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第8章 初めてだらけの土曜日

「太陽の輝く施設」は英語になおすとそれっぽくなるのですが、「植田太陽」の存在を思い出すと、ごっちゃになるかもしれません。

施設は施設です。

卓球部のきずなが深まった練習から早4日。今日はついに土曜日になっていた。そう、前約束した、岩崎と出かける日である。

今までを振り返ってみると、岩崎どころか女の子と二人だけで出かけるというのが、俺にとってはとってもレアな体験だったり。小学校ぐらいまでさかのぼればあるんだろうけど、まあそれはノーカウントとして、中学までさかのぼった場合でも、記憶はほぼない。それこそ、バンドの練習で岩崎と遠くのスタジオに行って、帰り際にご飯食べてみたいな流れがカウントできるかな?ぐらいである。こう考えると、俺の青春ってとても寂しいものなんじゃないかって思う。やっぱり、高校3年生の今という時間がほんと充実してるんだなって感じる。

『雄太先輩、明日は10時に校門前待ち合わせですからね。』

という連絡を前日にもらっていたので、早く起きて朝ごはんを食べに行って、準備をする。でも、よくよく考えてみると、岩崎と付き合ってるわけじゃないしデートじゃないんだから、こんなに身構える必要は、本当はないんだよなきっと。

とりあえず、「男は5分前行動」といわれるぐらいなので、9時55分ぐらいにつけばいいかな?という軽い考えのもと、俺は外出の申請をして校門に向かった。

「雄太先輩、おはようございます。」

男は5分前行動…?俺はちゃんと5分前に行ったのに、待ち合わせ場所にはすでに岩崎が待っていた。

「お、おはよう。早いな。」

「雄太先輩と出かけるって思ったら、部屋でじっとしてられなくて、先に出てきちゃいました。」

あいかわらずこの子は、そんな調子いいことを言ってくる。この言葉たちのどこが本音なんだろうかって考えることがよくある。女子って、簡単に自分をごまかすから。でも、こうやってわざわざ一緒に出掛けようって言ってくれるんだから、そんなに悪い意味はないんだろうな。

「さ、行きましょ!雄太先輩、わたしが手引きしますよ。」

これも中学のころからよくあったことで、岩崎のほうが俺より視力がよかったりするため、移動するときはいつも岩崎に任せていた。まあ、1年の部屋から3年の部屋まで走ってこれるぐらいだし。

「それで、どこ行きましょうか。私の中で、プランはいくつかあるんですけど、雄太先輩のプランも聞いてみたいんです。」

とりあえず適当に歩きながら、お互い目的地は同じなのだろう、駅に向かって歩き始める。

「まあ、大型の施設あるじゃん?あの、太陽が輝く施設。あそこに行ってみようよ。いろんなお店もあるからさ。」

「やっぱそこですよね。わたしもそこに行きたいと思ってました。」

やはり、おたがい考えていることは同じだった。

「あ、でも、あそこって見て楽しむとこ多いですよね?楽しめるかな。」

そう、どうやら水族館とかプラネタリウムとか、見て楽しむ施設が多めだった。この場合、ショッピングとか、手軽なお店に入るのがいいのかな?そこまではよくわからないけど、きっとなんとかなるだろうと思っていた。こういうところが、俺のデート経験値のなさだよな。

「まあ、なんとかなるんじゃないかな。レストランとかもあるし。」

「そうですよね。雄太先輩が選んだスポットに、間違いはないです!そして、私も間違えないから、二人が選ぶものに、間違いなんてないんです!行きましょ。」

ということで、先ほどの心配はどこへやらというかんじで、俺たちは太陽が輝く施設を目指す。

「あ、そういえば、この駅ホームドアついたんですよね。」

「そうそう。まあ、俺らみたいな人がたくさん通る駅だから、有線的につけてくれたのかな?これで安心だ。」

「ホームドアってこれから増えるんですかね。」

「まあ、そうなんじゃない?難燃化後にはこの辺全域についてるよ。」

ホームドアがあると、目が見えなくてもホームから落ちることはない。これは、視覚障碍者に限らず、酔っ払いが落ちたりすることを防止するのにも使えるから、鉄道事故を減らすのに有効な手段だろう。


