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喧嘩

ジャンル分けのランキング50位内に入ることができたみたいです。ありがとうございます。


 徐々に光が収まっていくにつれて視界が色を取り戻していく。窓の外も真っ暗な闇が続いており体感した時間よりも随分時間が経過したようだった。そしてここには先ほどまで広がっていた、自然に満ち溢れていた空間は最初からそんなのが無かったかのように静まり返った暗い部屋の中に戻っている。

もちろん周りを見渡しても特に幻術のような形跡もなく唯の部屋で変わり無かった。




「嘘だろ?全てが元に戻ってる・・・」


 再度この状況を確認するとそれは不可思議な事ばかりだ、まず異世界のような空間は跡形もなく俺は最初からここにいたかのようになっており棚の後ろには隠し扉はあったもののすぐに行き止まりとなっている。


そして俺たちが降りていった階段なんてそんなものは存在すらしていなかったのだ。


「そしてこれが聖剣マーレなのか・・本当に聖剣という名前に相応しい素晴らしい剣だ」


 更に俺の手元には我が家に代々継がれてきた聖剣そのものの自然の鼓動が感じられる。これがあるという事はここまでの事象は全て事実であることに間違いなかった。


 まるで生きた剣の聖剣は刀身がマールと同じく細くたくましく白く輝いており、剣を握る柄の部分は大樹の根元のように美しく所々が金の装飾と緑の宝玉を施されているようだった。


「聞きたかったんだけどさ、マール起きてる?もしかしてこの聖剣もお前と同じように喋れるとか?」


「・・・・」


 もう一つの魔剣であるマールが話せるので、もしかしてとは思ったが返事は無かった。ではさっき聞こえた声は一体・・・。返事が無い間を聖剣マーレで少し手慣らしに振り下ろしたりしていると腰の剣が勝手に動き出し黒い靄を形成するそして剣の姿から人間の姿に変えたマールが重々しく口を開いた。


「我が君、マーレは少し怒っているのかも」


「ええ!?俺がなんかした?」


怒っていると言われても記憶には全く無い。なにせ先ほどあったばかりなのだから。


「多分我が君に対してではないね・・・」


「まさか?マール!?お前だから抜く前にトンズラしたのか?」


「・・・許してよ我が君、まさかあんな昔のことを怒っているとは思っていなかったんだよぉ〜!」


 昔、マールはマーレに対して何をしたのか・・・マールがいう昔とは一体何十年前のことなのだろうか・・・。


俺の心を読んだのかマールが他人事かのように陽気に話し始める。


「何十年というか何百年前だね・・・」


「そんな前のことを恨まれているとなると相当悪いことしたんだろう!?」


「なんというかマーレは真面目ちゃんなの!だからね私が・・「もう、お姉さま言わないでください!!」


 マールが事の顛末というやらを話そうとしていると何者のかの声が聞こえ、俺の手に持っていた聖剣が俺の手元から瞬時に姿を消して隣に立っているマールめがけて飛んで行っていたのだ。


俺がマールに何かを言う前にマールは薄々分かっていたのかどうかは知らないがそれを軽々と避け身を翻す。俺は何をしているのかというと腹が減って少々反応が鈍くなっていたのですぐさま反応することができなかった。


「あははマーレやっぱり聞いてたんだね〜」


本人はというと悪びれる様子もなく適当に聖剣マーレと何やら話している。

完全に俺は蚊帳の外になっていたため、緊張が解け空腹が一気に押し寄せた。


「マーレだっけ・・・俺腹減って死にそうだからマールとの姉妹喧嘩は後にできないか・・・?」


地面に倒れ両手を広げ、大の字で寝っころがると地面が埃で溢れている。もちろんそれを払い避ける気力もなくだらし無く倒れているとマールが聖剣を握ったままこちらに近づいてそばで膝を屈めた。


