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神倒しのミノル



「……ミノル…!」

「………………」

「…………ミノル…?」


ミノルはボロボロの状態で、城から一人で出てきた。桜郎の脳裏には、不安がよぎった。


「…………蛇は…?」

「………」


桜郎が恐る恐る尋ねると、ミノルは何も言わずに首を横へ振った。桜郎はそれを見て手を目に当てた。


「…すまない……」

「……そう…か………」


目を覆う手の隙間からは雫が滴り落ちていた。ミノルはそれを見て何も言う事ができなかった。


「…………俺が言える立場じゃないが……お前は蛇の分まで生きるんだ……さぁ…ここを離れるぞ…」

「………そうだな……すまぬ…女子のように泣いてしまって…」

「……………泣いた方が良い時もある……たとえば…今がその時だ…」


ミノルは涙を流す桜郎と共に崩壊を続ける城を背に、元来た道を歩いていった。



……



『………ッ…』


悪神は薄れゆく意識の中、エミリアを見ていた。エミリアは瀕死の悪神を見ながら不気味に笑っていた。


「……苦しそうだね……」

「…………」

「もう声を出すのも難しいでしょ」


壁にもたれるように倒れている悪神は、声を出すこともできず、足も動かなかった。


「…それじゃあ……君をヤって…元の世界に帰るとしようか」

「……!」


エミリアは赤黒い瘴気を纏ったナイフで、悪神を滅多刺しにした。


「アハッ!…やっぱり気持ちいいなぁ…!」

「……ブ…グッ…」

「というか……神を殺すって…凄い背徳感を感じて………イイネ…!」


悪神の身体にはナイフで刺された傷跡が無数にあった。だが、エミリアは止まらない。


「マジでやめらんねぇ!……こんな快感…快楽を得るのは久しぶりだなぁ!!」

「ゴフッ……ガッ……」

「……ヤバ………興奮し過ぎて勃っちゃった……まぁ良いか……」


神の死体を弄ぶエミリアの背後で、悪神は力を振り絞り、這い蹲っていた。


『……逃げるんだ…神斬りで斬られなければ…何度でも……やり直せる…!!』


悪神の死体は、分身(フェイク)だったのだ。悪神はエミリアから逃げる為、城が崩れ始めた時、その混乱に乗じて分身を作り出す準備をしていたのだ、そして、刺される瞬間にエミリアの背後に分身を発動して、本体と位置を()()()()()のだった。


『…せいぜい死体遊びでも楽しんでろ……サディストめ……僕は…生きてやるぞ……!』


足は動かないが手は少し動く為、悪神は這い蹲ってなんとかエミリアから離れていった。


『………この…扉の奥に行けば…!!』

「……はい握手〜!」


悪神しか入れないワープできる扉、そのドアノブに手を伸ばした時、エミリアがその悪神の手を握った。


「…………お散歩に行くの…?」

「………ッ!?」

「……逃がさないよ…」


その瞬間、エミリアは()()を察知して、悪神から離れた。すると、扉から神々しい雰囲気な人間が出てきた。


「………災…神……」

「…あまりにも遅いので来てやったぞ」

「……君は何なのかな?」


悪神を持ち上げる災神に、エミリアが尋ねた。すると災神はエミリアの方を向いて言った。


「………災神エクリス…この悪神のツレ(仲間)だ…」

「……僕達の味方ではないようだね…」

「まぁ…そうだな…」


そして災神は悪神が手を伸ばして開けようとした扉を蹴って破壊した。


「…この扉は俺達の家へと繋がっている……破壊しておかないとな…」

「遊びに行きたかったのに…」


エミリアは扉の残骸を見ながら災神に言った。災神は崩れゆく城を見ていた。


「……今日は帰るとしよう…悪神と…」

「………帰れると思ってる?…悪神と……そのお友達の君はここで死ぬのに?」

「……………」


災神はエミリアの目をジッと見ると「フッ」と笑みを浮かべて言った。


「…………たしかに…もし次に会う時があれば…()()()()()()()()()()()な…」


災神がそう言い残した瞬間、エミリアは二人に斬りかかった。だが、災神と悪神はその前に光の粒子となって消えた。


「………………残念……僕達はまだこの世界にいないと駄目みたいだ…」


エミリアは崩壊寸前の城で、夕日を見ながら呟いた、夕日は赤黒く燃えていた。そしてその頃、ミノルと桜郎は無事に船へ帰還していた。


神殺しが終わり、悪神も、神獣も、この異世界から消え、異世界は元の状態に戻り、人々の心の不安を消し去った。


軽傷の者17453名

重傷の者5786名

死者1名


『蛇』という唯一の死者を出した神は、ミノルと蛇と桜郎という名の人間が追い払った、という結末だった。


そんなミノルと桜郎は、帰り道の途中だった。船の中、二人は畳の上で座り、無言だったという。


そして王達の前へ戻ったのはそれから二日後の事だった。

















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