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レッドゾーンのギルド戦士




「……ッ!?」


ギルドの入り口に立つエミリアを、ギルド戦士達は一斉に見た。


「…トラベラー以外にも……ギルドの戦士が増えたんだね…!」

「…あの……ミッ……()()()…ッ…か!?」


エミリアが入ってきた瞬間、ギルド戦士達は息を飲んだ。


「……僕は魅由樹(みゆき)だけど…どうしたの…?……そんな驚いて…」

「…アンタは…このギルドで[伝説]と呼ばれている人物だからだよ…」


“ギルドのトップランカーで一番PTを持ってる人って誰なんスか?”

“……断トツで魅由樹さんだろうな…”

“…ミユキ……?……聞いた事の無い名前スね…”

“そりゃあね…いつもトラベラーしか使えないスマコを使って依頼を引き受けてるから…ほとんどの人が姿を見た事が無い…僕も一度しか見た事ないよ”

“それで…PTは…?”

“…………478600PTを持ってるんだ…”


「……ふーん…僕って有名なんだ…」

「…しかし……伝説と呼ばれたあのミユキが…こんな子供だったとはな…」


その時、ギルド戦士の一人が魅由樹に向かって小さなナイフを投げた。そのナイフを、魅由樹は簡単に取った。


「………お前があのミユキ…か……」

「…………そうだけど?」

「…俺と勝負してくれよ……お前強いんだろ?……それがホントか知りたいからよ…!」

「……いいよ」


すると、その背後にいた重々しい鎧を着た戦士が、小さなナイフを持つ軽装のギルド戦士の肩をポンと叩いた。


「…ミユキ殿……このような小物ではなく…私と手合わせしてもらえませぬでしょうか…」

「……なんだ…テメェ!」


その瞬間、鎧を着たギルド戦士は斬りかかってきた軽装のギルド戦士を床へ叩きつけた。


「が…く……ッ…」

「………ミユキ殿…」

「…まぁ…僕は誰でもいいけど…」



……



「…ミユキが戦うところを見れるぞ…!」


魅由樹と鎧を着た戦士は、ギルドという建物の真ん中にある広場で向かい合った。すると、鎧を着た戦士は鎧脱いだ。


「対人では鎧は不要だ」

「あ……あの人は!」

「アガサだ!…トップランカーの一人の!」

「へぇ…トップランカーなんだ…!」


ギルド戦士阿笠(あがさ)。トラベラーの一人で、異世界へ来る前は剣道強豪校の剣道部の主将であり、数々の大会で優勝経験を持つ。持っているスキルは【神雷】


神の雷、すなわち神雷を操る事ができる。神雷は全ての生物を焼き尽くす。


「…神の雷を操るスキルか……」

「……ああ…神雷は全ての生物に効果抜群だ……そして…どんな防御魔法も貫通する…!」

「………そう…まぁいいや…合図して…!」


魅由樹は審判の方を向いて言った。それを聞いて、審判は手を挙げた。


「れ…レディ…ゴー!」


開始の合図が出されたが、阿笠と魅由樹は一歩も動かなかった。


「………作戦でも考えているのかな?」

『……………スキが無いな…流石は魅由樹といったところか…さて…どうするか…』

「じゃあ、今のうちに魔法を付与しておこうか」


魅由樹は付与魔法を唱え始めた、付与系の魔法はその名を言わないと付与されない。


「…【神速剣】……」

「……【神速剣】…!?」

「…………最上級クラス魔法の…!?」


ギルド戦士達はざわざわとしている。阿笠も少し動揺したが、すぐに冷静になって。


「…【黄昏ノ陽】…【ショートタイム】…【マッハブレイド】…【燕舞】…【音刃】…【戦王の二枚刃】…【破撃無乖離】…【騎士王の幽聖剣】…【ゼロソード】……」

「……ッ…!!」

「…今の……何個かは…英雄とか賢者クラスの魔法じゃねぇか…ッ!!」


魅由樹の発動した魔法は全て、最上級と判断される強力な魔法だった。


『……神の力……即ち神術であるスキルに引けを取らない…強力な魔法……しかもそれを十個も…ッ…』


阿笠は大量の最上級クラス魔法が付与され、鈍い光を放つ木刀と魅由樹を見て震えた。


「……いつでもどうぞ?」

『…さて……どうするか………』


子供のような笑みを浮かべる魅由樹を見て、作戦を考えていた阿笠も笑みを浮かべた。


『……待て…私は何をしているんだ……作戦を考えていた?……私は…作戦など考えず…ただ目の前の相手を斬る…そうしてきた筈だ…!……相手があの魅由樹だから怖じけたか…ッ…』


阿笠は強大な相手を前にして、自分には似合わない『作戦を考える』という選択をした自分自身に怒った。


「…ん?」

阿笠(あがさ) (まもる)…参るッ!!」


木刀を構えて、阿笠は思い切り魅由樹との間合いを詰めた。そして阿笠が魅由樹の目の前に迫った瞬間、阿笠はその場で倒れた。肩には痣ができていた。


「………魔法を付与し過ぎたかな……木刀だから…多分死んではいないと思うけど……」


魅由樹は阿笠の胸に耳を当てた。


「うん、生きてる」


その光景を見て、ギルド戦士達は絶句した。少しすると審判はハッとして、終了の合図をした。
















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