表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/457

午後4時40分の十郎




「……起きたばかりなのに…もう次のページに行っちゃうの?」

「はい」

「結構…せっかちなんだね…!」


十郎は【乂文字】と【死神流】の書かれているページの次を開いた。


「…【死神(しにがみ)戯撃(ぎげき)】……」

「ここからは…僕が創った業だネ!」


ミユキは十郎の開いているページを覗き込んで言った。


「……それでは…行きましょう」

「…ふふ……なんだか()()()()()()()()()ようだなぁ…」


そう呟いたミユキを、十郎が不思議そうに見た。


「………え…?」

「いや…何でもないよ!」



……



「…さて…【死神の戯撃】か…」


体育館の中で、ミユキと十郎は向き合うように立った。すると、ミユキは説明し始めた。


「……この業は…【乂文字】の従兄弟みたいな業…要するに……似てるということさ!」

「…はい」


ミユキは幻影を生み出すと、幻影の方を向いて十郎に言った。


「…まぁ…見ててね!」

「はい」


その瞬間、ミユキは地面を蹴って飛び上がり、木刀を二回程振って着地した。着地して1秒程経つと幻影の身体に無数の切り傷ができて、幻影は倒れた。


「……【乂文字】よりも一撃の威力は低いけど…斬撃の数が二回から十回以上になっているのさ!」

「…なるほど……」


ミユキは木刀を指に乗せてバランスを取ると、再び十郎の方を向いて説明した。


「…【乂文字】は…威力が高いけど単体にしか使えない……だけど【死神の戯撃】は…威力が低いけど集団に使える…そこが違いだね」

「……対集団用ですね」

「そうそう!……それじゃあ集団用だと分かった所で…実際に集団に【死神の戯撃】をしてみようか」


すると今度は、無数の幻影を生み出した。その数を見てギルド戦士達も息を呑みながら見ていた。


「…やるよ…!」


ミユキがそう呟いた瞬間、幻影がミユキへ向かっていった。するとミユキは飛び上がり、一番近い幻影を攻撃して、身体を蹴った。


斬撃を繰り返して、幻影を蹴り、空中で舞うように幻影を斬り続けた。


「……うぉ…」


そして30秒後くらい経つと、ミユキの周りに誰もいなかった。


「…30秒程で……」

「スゲェ…」

「まぁ…集団にするとこんな感じだね!……君達にも教えようか?」


ミユキがギルド戦士達の方を見ると、ギルド戦士達はハッとして、鍛錬に戻った。


「……自分にはできないと…やりもせず…ハナから諦めてるんだ……やってみたら結構簡単なのになぁ…」

「…………」

「ということで!」


ギルド戦士達を見て呟いた後、ミユキは十郎の方を向いて笑顔で言った。


「……見た感じどうだった?」

「…ノートに書かれている事をやってみるよりも…実際に見た方が…分かりますね」

「………技を会得するのは()()()()のが一番いいからね……よし…それじゃあ…技の特徴とか言ってみてよ!」


ミユキに尋ねられ、十郎は【死神の戯撃】について話し始めた。


「はい……まず空中で不規則に飛び回り攻撃していた……それは相手を撹乱(かくらん)する為…」

「…………」

「そして無数の斬撃……それによって()()()()()()()()()する事が出来る……特徴はその二つですよね…?」

「……ちゃんと分かってるようだね…!」


そして、ミユキは十郎に木刀を投げ渡した、十郎はそれをキャッチした。


「それじゃあ…いってみよ!」

「…はい!」


すると十郎の近くに複数の幻影が出てきた、十郎はその幻影達を少し見回した。


「………」


その時、幻影が十郎に向かってきた。十郎はミユキがやったように飛び上がると、一番近くの幻影に木刀を突き、体を蹴った。


「……うん…できてるね…」

『………さっきも思ったけど…やっぱり…()()()()だからかな……まるで自分の弟か妹に教えてるような感覚になるのは…』


十郎はミユキのように、空中で舞うように幻影を斬っていった。その舞はミユキのそれに酷似していたが、ほんの少し違っていた。


ミユキとは違い、十郎が披露する【死神の戯撃】はどこか、()()()()()のような()()を帯びていた。ミユキは笑みを浮かべて、その光景を見ていた。


「…………終わりました…」

「…ぉぉ…すげ…」


ギルド戦士達は十郎を見て呟いた。そして、幻影が消えるとミユキは十郎を呼んだ。


「………もう残り二ページだけど…どうする?」

「……今日中にやりましょう」

「あはは!…すごい元気だね…!」


十郎が即答すると、ミユキは笑いながらノートを開いた。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