「マーレが話したいことがあるっていうから持ってきたよー?」


「う・・・うん?俺に何か用か?」


 視線を隣のマールに移すと聖剣マーレが空中に浮いてこちらにお辞儀をした。

いやー、剣って結構器用なもんなんですね・・・と内心感心をしていると

そばで浮いていた聖剣マーレが短く発光する。

 一瞬目が眩み再び見開くとそこには美しい金色のロングウェーブでマールと似たような姿をした美しいというより綺麗で世間しらずのお嬢様といった少女が立っていた。


「先程の醜態は失礼いたしました。初めましてですね!私は聖剣マーレ、安寧と自然の寵愛を受けし者。今から貴方の剣です。あとご主人様にはマーレと呼んでいただきたいです。」


そして再度お辞儀をする。マールとマーレ以外で姿を変えれる剣っているのかなーと関係ないことを考えてみたりもする。


「う・・・ん、これからよろしくねマーレ」


空腹でもはやこれまでになりそうものだが。


 辛うじて意識がある俺の頭をマーレは撫でながら微笑みかける。その横にはつまらない顔でマールが仏頂面で立っていた。この光景に少し頬を緩ませているとマーレが口を開いた


「お腹が減っていらっしゃるのですね!私がなんとか致しましょう!」


 そういうと彼女は手を組み合わせて何かを囁くと暗いはずのこの部屋の何処かから光の粒が集まる

そして彼女の手元が小さく光るとそこには一つの空腹感を刺戟する真っ赤なリンゴがあったのだ。

驚きのあまり気力が尽きて横になっていた身体を奮い立たせて身を起こした。


「ご主人様!おまたせしました。これは食べてください!」


「す、すごい・・・本当にありがとう!それじゃ・・頂きます!」


彼女の手からそれを受け取ると間髪入れず口に入れる。


 空腹で干だるくなっていた口の中に採れたてのようなリンゴの甘みが広がった。これは美味い!と空腹というスバイスにより一層と美味しく感じられたのか不思議に涙が出そうになるがそれを堪えてリンゴを噛み締めて飲み込む。


胃袋に食べ物を入れられて少し落ち着いたのか

俺は埃で薄汚れた床に座っているマーレとつまらなさそうな顔で近くを歩きまわっているマールを見てから

次の行動に移った。


「本当に助かったよマーレ・・・あと床が汚れているから」


そう言って彼女に手を差し伸べると驚いた顔で彼女は手を取る。

彼女は立ち上がると埃を払い此方をじっと見つめるので何か気恥ずかしくなり姉のマールを見た。



「マール!お前より出来た妹じゃないか、お前も少し見習え!」


「ふんだ!我が君のバーカ!」


「お姉さま!ご主人様に対して何という言葉ですかっ!全くお姉さまったら・・・」


マーレは御託を並べるマールに近づいて何やらお説教をしているようだった。


 こうやって見ると本当に姉がマールで妹がマーレなのか・・・しかも身長的にはマーレの方が頭半分くらい高いのである。実は姉がマーレなのでは無いのかと二人を見ているとそれに気づいたマーレが恥ずかしそうに押し黙ると此方にゆっくりと近づいてきた。


「ご主人様・・・あの?そろそろ外にいきませんか?」


「そ、そうだよね!」


彼女を見て俺も少し恥ずかしくなり慌てて部屋を出るために立ち上がり、そそくさと部屋をあとにした。

その様子を見たマールはニヤりと口元を歪めたのを俺は見た。


「マーレったら我が君にデレデレだねー!?ヒューヒュー!」


「もうお姉さまっ!!」


今にも掴みかかりそうな勢いでマールにジリジリと近づきお説教という名目の物理行使が行われたの調子に乗った彼女の自業自得である。


「冗談だって、あと痛い!痛いってば、やめて!やめてマーレ!やめてえええええ!!!」


そしてマールの絶叫が夕方の暗い屋敷中に響き渡った。

近郊に住んでいた住民がこの絶叫を聞き、アウリアス家の屋敷には幽霊が出るという噂されるようになったのを俺たちは知る由もなかった。


序盤を固め次第ストーリーの展開を早めていく予定です。


誤字脱字の指摘、評価お待ちしております。

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