死神とミノル
「ミノル!!…モンスターがお前の方に向かって来ているぞ!」
「…ああ!」
俺は攻めてくるモンスターに向かって行き、思い切り水平に切った
「…やるな……」
「……それにしても数が多いな…」
モンスターを斬りまくってはいるが、群れの勢いは変わらない。
「うおお!?」
「なんだ…!?」
叫び声のする方を見て俺は絶句した、何故ならそこには……見覚えのあるヤツがいたからだ。
「……ッ…まさか…危険度SSが来るとはな……」
「危険度B…続きで…油断していたぜ……ッ…」
ギルド戦士達はそのモンスターに斬られ、バタバタと倒れていっている。
「危険度SSだって!?」
「……俺たちじゃ勝てねぇよ!!」
俺の周りにいるギルド戦士達は完全に怖気ている。そりゃあそうだろうな…しかし……
「………人間の恐れを喰らう能力…厄介なもんだ……なぁ…死神!!……また会ったな…!」
[ブラックリーパー]
危険度SS
死神系のモンスター。人間の恐れを喰らい強くなる、そして魔法無効化は同じだが、通常のリーパーと違う所は全身が黒く、手に持つ鎌も一回り大きくなっている。死神系のモンスターは比較的危険度が高く、騎士でも目撃すれば逃げる。
「……行くぜ…!!」
俺はブラックリーパーとの間合いを詰めて、思い切り斬りかかった。
「クソ…」
簡単に受け止め、ブラックリーパーはカウンターを仕掛けてきた、俺はすかさず避ける。
『コイツの倒し方は……神殺しで会得済みだ…!』
「…みんな!!……コイツは俺が相手をしておくから……他のモンスターを頼む!!」
「あ……ああ…!」
ギルド戦士達は、ブラックリーパーに怖じけながらも離れていった。そして半径25mには俺とブラックリーパーだけになった。モンスターも人間も近付かない。
「…モンスターまでもお前にビビってんのか…」
そして、俺は剣を構えた。ブラックリーパーもその場で構える。
「鎌だけに……構える…ってか?」
その瞬間、ブラックリーパーは俺との距離を詰めて鎌を振りかぶった。
「…ッく……重いな…」
しかしブラックリーパーは手を緩めず、鎌で攻撃してくる。
「…………ッ…!」
俺はこれ以上受け止められないと思いブラックリーパーの猛攻に対して、集中力を限界まで高めた。
「…集中力を限界まで高めて攻撃を回避する……その代わりに攻撃も防御もできないがな…」
ブラックリーパーの猛攻を回避すると、俺は集中を解いて斬りかかった。
「オラァ!!」
俺の刃がブラックリーパーの頬をかすった。
『…やっとさっきの戦士達の怖じけによる強化が消えてきたか…』
ブラックリーパーは怖じけを喰って強くなるが、怖じは食べた物が消化されるように段々と消えていく。
「強化が解けてきたようだな…!」
しかし油断してはならない、ブラックリーパーは強化していなくとも危険度SSを誇るモンスターだからな。
「…………」
俺たちはお互いに距離を置いている、ブラックリーパーとの読み合いが始まったようだな。
『……前にも…読み合いをしたような気がするな…』
その刹那、ブラックリーパーが俺の首を狙って鎌を思い切り振ってきた。
「…!」
俺はその攻撃を避けた、そして鎌を振ってガラ空きになった懐に入って胸を斬った。
「…浅いか…」
ブラックリーパーは素早く下がって避けたので、胸にはかすり傷程度しか付いていなかった。
『………恐れるな……恐れなければ確実に勝てる…!』
俺はその後も防御と回避をしながら、ブラックリーパーの隙を見つけて攻撃した。どうやら俺がブラックリーパーを押しているようだ。
『よし…俺の方が押しているな……このまま…』
ブラックリーパーの攻撃は段々と緩み始めたので、俺は防御と回避をせずに攻撃し続けた。ブラックリーパーは俺の攻撃を防御してはいるが、カウンターも回避もしなかった。
「…いや……できないか……体力がもう殆ど無いもんな……いや…それは俺も同じか…」
すると、しびれを切らしたのかブラックリーパーは俺に向かって鎌を振りかぶった。その刹那、俺は踏み込みながら剣を思い切りスイング、下から振り上げた。
「……我凜劣等斬ッ!!」
俺の刃はブラックリーパーを斜めに斬っていた。ブラックリーパーはその場に膝をつき、消滅した。
「………我刃……言う必要は無いか…」
「…た……倒しやがった…ッ…」
周囲のギルド戦士達が、ブラックリーパーの魔素を拾う俺を見て呆然としている。
「アイツ…あんな強かったのか…!?」
「……よし…なんとか倒せたか…」
だが他のモンスターはこちらへ向かって来ている。俺は剣を持って向かってくるモンスターに突っ込んでいった。




