直感的に感じた死
「……確か…四方向から一つのモンスターの群れが攻めてくるんだよな…?」
「はい」
俺が走りながら十郎に尋ねると、十郎はすぐにそう答えた。
「………だから…全員倒せば何も来ないんだよな?」
「…はい」
「……よし…分かった…」
それを確認して、俺は目の前のモンスターの顔面を思い切り蹴り飛ばした。
「…軽く倒してやるぜ!」
そして、怯んだモンスターを掴んで振り回した。周りのモンスター達に当たり、モンスター達は吹き飛んでいった。
「……【風廻】…!」
怯んだ相手を掴んで、その他の相手を攻撃する。少し荒っぽいが対集団では強力な技だ。
「…おお……!」
「素手で…」
「あの伍城とかいうおっさんも素手だったが……」
「このガキもスゲェ…!」
俺は周辺のモンスターを倒し、掴んでいたモンスターを投げた。すると、俺の頭上からモンスターが襲いかかってきた。まずい…反応が遅かった……!
「…ヤッべ……!」
その瞬間にそのモンスターの頭、胸、腹にナイフが突き刺さりモンスターは俺の隣に落下した。ナイフは十郎の元へ戻っていった。
「……怪我はありませんか?」
「助かったぜ…十郎……」
「心臓と脳にピンポイントで命中させるあの精度……さすがは斬葬殺しか…」
十郎に助けられたな。そして、俺は辺りを見回した。他のモンスターは少し遠くから俺たちを眺めていた。
「………数が少ないと思ったら…」
「…様子を見ているようですね……」
すると様子を見ていたモンスター達は、大盾と槍を構え向かってきた。
「うお!…来た!」
「……俺たちもそろそろやるか!!」
「おお!」
モンスター達を見て、ギルド戦士達も負けじと向かっていった。
「………らぁぁぁ!!」
ギルド戦士達は、ハンマーや大斧などで大盾を攻撃した。
「…俺たちも行くぞ!」
「はい!」
俺と十郎も、ギルド戦士達へ続いてモンスター達に向かっていった。
「……クソ…硬ぇな!!」
「まるで動く壁だ…」
「…よし……ここらでいっちょ使ってみっか!」
槍を避けながら攻撃しているが、大盾の破壊にギルド戦士達は手こずっていた。俺はそんなギルド戦士達の間に生じた隙間に向かって俺は指鉄砲を突き出した。
「………【魔弾ライフル】…だぜ…!」
青白いビームがギルド戦士達の隙間を通り抜け、大盾を貫通した。そして、その大盾を持っていたモンスターはその場で倒れた。
「なんだ!?」
「あのガキの魔法だ!」
「……この隙間から攻めるぞ!」
「…なんてガキだ!」
盾の壁に、一つ綻びができた。そしてその隙間から、ギルド戦士達はなだれ込んでいった。
「………うぉぉ!!」
俺は隙間に【魔弾ライフル】を通して盾を破壊し続けた。壁はどんどん壊れていく。
「よっしゃ!」
「……ッ…!?」
盾が破壊されていくと、十郎の顔色が変わった。そして、ギルド戦士達へ叫んだ。
「…離れてッ!!」
「あ…?……ッ!?」
その瞬間、ギルド戦士達は吹き飛んだ。そして、大盾の山から鎧を着たモンスターが出てきた。
「……コイツは…ッ!?」
「知ってるのか!?」
「…ああ……危険度SSSモンスターだ…!」
[バーサークロー]
危険度SSS
変異系のモンスター。血に汚れ怨霊の取り付いた鎧。他の鎧に怨霊を移す事によりその鎧を意のままに操れる。
「……危険度SSSか…上等!」
俺はバーサークローに向かって走っていった。危険度SSSは倒した事がある、コイツも今までみたいにぶっ倒してやるぜ!
「梅岡さん!!」
「おい!…そいつは危険度SSSでも…強い部類だ!!……トップランカーが来るまで…」
どうやらコイツは危険度SSSの中でも危険な部類らしい。だが、魔法と技があれば倒せる!!
「……なッ…!?」
俺が殴りかかった瞬間にバーサークローは攻撃を避け、目の前から消えた。
「クソッ……後ろかッ!?」
振り返り、俺は【魔弾ショット】を繰り出した。だが、背後には誰もいなかった。
「……!!」
直感的に背後へ振り返ると、バーサークローが俺に刃を突き立てていた。マジか…ここで終わりかよ……
「梅岡さんッ!!」
「………お前は…そうだな……あえて一つだけ言うなら集中力が足らないな…」
バーサークローを見ると大きく怯んでいた。そして、俺の目の前には伍城さんが立っていた。
「……うん…それに焦りやすい…!」
そして、怯んだバーサークローをミユキさんが斬った。
「…伍城さん……ミユキさん…」
「……立て…防衛は終わった…」
伍城さんがそう言うと、無線機から小鳥遊の声が聞こえた。
[モンスターの群れはいなくなった、これにて防衛終了とする。そして、モンスターの群れを蹴散らせたのは皆がまとまってくれたおかげだ、感謝する]