「よし!到着!」

というわけで、それから数分後、俺たちは1駅隣に行って、太陽が輝く施設の中にいた。「あの、まず、オリエント博物館行っていいですか?」

「え!いいけど、ずいぶんマニアックだね。」

「そうですね。最近歴史とか考古学とか興味持っちゃって。ほら、1年生は歴史やらないじゃないですか。だから、せっかくここにあるし付き合ってほしいなと。」

古代オリエント博物館は、その名の通り古代オリエントについて研究されたデータが置いてある博物館らしい。古代オリエントを調査した時の論文とか英文が置いてあった。ちなみに、今回はやってないけど、展覧会や体験型イベントっていうのもあるそうで、どうやらシルクロードの食文化を復元して試食するなんていう、おもしろそうなちょっと怖いようなイベントもあるらしい。

結局、すこしだけ見るものがあったので見てみることに。ウズベキスタンの仏教遺跡とか、シルクロード関係とか、見る人が見たらすごい面白いのだろう。

「これ、すごいですよ。こんな遺跡会ったんだあ。」

てなかんじで、岩崎自身はすごく楽しそう。楽しいならよかったか。


「じゃあ、雄太先輩はどこ行きたいですか?」

一通り博物館をみて、時刻は11時30分。

「ちょっとゆっくりしない?どっかお店入ろうか。」

「あ、いいですね。」

俺たちは手ごろなレストランを探して入ることに。こういうところの食事ってなんか高いかな?とおもいつつ、とりあえず入ってみることに。

やっぱりこういうところのレストランは料理はおいしそうだけど高いメニューが並んでいた。俺が社会人だったら、「ここは俺が出すよ」って言ってられるんだろうけど、どうやらそんなこともするのが難しい。ゆっくりできるという意味では最高だが、やっぱ俺たち高校生の味方はファミレスぐらいなんだろうとおもう。今度は学校近くのファミレスに行くかと思いつつ、あれ、知り合いが来る可能性もけっこうあるんだよな。

「雄太先輩?どうしました?」

「いや、何でもないよ。この店、けっこうおしゃれだね。」

「そうですね。さすが、大型施設の中にあるだけありますよ。」

「そうだね。」

俺と岩崎はなんとなくで会話をする。先ほどの古代オリエント博物館といい、今回のレストランといい、なかなか乗り切れない俺がいた。


「あ、展望台行っていいですか?やっぱ、ここまで出かけたなら展望台行っておかないと。」

岩崎がそういうので、俺たちは展望台に来ていた。

「うわあ、景色がきれい。やっぱ、上から見る外は違うなあ。」

岩崎は展望台からの景色を見てはしゃいでいる。これまた見て楽しむものなので、俺はとくにすることもなく。やっぱこういうときって、自然に二人が楽しめるようなプランを提案できる男がすごいんだろうな。とはいえ、岩崎は岩崎で楽しんでるし、これはこれでいいのかな?

「雄太先輩?大丈夫ですか?」

俺がまたしても考え事をしていたので、岩崎に声をかけられてしまった。

「あ、いや、大丈夫だよ。」

こんなときに、やんわりと自分の気持ちが言えて、お互いがそれを理解できて、そういうカップルがうまくいくんだろうなって俺は思った。まあ、岩崎とそういう関係になるかはおいといて、やっぱり俺は、誰かと二人で出かけるのは苦手だ。

「先輩、嘘ついてますよ。ここ来てから、ぜんぜん楽しそうじゃないし。」

「それは」

「ちゃんと言ってくださいよ。わたしだけ楽しんじゃって、なんなのって感じじゃないですか。それとも、先輩はもとからわたしと出かけるの嫌だったんですか?」

岩崎の口調が強くなる。別に、そんなことはない。岩崎と出かけるのが嫌だったことなんてない。今回も誘われてうれしかったし、ぶっちゃけ今日は楽しみだった。でも、俺の思いは伝わらないし、なんとなく気持ちが乗り切らないでいるのは確かだった。

