午後5時40分の銃声
ミユキはナイフ、十郎は大鎌を持って神殿へと歩いていった。
「鎌も久々に使おうかなぁ〜!…十郎君の鎌を見ていたら久々に使いたくなったし!」
「…ミユキさん…鎌も持っているのですか?」
「まぁね……君が良ければ…手合わせでは鎌を使おうか?」
「……ミユキさんのお好きな方で…」
そんな事を話しながら二人が神殿に入ると、人型のトカゲのモンスターが無数に潜んでいた。
【ランバ】
危険度B
爬虫類系のモンスター。集団で行動し、武器や道具なども使う。暗い場所を好み、迷い込んだ動物や人を襲う。
「…それじゃあ僕は地下へ行ってくるよ!」
「はい…!」
ミユキはランバ達の間を風のように通っていった、そしてランバ達に驚くスキも与えず、十郎は投げナイフを投げた。
『……早速…使ってみますか…』
十郎は飛び上がり空中で大鎌を振り上げ、怯んだランバ達を大鎌で刈り取った。
『…よし……このまま…ランバ達を全滅させますか……』
……
『……あれ?』
地下へ降りたミユキは、目の前に広がる光景を見て少し驚いた。
『…ランバのいた形跡はあるけど……いないな…だけど形跡を見る感じ上へは行ってない……まるで突然消滅したようだね……』
「ランバ達は…消した……邪魔だったのでな」
ミユキが声のする方を見ると、そこにはレッドゾーンの館でミユキを襲った白いフードの男達が立っていた。
「……君達は…あの時の……」
「…あの時の借りを返すぜ!!」
その時、ミユキの背後から短剣を持った白フードの男が斬りかかってきた。
「君は少し寝ててね」
「ブグッ!?」
ミユキは背後から斬りかかってきた白フードの男を裏拳で倒し、目の前に立つ男達へ尋ねた。
「……君達はアレか?…魔王に僕の暗殺を頼まれた人?」
「答える義理は無いな」
「あの執事に化けてた人は?……って…答える義理は無いから言わないか…」
白フードの男達は剣を抜いて構えた、それを見てミユキも包丁を握りしめた。
「…魔王は…人間に喧嘩を売って勝てるとでも思ってるのかな……」
「…………」
「……君達のしてる実験…あれは僕達を倒す兵器を開発する為でしょ?」
ミユキが尋ねても、白フードの男達は沈黙を続けている。
「一つ言おう!……君達の開発してる神子守りの蛇のクローン…アビスの改良型…スキルを持つ生物兵器……そんなのじゃ僕達を殺さないよ」
「……………なに…?」
「僕達を殺す気ならさぁ……この世界を容易く破壊できるモンスターとかでも連れてこないと無理だよぉ…!!」
白フードの男達はミユキのその言動をミユキの気迫、自信を持った眼差しによって信じざるを得なかった。
「……フン…そうか…」
「うん!…そうだよ!………さて…実力差が分かったようだけど…どうする?」
「ひッ……か…勝てわけねぇよ……こんな奴なんかに…!」
「そんな事言うな!」
一部の白フードの男達はミユキの静かな歩みに恐怖し、後退りした。中には恐怖のあまり声を出すものもいた。
「……怯える人を殺すのは…なんだか嫌だなぁ…」
「…じゃあこれでも食らっとけ!」
その瞬間、白フードの男は隠し持っていた銃を取り出してミユキに構えた。
「…へ…へへ……これは最新の武器だ……コレが出たこの瞬間…俺達の勝利が決定した!」
「ホントは勝てないって分かってるくせに……」
ミユキはため息をついて、銃を持つ白フードの男に言った。
「……そんなものを持って…最強なったつもりかアンちゃん!」
「…ああ……この武器さえあれば…最強だ…」
「じゃあ試してみる?」
「馬鹿が!!」
銃弾がミユキの顔に向かって飛んできた、しかし、銃弾はそれて背後の壁に当たった。
「なッ…」
「どんどんきなちゃい!」
「ええい!」
白フードの男は何度も銃を撃ったが、全て壁に当たり、弾切れとなった。
「…馬鹿な……そんな馬鹿な…」
「馬鹿な?」
「……たしかに顔に向かって撃ったはず…!?」
するとミユキは少し頭を掻くと、銃を持つ白フードの男の近くへ歩いていった。
「……く…来るんじゃねぇ!」
弾を込めて撃とうが、全てミユキの背後の壁に当たった。そして二度目の弾切れの瞬間、ミユキは銃弾が確実に顔へ当たる距離に立っていた。
「これなら当たるよ?」
「……ッ!!」
白フードの男はそんなミユキを見て怒り、焦り、苛立ち、不安、恐怖などの感情に支配され汗だくになり銃を持つ手が震えた。
「…大丈夫?」
「う…うおおおおおおッ!!!」
銃声とともに、ミユキは大きく仰け反った。顔は上を向いており、煙が上がっている。
「へ…へへ……へへへ!……舐めやがって!!…なんだよ!…か……簡単に仕留められたじゃねぇか!!」
銃を持つ男はその場で涙、汗を流しながら歓喜した。




