十郎の肩をポンと叩いて隣へ座った。
「…僕を倒したご褒美に……僕の……感性について話してあげるよ…!」
「……………」
「それを聞けば分かるよ……僕が人殺しを滅多にしないワケ……」
するとそんな時、目の前に頭が牛で身体が筋肉質な人間のモンスターが現れた。
「……君との勝負の時…壁の文字を解読したんだ……そしたらこの神殿と迷路は…このモンスターを封じる為に作られた事が分かった…!」
[ミノタウロングス]
危険度SS
獣系のモンスター。ミノタウルスの希少種でまだ数匹しか確認されていない。とても獰猛で、身体は金属よりも遥かに硬く、普通の剣などでは攻撃すると折れ……
十郎がミノタウロングスを読み取り、説明を読み終わる前にミユキが一振りで斬った。
「………よし…静かになったし話そうか………あぁ!…そのモンスターの魔素はあげるよ!」
そして、ミユキは十郎へ語り始めた。
「…これはそう……夏に降り注いだ雷と豪雨…そしてそんな中…木の下での出来事………というのは嘘で…!」
「………………」
「……そんな睨まなくても…ちゃんと話すよ…!」
十郎がミユキをジッと見ると、ミユキは咳払いをして語り始めた。
「…………僕が殺しの技術を師匠に教えてもらった僕に…先生が言ったんだ…」
……
「…殺しの業…か……」
ミユキが殺しの技術を磨いていると、川畑が壁にもたれかかって呟いていた。
「……先生」
「…これはこれは……世紀の天才…川畑先生じゃありませんか!」
川畑はミユキの練習を見ていた宇川を無視して、ミユキへ尋ねた。
「………何ですか…?」
「…何故この道を選んだ?」
「道…?」
「……何でお前が八咫烏に志願したか知りたいんだとよ!」
宇川がミユキへ言った、するとミユキは少しの沈黙の後に答えた。
「…人の…悲鳴とかを聞くのが好きだから…?」
「へへへッ!…やっぱお前とは気が合うなァ!…ミユキ!!」
ミユキの答えを聞いた宇川はミユキの頭をクシャクシャと撫でて笑った。川畑は少し眉間にしわを寄せた。
「……そうか…」
そして、ミユキと宇川の前から去っていった。
「…笑わせてもらったぜ…ミユキ……おッ…と!」
「どうしたの?」
そんな時、宇川の尻ポケットからスマホが鳴った、宇川はスマホを手に取った。
「……あ?…ああ……分かった…!」
「…仕事ですか?」
「ああ!!…何人も人を殺してる殺人鬼半グレ君をブッ倒してきて欲しいってさ!!」
宇川は張り切って上着を着た、するとミユキはそんな宇川に言った。
「…………その仕事…僕にヤらせてくれません…か……?」
「あぁ〜?」
ミユキのドス暗い目を見て、宇川は笑って言った。
「…いいぜ!……練習を頑張ってるご褒美に…今回の獲物は譲ってやるよ…!」
「ありがとう…師匠!」
「ほら…依頼内容と半グレ君の犯した罪の一覧だ…!」
依頼内容のコピーを受け取ると、ミユキは満遍の笑みで包丁を握りしめると走っていった。
「……おい!…宇川!!」
「あ?…川畑?」
焦った様子で川畑が宇川に尋ねた。
「…ミユキが包丁を持って外へ出たが……何があった…!?」
「あぁ……」
宇川が仕事をミユキに任せた事を言うと、川畑はより一層焦って宇川に言った。
「……宇川…今すぐにミユキを止めに行くぞ…!」
「何でだよ」
川畑はキョトンとする宇川に理由を説明した。
「あ!!…確かに!!」
「……まだその事を教えてないアイツなら…ヤりかねない…!」
宇川と川畑は急いでミユキを追いかけていった。
「……忘れてたわ!!」
「…ッたく……ターゲットは何処だ…」
「確か……依頼内容では東京スカイツリーの近くによくいるって言ってたぜ!!」
川畑は宇川のスマホを貸してもらい、届いた依頼内容を見た。
「…コイツか……」
「……知ってんの!?」
「…あぁ……コイツは恐らく…スカイツリー近くのカフェにいる筈だ…!」
宇川のスマホを返して、川畑と宇川は東京スカイツリーへと走っていった。
一方のミユキは、スカイツリー近くの路地裏の奥でターゲットを追い詰めていた。
「………テ…テメェ……は…」
「八咫烏…の見習いだよ…!」
「ヤ…ヤタガラス…ッ…」
血の出る腹を抑えながら、ターゲットは壁にもたれかかっていた。
「…この場所には誰も来ない……安心して死ぬといいよ…!」
「……クソ…誰…に…依頼されて…」
「そんな事どうでもいいでしょ…死ぬんだし…」
その時ターゲットは、近付いてくるミユキに掠れた声で言った。
「お…俺の貯金に1000万円ある…それで…」
「見逃せ…と?」
「あ…ああ…」
すると、ミユキはターゲットの首を掴んで言った。
「…君の犯した罪を見たけど……人を殺したのって金の為だよね…?」
「………ッ…」
「その1000万円も…その人達から奪った金でしょ?」
ミユキはゆっくりと包丁を振りかぶった。
「………君は一度…死んだ方が良いね!!」
「まッ……待てッ!!」
そして、ミユキは思い切り包丁を振り下ろした。