「雄太先輩、わたしとの約束覚えてますか?」

約束…。そういえば、中学のころ、一つだけ岩崎と約束をしたんだった。


「雄太先輩。隠し事をするななんて言えないけど、私に対して思うことがあったら、真っ先に言ってください。いいことも、悪いことも。私も、先輩に対していいますから。」

「うん。わかった。それでこそ信頼関係だよね。」


お互い、思っていることはしっかりいう。それでこそ信頼関係が構築され、良い音楽を生み出すことができる。そんな誓いを中学時代に俺たちはしていた。

「今の先輩は、その約束を果たしてない。だから、わたしは…」

岩崎はきっと、約束を果たそうとしている。俺に対して思ったことははっきりいうという約束を果たすために、俺にきつい言葉を投げかける。当然俺には岩崎の表情は見えないけど、話をつづけるたびに声が震えていくのを感じた。

「そんな藤浪さん、わたし、嫌いです。」

そう、岩崎が俺を下の名前で呼ばなくなった、先輩とも言わなくなった。岩崎は俺から距離をとっている。そして、嫌いだと告げた。もちろん、こちらに非があるのはわかっている。でも、今思っていることを伝える手段が俺にはわからなかった。

「藤浪さん、熊谷君と面識あったんですよね。今彼がこっちに向かってます。彼と一緒に帰ってください。私は先帰るんで。」

岩崎はそれだけ言い残すと、俺のもとから去っていった。

まただ。この前の卓球教えての話と同じように、俺は岩崎を傷つけた。前もそんな感じで、体育館から飛び出したことを俺は覚えている。でも、俺にはわからない。こうやって二人で出かけるとき、いったい何が正解なのか、そして見る系のアトラクションをどう楽しめばよかったのか。俺はすべての答えを知らない。だから、ここで立ち尽くして熊谷君を待ちながら、答えを探してスマホに打ち込んでいくことをするしかなかった。


岩崎との出会いは中学3年の時。俺が3年になって、岩崎が1年で入学してきた。当時、俺は軽音部でギターをやっていて、ギターのセンスもそこそこあったので、イベントごとがあっては演奏するようになっていた。

そんなある日、軽音部に岩崎が体験に訪れた。

「こんにちは。」

「え!1年生?」

当時、軽音部には1年生が誰も体験にきていなかった。岩崎が体験第1号というわけだ。

「あの…藤浪雄太先輩いますか?」

「おお!藤浪、ご指名だってよ。」

周りがなんとなくひやかしにくる。それもそのはず。たいていは、「わたしギターやりたいんですけど」と言ってくるものだ。まさか、名指しで指名されるとは。

「先輩!私にギター教えてください!」

「え?ギター?でも、たぶん岩崎さんはボーカルやったほうがいいんじゃないかな?」

「そうですか?先輩がそういうなら、私歌います!二人で武道館目指しちゃいましょうよ。」

という流れにつながる。もちろん、周りの軽音部員たちは唖然としていた。

「おい、ギターの藤浪が突如現れた1年生に引き抜かれてったぞ。」

「なんか、二人でアコースティックになるらしいよ。」

「武道館だってよ。」

てなかんじで、うわさはあっという間に広まっていたけど、

「私たちが目指すものに間違いはないです。頑張りましょう。」

という感じで、岩崎はぜんぜん気にしていなかった。むしろ、俺のほうが気にしてた。

それからはイベントごとがあるたびに、俺は岩崎のためにアコースティックギターで演奏した。岩崎の歌は学校中で有名になるぐらいうまかった。透き通る声、外さない音程。学校にいた誰もが岩崎に魅了されていた。

しかし、俺が3年で岩崎が1年。一緒にいられるのは1年間しかないわけで。

「雄太先輩、もう行っちゃうんですか?」

卒業式の日、見送りに来てくれた岩崎はそんなことを言っていた。

「まあ、高校に進学するだけだし。またどこでも会えるよ。」

「そうですよね。会えるし、また一緒にライブできますよね。」

「うん。これからはオリジナルにも挑戦しようよ。」

そんな明るい話をして、卒業式は終わった。そう、一緒にいたときは幸せだったんだ。

ただ、距離が離れてから、うまくはいかなくなった。今まで近くにいたからできていたことが、遠くになってできなくなったのだ。

「だから、そこはそうじゃなくて、こうなるんですよ。」

オリジナルを作る過程での意見の食い違いもとても多かった。そこで岩崎が提案したのが、あの約束だった。

「雄太先輩。隠し事をするななんて言えないけど、私に対して思うことがあったら、真っ先に言ってください。いいことも、悪いことも。私も、先輩に対していいますから。」

「うん。わかった。それでこそ信頼関係だよね。」

それ以降はお互いが思っていることをちゃんと言って、無駄な食い違いもなくなった。岩崎が受験で忙しくなるまでは音楽も続けていたし、いい感じだと思われた。

その後、どうやら岩崎の連絡先が初期化されたがために、俺への連絡手段を失い、俺は彼女が入学してくるまで、うちに合格したことを知らなかったというルートになる。


こう考えると、俺たちの主導権を握っていたのはいつも岩崎だった。良くも悪くも、俺は岩崎に誘導されるだけだった。男らしいこととか、年上らしいことなんてほとんどしてない。今日だって結局、全部岩崎に任せていた。だから、俺が楽しめないのも無理はない。俺も、もうちょっと考えるべきだった。そんなことを今思った。


「藤浪さん」

俺が考え込んでいると、突然男から名前を呼ばれた。

「ああ、熊谷君」

「まさか、岩崎が俺に連絡してくるとは思わなかったですよ。まあ、前から岩崎と藤浪さんの話してたんで、今日のことは知ってましたけど。」

「そっか。じゃあ、状況はわかってるんだね。」

「はい。藤浪さん、あれから気持ち変わりました?」

熊谷君は、声の感じからはノリが軽そうに見えるけど、そうではない。きっと、岩崎のことを心配して、俺に訪ねている。

「うん。過去とか思い出したら、俺ぜんぜんだなあって。」

「そうですか。まあ、過去なんてわからないですけど、気持ちが変わったってことでいいんですね?」

「うん」

「わかりました。じゃあ、行きましょうか。」

熊谷君が歩き出す。俺は彼の肘をつかんで同じように歩き出す。それでも、何か違うことに俺はすぐに気づいた。確か、エレベーターはそっちの方向ではない。そして、どんどん人気がなくなっていく。


「連れてきたぜ。」

俺が誘導されたのは帰り道ではなく、岩崎の居場所だった。

「そっか。熊谷君のこと、信じていいんだよね?」

岩崎が熊谷君に聞く。信じるというのは、さっき熊谷君が俺にした質問、考え方が変わったかという問いに対してだろう。

「ああ。でもな、俺じゃなくて、藤浪さんのこと信じてくれ。」

「…」

岩崎は何も言わない。それは当然だろう。一度裏切った相手をもう1度信じろというのが無理な話だ。

「んじゃ、俺はその辺にいるから、岩崎が納得できなかったら、また呼んでくれ。そしたら、今度こそ藤浪さん連れて帰るから。」

そういうと、熊谷君はその場を離れていった。熊谷君は本当に後輩なのか?とすら思う。ひょっとしたら、俺と岩崎の関係を知っている先輩ではないだろうかと錯覚する。

「ねえ、岩崎さん」

「はい」

「俺、さっきまで過去を振り返ってたんだ。岩崎さんと出会ってから、今までのこと。」

「はい」

俺は思ったことを語り続ける。たとえ、それが自分にとって不利益になることだとしても。

「俺、今まで岩崎さんに何もしてなかったね。岩崎さんは何でも一人でやっちゃうし、だめだめな俺の先をいつも行ってて。だから、俺が岩崎にあげられたものって少ないと思う。いや、まったくないかもしれない。今回だって、何もできてなくて。」

「いや、別に、それはいいんですけど。」

「俺がもし、今回のことで自分も楽しめるようにプランを組んでおけたら、こんなことにはならなかったとおもうんだ。どこかで、岩崎さんに任せようって思ってたのかも。」

岩崎はずっと聞いてくれている。俺の今までの失敗話をずっと聞いてくれている。だから、俺は最後の言葉まで続けた。

「こんなんで、岩崎さんに嫌われても仕方ないとは思った。自分で何も考えないのに、ただ面白くなさそうな反応ばっかして。だからさ、これからは一緒に考えよう?二人で全部考えたい。俺も役に立てるように頑張るから。」

「そ、そんな、えっと、わたしのほうこそ、その」

岩崎の声は震えていた。でも、さっきのような悲しそうな震え方ではなくて。

「えっと、うれしいです。雄太先輩がそこまで考えてくれて。だから、あの、さっきのことは忘れてください。わたし、雄太先輩のこと、大好きです!」

てなかんじで、岩崎はすっかり元気を取り戻していた。それにしても、大好きは照れる。まあでも、好きとか愛してるより、大好きって言われたほうが、なんか「先輩として」みたいなニュアンスが付きそうだと思うのは俺だけだろうか。

「あと、雄太先輩、やっぱりわたしに卓球教えてくれませんか?もちろん大会とか受験終わった後でいいです。なんなら卒業してからでも。先輩が卓球始めたなら、わたしもやってみようかななんて。」

「いやあ、うまく教えられるかな。」

「大丈夫ですよ。教えるのがうまくても下手でも、わたしは雄太先輩に直々に教えてほしいんです。」

やっぱりそうだった。岩崎は俺に教えてほしかったんだ。前はちょっとタイミングが悪かっただけで、本当はうまくなることより、俺と卓球をすることが目的だったんだな。

「わかったよ。いつになるかわかんないけど、必ず教える。でも、女子もけっこう激戦だからね。」

「はい。卓球部がちですからね。」

岩崎はなんとなく笑っていた。「がち」というワードが俺にとってもなんとなく面白かった。卓球部に岩崎が入るのか入らないのか、そこまではよくわからないけど、それでも来年の大会では岩崎はきっと選手として出場しているんだろうな。


そのあと、俺たちは施設を楽しんで夜の6時ごろに寮に戻った。6時ごろなら夕食もセーフということで。

「今日はありがとうございました。また二人で遊びましょうね」

岩崎はそういうと、俺のもとから去っていった。「また二人で」っていうのがなんとなくひっかかるような、ひっからないような。それでも、きっと今日で俺たちは本当の意味で1年ぶりの再会をしたのだろう。そして、やっと前に進めたんだ。俺はなんとなくそんな気がして、ルンルン気分で食堂に行った。


その日の夜。

『藤浪さん、届いてますか?』

という、見慣れない名前の人からのラインがきたので、おそるおそる返信してみる。

『あの、誰ですか?学校関係者ですか?』

返信が即座に帰ってきて、

『あ、俺です、熊谷です。』

というわけで、なぜだかおれの連絡先が熊谷君に知られていた。

『すいません。岩崎が、見つけられなかったらここにラインしてっていったもので』

『いや、見つけられたのに、なんで送ってきたの?』

『あ、いやー、なんか、藤浪さんと岩崎の関係っていいなあっておもって。』

『へえ』

『あ、ぜんぜん悪い意味じゃないですよ。』

『うん』

『今度部屋行きますね。アニメとかいろいろ語ってください』

てなかんじで、また一人友達が増えた。なんかうっとうしいとおもいつつ、これはこれで後輩としていいかな?なんて思ってみたり。

では、おやすみなさい。


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